このところ、多くの芸能人の方が自らが乳がんにかかったことを公表・告白しており、無事に回復された方も多数おりますが、残念なことに亡くなられた方も少なくありません。
国内における乳がんの罹患率(※疾病の発症の頻度をあらわす指標)は年々増加傾向にあるようです。国立がん研究センターの発表によれば、女性の部位別のがん罹患数は乳がんが1位であり、死亡数は5位となっています。
乳がんは、早期に発見(ステージⅠ期)できれば10年生存率が90%を超えます。しかし、発見が遅れステージが進むにつれて生存率が下がるため、早期に発見し治療を始めることが重要です。
早期発見、早期治療が重要な乳がんですが、日本における乳がんの検診率は低く、35%程度です。
その理由としては、乳がんに対する意識の低さということもあるのでしょうが、マンモグラフィ検査の大変さ(痛み)ということが大きな理由の1つに挙げられるのではないでしょうか。
そんな中、島津製作所では、寝るだけでまったく痛みもなく乳がん検査ができる、乳房専用PET装置『Elmammo Avant Class(エルマンモ アヴァン クラス)』を発表しました。
『Elmammo Avant Class』とは
『Elmammo Avant Class』は、島津製作所が2014年に開発・製品化した乳房専用PET装置『Elmammo』の後継機です。
患者は装置の上にうつ伏せに寝て、乳がんを検出するホール(検出器)に乳房を片側ずつ入れるだけで検査できるため、マンモグラフィ検査のような乳房への圧迫による痛みがありません。
『Elmammo Avant Class』は、前モデル『Elmammo』の特長である優れた感度と高い解像度はそのままに、寝台の上面とホール(検出器)間の距離をできる限り短くしたことにより、胸壁部分に発生しやすいブラインドエリア(検出できない部分)が縮小されました。
また、本装置では、患者がうつ伏せになった際の“心地よさ”という点も、さらに追求・改善されているとのことです。
Elmammo Avant Classの特長
【患者への負担の少ない快適な検査】
検査時間は、片胸5~7分、ポジショニングを含めて15分前後で両胸の検査が完了します。マンモグラフィ検査と異なり乳房を圧迫しないため、検査にともなう痛みはありません。
また、患者がうつ伏せの姿勢をとりやすいように顔を乗せる部分のくぼみが深くなっているため、首へかかる負担も少なく楽な姿勢で検査を受けることができます。
【ブラインドエリアの縮小】
前モデルの『Elmammo』よりも検出器を上部に配置し、さらに検出器ホール周辺のクッションを薄型にしたことにより、寝台上面と検出器間の距離が18mm短縮されました。これにより、胸壁部分のブラインドエリアの縮小を実現しています。
まとめ
まだまだ乳がん検診率の低い日本ですが、痛みのないこの検査装置の登場により、さらなる検診率の向上に繋がり、早期発見、早期治療で助かる命が増えることを願っています。