グレン・グールドが再び注目されている理由

ファン待望のアルバムがついに登場

左からレナード・バーンスタイン、グレン・グールド、イーゴリ・ストラヴィンスキー。ニューヨークフィルの舞台にて。1963年撮影(写真:Everett Collection/アフロ)

予約していたグレン・グールド(1932-1982)の最新アルバム『ゴールドベルク変奏曲 コンプリート・レコーディング・セッションズ1955』が到着した。

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最新アルバムといっても、その内容は今から60年以上も前に録音されたアルバムの編集時にカットされてお蔵入りしていた不要テイクをまとめたものが中心なのだから、これはいったい最新アルバムといえるかどうか。

しかしグレン・グールド愛好家にとってこのアルバムの持つ価値は計り知れない。筆者自身、待ち望んでいたものが突然目の前に現れたといった感想だ。

「ゴールドベルク変奏曲」収録時の全テイクがここに

『ゴールドベルク変奏曲 コンプリート・レコーディング・セッションズ1955』

LPサイズの分厚いケースに収められたズシリと重いセット内容は、1955年6月10日、14〜16日の7日間にわたってニューヨークのコロンビア30丁目スタジオで行われたグレン・グールドの『ゴールドベルク変奏曲』録音セッション全テイクが収められたCD5枚と、グールドと音楽評論家ティム・ペイジの対話が収録されたCD。そして、われわれがこれまで耳にしてきた『ゴールドベルク変奏曲』のファイナルエディットと呼ばれるCDと、同じ音源が収められた180グラム重量盤LPも含まれている。

それだけではない。275ページにも及ぶLPサイズの豪華な写真付き解説書(英文)に、大判のポスターまでが組み合わされた壮観なものになっている。

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  • NO NAMEb4facfd97552
    東洋経済 online で、このような記事を目にするとは思わなかった。
     グールドは、クラシックをかじったことある年配者なら知る人ぞ知る人物。しかし、個性的であっただけに、とっつきにくいところもあった。オルガンやチェンバロで弾くのが当たり前のバッハをピアノで弾きとおしたのには、それだけの考えがあったのだろう。
     記事を書いておられる筆者の気持ちもよく分かるし、グールドその人の生き様も分かるような気がする・・・ が、自分は今70歳。バロックを一つの頂点とする、ヨーロッパの(場合によっては北アメリカも含めた)古楽を、もっと聴いてみたいと思っている人間である。
     前からそして今も気になる存在ではあるが、グールドにかまっている時間はなさそう。
    up3
    down0
    2017/9/17 12:51
  • NO NAME860f2548f155
    最初の写真、ストラヴィンスキーじゃなくセルだよね?
    確かに2人似てるけど...
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    2017/9/17 15:06
  • NO NAME71da09007607
    第二次世界大戦では、ワーグナー音楽がナチズムの戦意高揚に利用された。その反省から、ヨーロッパの音楽家は、音楽に対しても知的対峙の必要に迫られる。

    グールドの音楽は非常に警戒的、知的である。モーツァルトにさえ、知的対峙に徹し、手前に留まろうとする。

    逆に言えば、それだからこそ、グールドの音楽は世界性を獲得しているともいえる。

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    2017/9/17 15:02
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