もうすぐ敬老の日ですね。
敬老の日の行事食には高齢の方でも食べやすい和食がメインになることが多いと思います。
健康的な食事の基本として『まごわやさしい』という語呂合わせがあります。
敬老の日に今後の食事を見直してみるのはいかがでしょうか。
『まごわやさしい』
『まごわやさしい』食事法は杏林予防医学研究所所長の山田豊文先生が考案した健康によい食材の頭文字を並べたものです。
これに『こ』を付け加えて『まごわやさしいこ』とする場合もあります。
『こ』→酵素、発酵食品
これらは日本の食卓に馴染みのある食材ばかり!
無形文化遺産に登録され海外からも注目される“和食”には健康によいとされる食材がふんだんに使われています。
『ま』→豆(大豆製品)
豆類は炭水化物、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどをバランスよく含みます。
そのなかでも大豆は栄養価が高く“畑の肉”と呼ばれています。
納豆や味噌などの発酵食品も健康によいとされていますね。
炭水化物が多い豆類
あずき、ささげ、いんげんまめ、えんどうなど。
こちらの豆類は炭水化物を豊富に含み、脂質はほとんど含んでいません。
そのため“低脂肪、高たんぱく食品”としてダイエットなどでも注目されています。
脂質が多い豆類
大豆や落花生は先ほどのあずきなどに比べて脂質が多めです。
大豆肉(大豆ミート)
最近は大豆を練って肉の食感に似せた大豆肉も販売されています。
肉に比べるとパサパサしがちなのでとろみのあるソースをかけたり、あんかけにすると食べやすいと思います。
[参考資料]
豆類協会 mame.or.jp
大豆ミートとは?|大豆ミート専門サイト|大豆ミート・ソイミートの老舗「かるなぁ」
『ご』→ごま(ナッツ類)
ごまやナッツ類には良質な不飽和脂肪酸が含まれています。
たんぱく質や食物繊維、鉄分も豊富です。貧血予防にも重宝します。
少ない量でたくさんの栄養素を確保できるのもうれしいところ。
ごまの表面の殻は人間の消化器では分解できないとされています。ごまをすることによって吸収率がアップします。
炒め物の際、風味付けにごま油を使うのもいいですね。
不飽和脂肪酸
ごまの油分は主に不飽和脂肪酸であるリノール酸とオレイン酸で構成されており、リノール酸は細胞膜を作る材料。体内で合成することが出来ない必須脂肪酸の為食品から摂取しなければなりません。
リノール酸は血中の悪玉コレステロールを溶解し排出するといわれており、オレイン酸は、善玉コレステロールを減らさずに、悪玉コレステロールを減らしたり、大腸で便の滑りをよくしたりする便秘予防の作用があります。
[参考資料]
ごま一筋60年「ごまの通販専門店」オニザキ公式ショップ
ごまレシピ|九鬼産業株式会社|こだわりのごま油・いりごま・すりごま・ねりごま・ごま加工品
『わ』→わかめ(海藻類)
海藻類にはビタミン、ミネラル、食物繊維、うま味成分など嬉しい栄養素がたっぷり。
たくさんの栄養素を含んでいるにも関わらず超ヘルシーです。
海藻のぬるぬるは水溶性食物繊維。善玉菌を増やし腸内環境を整えてくれます。
出汁を取るならこんぶ、味噌汁に入れるならわかめ、煮物にするならひじきといったところがメジャーですね。
おにぎりに海苔を巻いたり、海藻サラダにしたり。青のりを天ぷら粉に混ぜて磯辺揚げにしたり。
使い勝手はいいと思います。
わかめペプチド
わかめペプチドには血圧安定効果があるそうです。
むずかしい単語が多いですが、わかめペプチドという成分が血圧をあげすぎないように戦って守ってくれるということです(簡単すぎ?)
[参考資料]
おいしい健康情報が満載!理研ビタミン健康成分ラボ
『や』→野菜
野菜はビタミンやミネラルが豊富です。
ビタミンやミネラルはからだの調子を整えるのに大切。
糖質をエネルギーに変換するのにもビタミンが必要です。代謝や運動などにも関与しています。
ビタミンは種類によっては欠乏症が現れたりします。
なんかだるいなー、風邪が治らないなー。
からだの不調のときはビタミン不足が原因の場合もあります。
緑黄色野菜と淡色野菜どちらもバランスよく取り入れられるといいですね。
野菜は1日350g以上
野菜は1日に350g以上食べることを推奨されています。
350gってどれくらいでしょうか?
和え物やサラダなどの小鉢サイズを1皿、野菜炒めなどの大皿サイズは2皿と数えて合計5皿が目安となります。(1皿は野菜70gで計算)
食事バランスガイドでも同じ計算です。こちらのイラストを見たことがある方は多いかと思います。
きのこ、いも、海藻も含めた“副菜類”は5〜6SVの摂取が勧められています。
[参考資料]
農林水産省/「食事バランスガイド」について
農林水産省/サービング数 計算早見表
『さ』→魚
魚といえばタンパク源ですね!
お肉よりも消化しやすいタンパク質なので胃腸がまだ未発達な子ども、胃腸が弱ってきた高齢者でも食べやすいのが特徴です。胃もたれしにくい!
骨まで食べられる小魚にはカルシウムもたっぷり。カルシウムの吸収を促進するビタミンDも内臓部分に含まれているので同時に摂取できるのもうれしいですね。
青魚には不飽和脂肪酸も豊富です(参照:ごまの説明文)
DHAとEPA
魚の脂と言えばDHAとEPAが有名です。
どちらも不飽和脂肪酸のオメガ3に分類され、生活習慣病の改善に期待されています。
DHA(ドコサヘキサエン酸)
DHAは脳の構成成分として成長期の脳に必要で、神経系に働きかける言われています。
「魚を食べると頭がよくなる」と言われるのはこのDHAのおかげです。
DHAには血液サラサラ効果もあります。血管や赤血球を柔らかくし血液が流れやすくするのです。
EPA(エイコサペンタエン酸)
EPAにも血液サラサラ効果があります。
DHAとは違い、EPAは血栓(血管の中で血が固まって詰まること)を予防し、血液自体をサラサラに導くのです。
DHAとEPAの血液サラサラ効果は似ているようでメカニズムが違います。
また、EPAは神経系に働きかけることはできないと言われています。
[参考資料]
魚に含まれる栄養素
EPAとDHAの違いは? | サラサラ生活向上委員会 | ニッスイ
『し』→しいたけ(きのこ類)
きのこも旨味の宝庫です。
食物繊維が豊富で低カロリー。
「菌活」ということばができるほど(女性が好きそうな言葉ですね)
菌類ですのでしっかり火を通してくださいね。じっくりゆっくり熱を加えることでさらに旨味もアップしますよ(^o^)/
しいたけのグアニル酸
3大旨味成分のひとつであるグアニル酸を豊富に含むしいたけ。
生しいたけよりも乾燥しいたけのほうが旨味成分(グアニル酸)を多く含みます。
また、生しいたけを冷凍することによりグアニル酸が出やすくなり、旨味がアップします。
乾燥や冷凍によりしいたけの細胞が傷つき、旨味が出てくるのです。
[参考資料]
きのこで菌活 | きのこらぼ
きのこ豆知識 « 霊芝・しいたけ・きのこの栽培は 秋山種菌研究所
『い』→いも類
じゃがいも、さつまいも、里いも、長いも、、、
主食になり得るほどの炭水化物があるので腹持ちがよい食材です。
炭水化物と野菜のいいとこ取りのような存在。
葉物野菜などに比べ、煮たり茹でたりしても栄養素が抜け出しにくいとされています。
便秘解消にさつまいも
ツイッターなどで「子どもが便秘だからさつまいも食べさせよう!」というツイートを時々見かけます。
さつまいもって食物繊維がたっぷりなイメージがあるんでしょう。
さつまいもには不溶性食物繊維が豊富です。
不溶性食物繊維は腸の動きを活発にしたり、便の量を増やしたり、便通を促進するはたらきがあります。つまり便秘解消効果があります。
しかし、不溶性食物繊維だけではかためのうんちになりやすいという難点が。
ただでさえ便秘でおなかが痛いのに、かたいうんちでは排泄しにくい…!
さらにさつまいもの食物繊維は発酵性が高いので、おなかが張りやすくガスが発生しやすい(おならが出やすい)という特徴もあります。
便秘解消目的でさつまいもを食べるなら水分もしっかり摂るように意識してみてくださいね。
不溶性食物繊維は水分を含むことでふくらみ、便のかさが増やすので排便しやすくなります。
[参考資料]
食物繊維の分類と特性|大塚製薬
献立例
1食にすべてを盛り込む必要はありません。
今日足りなかったものは明日足す、という考えで大丈夫。
1週間程度の猶予をみてバランスが取れていればOKです。
『まごわやさしい』を取り入れた例です。
一部クックパッドに飛べるようになっていますのでよかったら参考にしてください。
朝
- トースト
- ツナ入りオムレツ【さ】
- プチトマト【や】
- 具だくさん野菜スープ【や2】
昼
- 鶏ときのこのあんかけうどん【し】
- ひじきの煮物【わ】
- もやし炒め【や】
夕
- ごはん
- 豆腐とわかめのみそ汁【ま】【わ】
- 焼き魚【さ】
- ごった煮【や】【い】
- ほうれん草のごま和え【や】【ご】
こんな感じで献立を組めば1日で『まごわやさしい』すべて組み込めます。野菜も6皿分。
『こ』も含めるとしたら調味料で醤油や味噌を使用しているのでクリア!(酵素、発酵食品)
敬老の日のお祝いの際には赤飯を炊いたり、鯛の塩焼き、紅白なますなどを取り入れると豪華になります。ちらし寿司も華やかですし、季節の食材として栗ごはんやさつまいもごはんもいいですね(^^)
今回は『まごわやさしい』をベースにしたので果物はいれていませんが、そちらも組み込めるとさらにバランスが良くなります。
おわりに
ザッとそれぞれのポイントと雑学だけ放り込みました(^^;)
健康的な食事のポイントはこれらの食材を組み合わせ、バランスよく食べること。
「これだけを食べればOK!」というものではありません。何事もバランス。
敬老の日にはおじいちゃん、おばあちゃんの健康を祈って『まごわやさしい』食事法を取り入れてみるのはいかがでしょうか?
お孫さんがお手伝いしてくれたらもっと素敵ですね(^^)
乾燥した豆類、ナッツ類は誤嚥の危険もあるので小さい子どもや高齢の方は注意してくださいね。
また、医師から食事制限などの指導を受けている場合はそちらに従ってください。
お知らせ
みるおかさん(id:salawab)の特化ブログ(WP)にて、管理栄養士として協力させていただきました。
商品開発職と管理栄養士。
近いようで遠く、遠いようで近い存在です。
よろしければご覧ください(^^)
今後、管理栄養士養成学校の話なども私のブログ内で展開していきたいと思っています。眠ってる下書き掘り起こしてきますので少々お待ちを(いつになるやら)
それでは、また。