最近、FLAC形式が広く使われるようになってきていますが、時折「タグを付けてるのに特定ソフトや機器で表示されない」、「(タグが原因で?)再生できない」といったケースが散見されます。
MP3形式やWAV形式にタグの混乱があることは割と知られていますが、実はFLACにもそうした問題はあるんです。
【混乱1:FLACでID3v2タグを誤用】
FLACの正規のタグはVorbisCommentという規格のタグです。ところが、間違ってMP3等で使われるID3v2という規格のタグを付けてしまっている方が時々います。
殆どの機器やソフトが読めるのはVorbisCommentだけで、FLACのID3v2タグは読めずに楽曲情報が空白になります。場合によっては、ID3v2タグが付いたFLACは再生できないソフトや機器もあるようです。
殆どの機器やソフトが読めるのはVorbisCommentだけで、FLACのID3v2タグは読めずに楽曲情報が空白になります。場合によっては、ID3v2タグが付いたFLACは再生できないソフトや機器もあるようです。
FLACは2001年のv1リリース当初はID3v1/v2タグが使われていたようですが、翌年からVorbisCommentタグにも対応し、2003年にXiph.Org Foundation傘下に入った後、2004年にID3タグへの公式対応を打ち切ってVorbisCommentに一本化しました(Xiph.Org Foundation傘下の形式は基本的にタグはVorbisCommentに統一されている)。
そんな経緯でFLACの正規のタグは10年以上も前からVorbisCommentだけですが、ファイルの基本構造が変わったわけではないので今もID3v2タグを付けることは一応可能です。
そんな経緯でFLACの正規のタグは10年以上も前からVorbisCommentだけですが、ファイルの基本構造が変わったわけではないので今もID3v2タグを付けることは一応可能です。
但し、最近の殆どのソフトはVorbisCommentにしか対応しておらず、FLACでID3v2タグが扱えるソフトは上級者向けのごく一部のソフトに限られます(それも多くは読み込みだけで、書き込みができるソフトは更に限られる)。
また、ID3v2タグはファイル冒頭に書き込まれるため、非対応のソフトだとこのタグの存在が原因で再生できないケースがあるようです(当方は、Lilith、MPC-BEなどでそうしたトラブルを聞いたことあり)。
また、ID3v2タグはファイル冒頭に書き込まれるため、非対応のソフトだとこのタグの存在が原因で再生できないケースがあるようです(当方は、Lilith、MPC-BEなどでそうしたトラブルを聞いたことあり)。
(FLACのID3v2に対応してるソフト)
●FLACにID3v2を新規書き込み出来るソフト
・ExactAudioCopy(要設定)
・Quintessential Media Player(要設定)
・昔のdBpowerampMusicConverter(要設定) 現在は不可っぽい
●FLACにID3v2を新規書き込み出来るソフト
・ExactAudioCopy(要設定)
・Quintessential Media Player(要設定)
・昔のdBpowerampMusicConverter(要設定) 現在は不可っぽい
・・・いずれも、特殊な設定をしたり誤設定により書き込み出来るという話であって、通常の設定では書き込みできません。
この中でヤバイのはExactAudioCopy。元々設定が専門的で難易度高めのソフトであり、知識のない人が間違った設定をしてFLACにID3v2タグを付けてしまうケースが結構あるようです。
●FLACのID3v2を読めるソフト
・foobar2000
・TagScanner
・MediaInfo
・昔のdBpowerampMusicConverter(要設定) 現在は不可っぽい
・XMPlay、uLilithも可能だったかも
・foobar2000
・TagScanner
・MediaInfo
・昔のdBpowerampMusicConverter(要設定) 現在は不可っぽい
・XMPlay、uLilithも可能だったかも
・・・他にもあるかもしれませんが、中上級者向けソフトでも非対応のほうが圧倒的に多いですね。機器類も同様だと思われます。
尚、foobar2000やTagScannerであっても、表示は出来ても、それを編集して保存するとID3v2は元の内容のまま放置されて新たにVorbisCommentが書き込まれるという不完全な対応のようですので、やはりID3v2は避けるべきです。
現在FLACでID3v2を使ってる方は、こうした過去の経緯を知った上で何らかの理由があってID3v2を敢えて使い続けている・・・という訳ではなく、殆どはExactAudioCopyの誤設定でID3v2を付けてしまい、更に音楽管理にfoobar2000(ID3v2も一応読める)を使っていて異常に気付いてさえいない、という中途半端な中上級者?が多いようです(で、他のソフトや機器でタグが認識されなくて始めて異常に気付く、というパターン)。以前、某巨大掲示板でこの話題が出た時に「確認したら自分もそうだった」というEAC+foobar2000ユーザーが何人も出てきて驚いたことがあります。
尚、FLACのタグはID3v2だと言い切る変な方を稀に見かけますが、これはおそらく勘違いしてるだけです(楽曲情報のタグ全般のことを、英語では「識別タグ」といった意味合いで「ID-tag」と呼ぶことがあり、これをID3タグと混同してるっぽい)。
【混乱2:タグ項目名の食い違い】
Vorbis Commentは、「項目名=値」という形で情報を記録します。例えば「Title=Yesterday」、「Artist=The Beatles」、みたいな形式。
ところが項目名は規格等で明確に決まっておらず、主要なものが例示されてるのみなので、時折項目名がソフトにより異なる場合があり、互換性が無くて表示できないケースがあります。例えば・・・
ところが項目名は規格等で明確に決まっておらず、主要なものが例示されてるのみなので、時折項目名がソフトにより異なる場合があり、互換性が無くて表示できないケースがあります。例えば・・・
●アルバムアーティスト:「Album Artist」、「AlbumArtist」、「Ensemble」
●年:「Date」、「Year」
●トラック番号:「Track」、「TrackNumber」
●ディスク番号:「Disc」、「DiscNumber」
●レーベル:「Label」、「Organization」
●コメント:「Comment」、「Description」
●年:「Date」、「Year」
●トラック番号:「Track」、「TrackNumber」
●ディスク番号:「Disc」、「DiscNumber」
●レーベル:「Label」、「Organization」
●コメント:「Comment」、「Description」
・・・および、これらの大/小文字違いにより認識できないケースもあるようです。
このように、FLACもタグは完璧ではないので、タグ関連でトラブルに見舞われたら上記のようなことを疑ってみてください。
(補足)
FLACのタグの文字化けについて問い合わせを頂いたので、補足しておきます。
VorbisCommentは文字コードはutf-8と決まっているため、基本的に文字化けは起こりません。文字化けが起こりうるのは、色々な文字コードが使えるID3v2の場合です。
ExactAudioCopyは各種のファイルに強引にID3v2を付けるオプションがありますが、更にID3v2にユニコードを使うかどうかを選ぶオプションもあります。これをオフにするとID3v2がシフトJISコードで書き込まれるため、文字化けが発生する可能性があります。