2017年09月16日作成

マーク・ハントが歴戦のダメージによる記憶障害、薬物違反者に対する糾弾を海外メディアで語る

UFCヘビー級戦線で長年戦い続けるマーク・ハントが、海外メディアで自身のキャリアについてコメント。その中には記憶障害の症状が出ていることや、薬物違反者との対戦でキャリアを汚されてきたことに言及しています。

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マーク・ハントが自身のキャリアについて海外メディアに語る

既にSNSでMMAファンを中心に広まっているトピックになりますが、マーク・ハントがPlayersVoiceというメディアに自身のキャリアにまつわる思いを綴った記事が発信されています。

PlayersVoiceはオーストラリアのスポーツメディアで、アスリートの夢や経験、それを通じて得た教訓を発信するサイトで、オセアニアを代表するファイターであるマーク・ハントが掲載されたという経緯になっています。

マーク・ハントといえばK-1 WORLD GPに彗星のごとく現れ2001年に優勝。2004年からMMAに転向し、PRIDE・DREAMを経て2010年から7年間に渡ってUFCで試合を行っています。

連敗続きの中UFCに参戦し、当初はすぐにリリースされてしまうと見られていたものの、MMAの才能を開花させて、2014年にはヘビー級暫定王座戦までこぎつけています。

またキャリアの後半は禁止薬物を使用した選手との対戦が続いており、それを痛烈に糾弾していることから、薬物批判の急先鋒として見られている側面もあります。それを踏まえた上で、PlayersVoiceに掲載されているハントの発言を翻訳しながら紹介していきます。

歴戦のダメージにより記憶障害の症状が出る

私は現状を打破するべく、子供の頃から戦い続けてきた。当初は週に300ドルを得て、テーブルに食事を並べることに必死だったが、今では世界で最も高給取りなファイターの一人になっている。

それは運命なのだと思う。もし戦って死ぬことがあっても、健全で公正な戦いに貢献できるのならば、それで良いと思っている。

私は時折よく眠れないことがあるし、言葉が上手く出ずにどもることがある。記憶状態も良くなくて、随分昔のことは覚えてるのに昨日のことは忘れることがあるんだ。

これが今まで戦ってきた代償だよ。何人もの薬物違反者と戦ってきて、そいつらから受けたダメージによるものだ。

薬物違反に対する言及

最も多く言及しているのが、キャリアの後期に悩まされてきた薬物違反者との試合です。

ドーピングはこの競技において長年はびこってきた問題で、なぜならトップになれば大金を得られるからだ。私は選手たちが一団となって、ドーピングをしてはならないと発信する必要があると思う。

人々はドーピングで強くなれないなんていうが、そんなことはない。薬物によってより強くなり、より早く回復できるといったアドバンテージがある。

私はこれまで薬物を使用せずにここまでやってきた。ショートカットをせず、本来あるべき道を歩んできたことを誇りに思う。

ベン・ジョンソン、ランス・アームストロングといった奴らは薬物依存者で、彼らに責任がある。

アームストロングは世界で最も有名な薬物使用者だ。薬物の使用が発覚する前にツール・ド・フランスを7連覇している。しかし彼は誰かと戦ったわけでも、誰かを傷つけたわけではない。自転車に乗っていたわけだが、これは格闘技とは大きく異なる。

それでもアームストロングは他の競技者の功績を踏みにじってしまったし、より良い生活が待っていたであろう家族も欺いたことになる。

もし薬物違反者がいなければ私は既にMMAで王者になっていて、既に引退していて、家でくつろぎながらビデオゲームに興じたり、ケンタッキーフライドチキンでも食べていたかもしれない。彼らは薬物を使用していなければ私に勝てなかっただろう。

それによってスポンサーも大金を得る機会を失ってしまった。考えただけでも腹立たしいよ。

ブロック・レスナーはビッグネームのスーパースターだが、彼と対戦するまでは連勝していて、勝利すればタイトルに近づくことができたが、それも台無しになってしまった。

「あなたは口うるさいし、相手の金がほしいだけでは?」なんて言ってくるが、それは彼らの金でもないし、何も得る資格もない。

ビッグフット(※アントニオ・シウバ)との対戦はヘビー級史上最高の試合の一つとも言われているが、俺に言わせればそうではない。奴はステロイドを使っていたし、薬物がなければ何もすることができない。

最初はまさに殺し合いのような試合だったが、2戦目に彼がクリーンになった途端に1ラウンドも持たなくなってしまった。まさに別人のようになってしまったんだ。

初戦で手を負傷してしまって、それから約1年に渡って戦線を離脱してしまった。その間に得られた収入はゼロだ。

ジョン・ジョーンズとブロック・レスナーが対戦するなんて話があるが信じられないよ。こんな試合に正当性なんてない。社会では悪事に手を染めた人間は罰せられるが、どうして格闘技ではそれがないんだ?

罰則もさらに厳しくするべきだ。初回の違反で2年から5年、次からはキャリア全てに渡って罰せられるべきだ。それなら薬物に手を染める価値はなくなるだろう。

UFCについて思うこと

あるファイターが私に「金払いの良いUFCにいられるなんて素晴らしいね」なんて言うことがあるが、それも腹立たしいよ。

例えば1試合で20万ドル~30万ドルを稼いでも半分は税金で持っていかれるし、その半分はキャンプの経費になる。そして残りを担保にでも使ったら、どれだけの金額が残るんだ。トップ10に入るために懸命な努力をしたのなら、それに応じた金額を手にするべきだろう。

スティーペ・ミオシッチですらより多くの金銭を得るために交渉している。世界王者ですら賃金交渉をするなんてどういうことだ?

ゲガール・ムサシも別のパターンだ。彼もまた自身に見合った給与を得られなかったためにベラトールに移籍している。

これは真実を話しているに過ぎないが、多くのファイターは恐れて言及することがない。

今後のキャリアについて

いつだって何かを始めるときには、それを成し遂げようとしてきた。私にはまだ3試合の契約が残っていて、世界王座を獲得したいと思っている。

MMAの世界王座を獲得するのは私にとって夢だ。キックボクシングではトップになることができたが、MMAを始めてみると、この競技が何と素晴らしいのかと気がついたんだ。MMAこそ究極の格闘技だし、だから私はこの競技でベストになりたいんだ。

メキシコでのタイトルマッチは、周辺環境もあって勝利することができなかった。私は現在ヘビー級で6番手に位置しているが、あと3試合に勝利すればタイトルに手が届くと思っている。

次の契約があるとすれば、次のような条項を置くだろう。もし薬物違反をしたらその選手は全てのマネーを失う「マーク・ハント条項」で、それが私のキャリアで得たレガシーの一つだ。

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