絵画でも、音楽でも、痛々しい作品を作る人って、たまにいます。
例えば、エゴン・シーレとか、
エゴン・シーレ (Egon Schiele) 画像と美術館のリンクから、イメージ取ってきました。
シーレのまとめは、この方のブログ
が分かり易くて素晴らしいです。
ユニクロで、シャツにもなっている、バスキアット。
バスキアは、映画にもなってます。
が、今回は、痛い音楽。
エミネムに挑戦します。
まずは、この曲。(古いです)
ざっくり言うと、
テレビばっかり見て、オトナの吐く嘘を鵜呑みにしてたら(鵜呑みにできないと)、俺みないなキチガイになっちまうぜ。
って感じのメッセージでしょうか。
そして、
ニコルソン好演の「カッコウの巣の上で」を彷彿とさせる出来のビデオです。
あと、これは、閲覧注意にしたいくらい。私も、吐きそーになりました。見たくないビデオです。
が、これ見て、
「あ、この人、義父だけじゃなくて、母親にも性的虐待されてたな」
と感じました。
英語の歌詞を和訳すると、基本的に著作権に触れるそうなので、(てか、韻を踏んでなんぼの、狂気の歌謡、ラップを日本語にしても、意味ないし)今回はヴィジュアルからアプローチしてみます。
ということで、個人的に印象に残ったイメージについて、書いて見ます。
一番最初の、My name is で、テレビを見ている男女、私、めっちゃ怖いです。
彼の両親、家族のイメージではないか、と思うのですが、所謂、ホワイト・トラッシュ(白いゴミ)と呼ばれる、白人経済下層の方々です。
白人貧困層は、トランプ政権を頑なに擁護し、人種差別的活動に勤しみますが、彼らこそが誰も擁護しようとはしない、隠れた被差別層であり、それ故に、解消し難い鬱憤が溜まっている、と言われております。
白人として、(後述しますが)ゆかいなブレイディー家のような中流家庭を築けない人達は、社会の落伍者として、ある意味、黒人やヒスパニック等、被差別人種よりも、耐え難い苦痛を経験します。
白人の自分達が、不遇な有色人種よりも高学歴、高収入を得られるはず。それなのに、できない、ということが、彼らにとっては、耐え難い屈辱だからです。
有色人種の私としては、触らぬ神に祟りなし。なるべく距離を置きたい方々です。
My name is はスリム・シェイディが番組ホスト、という設定で始まります。
次に紹介するビデオにも出てくる、スリム・シェイディは、エミネムの3つの人格のうちの一つ、とも言われています。配役者の、マーシャル・マザーズは、エミネムの本名です。
この時点で、エミネムの多重人格性、芸能界で生きていくことのキチガイさが示唆されていると感じます。
スキンヘッドや、ネオナチに代表される、白人至上主義に流れがちな、白人貧困層出身のエミネムが被差別層の黒人文化の粋である、ラップで名を成した、というのは、何とも皮肉で、彼の抱く、大きな矛盾を示唆していると思われます。
1:19辺りで出てくる画像は、「ゆかいなブレイディー家」というアメリカの国民的コメディドラマのタイトル画のパロディ、「あやしいシェイディー家」となっています。本当なら、それぞれの枡に、家族の顔が現れるのですが、全てエミネムの顔で埋め尽くされます。
「ゆかいなブレイディー家」は、双方、子持ち再婚したカップルの、面白おかしい家族ドラマ番組です。絵に描いたような、中流の白人の家庭、「平均的(白い)アメリカの家族」を描いているとも、言えましょう。
エミネムの母親は、ドラッグに浸りっぱなし、父親は現在もどこで何をしているか、分からない。母親の再婚相手に性的虐待を受けて育った彼にとっては、家族とは、影闇(シェイディー)でしかない、ということでしょうか。
1:32で、ちらっと表れるスーツ姿の白人男性。
黒人ばかりのスラムのベンチで、横たわるエミネムの前を横切りますが、危ないお薬を買いに来たのでしょう。
母さん、乳のないあんたに、俺を食わせることなんてできるはずねぇだろ。
人生の99パーセントは、嘘をつかれてきた。
学校では、落ちこぼれ。先生なんて、空っぽの激励の言葉を吐くだけ。
キモいおっさんに操られ、口をパクパクさせてる人形は、自分自身。
クリントンとモニカ・ルウィンスキーのスキャンダルで持ちきりだった頃を髣髴とさせる、ニュース速報。
クリントンさながら、スーツを着て、胸に手を当てて、真実を語ることを誓ったエミネムの講演台は、ズボンを半分下ろした彼の下半身と、女装した、もう一人のエミネムが、フェラチオに興じていたことを隠しとおすことはできません。
性的虐待を家族に受けて育つ子供達は、嘘に心を蝕まれ、真実を憎悪します。
The real slim shady も、又、精神病患者とレッテルを貼られる人々が、いかに、世の中の欺瞞と上手に付き合っていけないが為、キチガイになっていくか、が描写されているように感じます。
芸能界のシェイディーな噂について歌った画像(元AV女優のパメラ・アンダーソンのDV夫や、二股かけた彼氏達にフェラチオしたクリスティーン・アギレラ、子供向け番組で人気の出た良い子のブリットニー・スピアースや、NSYNC達と仲良しなんてやってらんねー、って感じの映像になってます)で、名誉既存とかの訴訟も起こされました。
性的虐待を受けて育った彼にとって、セックスは、暴力的で汚いモノでしかありえません。
彼の歌詞は、放送禁止用語だらけなので、大衆の反感がっつり、グラミーだって無理じゃない、と言われていましたが、
「そんなん、クソっくらえだ」
と、公言することで、自分を芸能界のキチガイにしていく、エミネムの姿を描いているビデオなのではないでしょうか。
Just lose it は、児童性的虐待の噂のある、マイケル・ジャクソンを髣髴とさせる出来です。
もう、この映像について語るのも気持ち悪いので、この曲で終わりにします。
エミネムの狂気からの回復の道のりが険しく、空虚で、絶望的な事を示唆するビデオですが…
洋楽に興味のある方は、軽薄な精神分析シリーズをどうぞ。
期間限定公開です。2-3日で削除します。
軽薄な精神分析 1. The Chainsmokers 大人になれない僕達 現代アメリカの若年層 ミレニアルの闇 - 精神分析のススメ