ロンドン地下鉄駅で爆発 「テロ事件」として捜査
ロンドン南西部で15日午前8時20分(日本時間同午後4時20分)ごろ、地上にある地下鉄駅の車両内で爆発があり、22人が火傷などのけがを負い、病院で手当てを受けている。ロンドン警視庁はテロ事件として捜査を進めていると発表した。英国ではこれで今年だけで5件のテロ攻撃が起きたことになる。
ロンドン警視庁のマーク・ローリー副総監は、「自家製の爆発物」が地下鉄車両内で爆発したと説明。現場は立ち入り禁止状態で、テロ事件として数百人態勢で捜査を進めていると述べた。
爆発はウィンブルドン発東方面行きディストリクト線のパーソンズ・グリーン駅で起きた。駅は地上にある。
現場写真では、車両内の床に置かれたスーパーの袋に入った白いバケツから炎が上がっているのが見える。また装置からは複数の電線が床に伸びている。
BBCの取材で、爆発物はタイマー付きだったことが分かった。
ロウリー副総監は「ロンドン市民は今日1日、特に交通機関において、警察の人数増加に気づくはずだ」と述べ、市民は「心配するべきではない」ものの、不審物などに「注意する」よう呼びかけた。
現場で写真や動画を撮影した人は、ukpoliceimageappeal.co.ukにアップロードするよう求めている。
BBCのフランク・ガードナー治安担当編集委員は、爆弾が「部分的に作動しなかった」可能性があり、場合によっては「はるかにひどい」事態になっていた可能性があると指摘する。
編集委員によると、捜査当局は今後、政府がテロ警戒レベルを上から2番目の「深刻」から最高レベルの「危機的」、つまり近くテロ攻撃が起きる恐れがあるという状態に引き上げるべきか検討するはずだという。
事件を目撃した人たちは、少なくとも顔に負傷した乗客1人を見たと話している。また、慌てた乗客が「パニック」して車両を離れる様子を見たという人たちもいる。
18人が救急車で市内各地の病院に運ばれ、4人が自力で病院を訪れたという。
乗客のピーター・クロウリーさんは、ウィンブルドンから列車に乗り座っていたところ、爆発が起きたと話した。「頭の上に来た本当に熱い、激しい火の玉」で頭を火傷したという。「自分よりはるかにひどい状態の人たちもいた」。
乗客のクリス・ワイルディッシュさんはBBCラジオに対して、後方の車両のドア近くにスーパーの袋があり、その中に入っていたバケツから「細かい炎が出ていた」と話した。
爆発発生時に車両に乗っていたエマ・スティービーさんは、列車から離れようとする人の流れに巻き込まれて、ホームからの階段で押しつぶされそうになったと言う。
「柱の隣の隙間に体を入れて、丸くなった。私の下には妊婦さんがいて、彼女を押しつぶさないようにしていた。大変だった」
「小さい男の子が気の毒に、頭や色々なあちこちをぶつけてけがしていた。ひどかった。周りの人に押されてけがをしている人が大勢いて、そのけがが一番ひどいように見えた。駅の外では、地面に座り込んでいる人や泣いている女の人がいた」
テリーザ・メイ英首相は、「パーソンズ・グリーンで負傷した人たちと、このテロ事件に勇敢に対応している救急職員のことを思っています」とツイートした。
ロンドンのサディク・カーン市長は、ロンドンは「決してテロに脅えたり敗れたりしない」と述べ、市民に平静をたもつよう呼びかけた。
ドナルド・トランプ米大統領は、「またロンドンで負け犬テロリストの攻撃があった。スコットランドヤードに把握されていた、病んで頭のおかしい連中だ。積極的に対応しないと!」とツイートした。
英国ではこれで今年だけで5件のテロ攻撃が起きたことになる。今回初めて死者が出なかったが、過去4回の攻撃で計36人が死亡している。
BBCのドミニク・カシアーニ内務担当編集委員によると、警察はほかに6件の重大テロ計画を未遂で阻止したと考えている。この6件はいずれも、近く裁判が始まる見通し。
カシアーニ編集委員は、イングランドでこれほど集中的にテロ攻撃が続いたのは、アイルランド共和軍(IRA)の爆弾テロが相次いだ1970年代初め以来のことだと指摘している。
(英語記事 Parsons Green: Underground blast a terror incident, say police)