山形のお寺でライブ終了後、今日もブログを書いたり消したりしています。

素直な気持ちを、悔しさとかやるせなさとか申し訳なさとか、せめて、
わかりたいと思ってくれる人にだけは誠実に、丁寧に伝えようと文章をかこうとするのだけど、また粗雑に、大事な順に端折ってまとめられる可能性や、いつもどおり曲解されていくことを予測しながら文字をうちこんでは、きっと無駄な気がして消してを繰り返しています。
諦めよう、と毎秒のみこんでいます。
 


ね。だってもうこの話やめろって感じですよね。
傷つくし。
またきっと誰か傷つくし。 
私も疲れたし。
大森靖子をマイノリティーに勝手にぶちこんで蔑視されて当然枠の扱いを、無自覚にされることに対しては、私が一人で断固拒絶し続ければいいだけの話ですが、結果的に私のことを好きな人も好きだというだけできついことを言われる状況になっているので、申し訳ないなあとたくさん泣いたけれど、私が泣くことがみんなもつらいんだよなあと思い至り、それもやめました。



わたしは、ものづくりがとても好きで、ものをつくる精神性の部分が、とても潔癖です。

8年前、美大に通っていた頃、同じゼミで、私のとても好きな絵を描く女の子の絵の上に何気なく飲みかけのコーラをおいた男子がいました。
悪意なく、デッサン中の石膏像にもたれ掛かって位置をずらしたり、絵を描いているのにとにかくうるさかったり。
「あー私こいつ本当に無理だ…」と思って、キレちゃったんです。 
そこでキレてしまったことを、
メンヘラとは、自分では全く思ってなくて、むしろ芸術に関わる人間として認識不足なんだから当然だと思っていたんです。
作品には本気で命を注いでいるから、ほんとうに自分の血肉が通っていて、ぞんざいに扱われたら、私は男にやり捨てられたときの一億倍つらく感じる。

で、彼に「そういう意識の人間は、もう芸術に関わらないでほしいと私個人はあなたに対して永遠に思います」と言いに行きました。
 
もう、やることが、今と一貫して全く変わらなさすぎて自分でも呆れるんですけど。

ゼミには、私と同じ気持ちの女子が何人かいて、その子達も個別に彼に何か言いに行っていたようで、結局彼がアトリエに入りづらくなった空気を察知した元同級生の助手(私が休学したので)が、mixiの限定公開の日記で「幼稚だ、大人気ない」などと長文で私を含めたゼミの女の子の悪口をかいているのをみつけて。
「え?そっち側なの?」って唖然としてしまって。
 

その時のキョトンと、最近ずっと同じ気持ちで過ごしています。



ものをつくる人じゃないと、わからないのかな、さみしいな。
悪意ないんだから許せと言われても、悪意がないというのが最大の問題なんです、私にとっては。
作品やライブに対する意識が欠陥しているとしか思えない発言だったんです、私にとっては。

私にとっては、です。


なのでとても怒ってしまいました。
キレ方、表現方法については、度がすぎたと思っています。自分の性格のダメなところが全部でてしまいました。すみませんでした。



ただ、怒ったという自分の気持ちに関しては、偽る必要はないし、なかったことにされちゃうなんてできないし、
今でも全く変わらず、永遠に怒っています。許す気もありません。
自分のライブは、自分の音楽は、自分の人生賭けて唯一のプライドなので。
プライド高いブスは嫌でも、むしろだからこそ私には音楽しかないと思って戦ってきたので。



私はメジャーデビューするのに弾き語りをはじめてから7年かかっています。
ライブハウスでブスの女が弾き語りでバンドとタイマンはるのを何年も繰り返すって、どんな感じか、いまいち想像つかないと思うんですが、自分でいうのはどうかとも思いますが、ひたすら孤独です。恋愛において感じたことのある孤独とは比にならない孤独です。理不尽なことだらけです。毎日ケラケラ笑いながら酒を帯びた差別発言投げつけられてバンドマン大嫌いになりました。毎日やるせなくて怒って部屋に帰ってブログに全部ぶつけていました。


音楽は魔法ではない、でも音楽は。


この"音楽を捨てよ、そして音楽へ"という曲は、
そんな真っ暗なライブハウスで戦うためにつくった曲です。
磯部涼さんの著書「踊ってはいけない国、日本」が発売されたころにつくった曲なので、2012年から歌っています。
一緒にたくさんの日々を積み重ねてきた曲です。 

「本気でやって5年かかったし」という歌詞があります。

この曲ができてから、今、ちょうど5年です。

こんな形にはなってしまいましたが、たくさんの人が、音楽は魔法なのか、というか、自分にとって音楽はなんなのかを、言語化することに挑戦してくれているのをみました。


正直、そこは、とても、嬉しかったです。
本気でやって5年かかって、やっとこの曲が届いた、役目を果たした、と思いました。

音楽を愛していると発言している人みんなの、音楽との向き合い方を問いたくてつくった曲だったからです。


私は「音楽は魔法だよ」と思う人に対して怒っているのではないんです。そんなの私が一番願っているし、今まで何度も、魔法を超える瞬間をライブで味わってきました。



ライブにはライブの流れというものがあって、私のあのライブのあとにあのMCがあったことがとてもつらかっただけです。
更にその彼らの言う魔法のステージが、私が歌って雇っているスタッフとバンドメンバーの善意によって成り立ったのに、何度視界にぴょんぴょん入っても挨拶や謝意がなかったことに加え、翌日の私のライブ後に、ライブは見ずに会いにきたときの、あまりにも失礼な態度により、怒りが増して暴走モードに入ってしまいました。その暴走具合によりまきこんでしまった方、傷つけてしまった方、心から申し訳なく思っています。ごめん。全然許さなくていいよ。




周りの人だけ、わかるひとだけ、わかってくれればいいや、もう忘れてしまおう、世界のことも諦めよう、とか、他にもたくさん、いろんな気持ちがあって、とにかく絶望して、絶望させて、


それなのに、
スーサイドラインすり抜けて曲がうまれて、
曲がうまれたならそれでオールオッケー!とか思っちゃうぐらい、私は音楽に関して大馬鹿で盲目です。
ほんとすみません。



あれから既に3本ライブがありました。
自分の曲に感動して、自分の曲を歌えば歌うほど自分を取り戻して、音楽の力を再認識する機会にもなりました。
そのLINE LIVEの配信のアーカイブもまだ残ってるので見てくださると嬉しいです。

私ならライブがあればいつだってMUTEKIです。
私の音楽があなたのMUTEKIアイテムになれるよう、これからも心を込めて、たくさん歌っていくので、
今後ともお付き合いいただける方いらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。



大森靖子