ブログはもとより、文章を書いていて、以前より気になっていることがありました。
それは、カタカナ表記の単語で、末尾に音引きの長音付を付けるのか、もしくは付けないのか、どっちだろう?ってことです。
例えば、メーカー or メーカ、ユーザー or ユーザ、メモリー or メモリ などなどです。
以前は、たいして気にもしていなかったのですが、一度気になりだすとどうも意識してしまい、カタカナ表記が出てくると、いったいどっちだ??? となってしまいます。
そこで、カタカナ表記における長音付の使い方を調べてみました。
雑誌や書籍により長音の表記は異なりますが、パソコンなどのIT系の雑誌や工業分野の雑誌・書籍などを見ていると、コンピュータやデータ、ドライバなど長音を付けずに表記されているものが多くみられます。
逆に、一般誌や最近では新聞などでは、コンピューターやデーターといった長音を付けて表記する方が多いような気がします。
なぜ、長音付の “あり” “なし” の違いがあるのでしょうか?
JIS(日本工業規格)のカタカナ表記
日本における工業標準化法のJIS(日本工業規格)では、アルファベットの文字をカタカナで表記する際、「2音の用語は長音符号を付け、3音以上の用語の場合は長音符号を省く」といった規則で定めています。
例を挙げると、次のように表記するということです。
- 「Car」や「Color」は「カー」「カラー」
- 「Computer」や「Scanner」は「コンピュタ」「スキャナ」
そのため、IT関連や工業分野の雑誌や書籍などでは、カタカナの長音を略して表記することが多いとのことです。
雑誌・書籍だけでなく、電子機器のメーカーたとえば、Appleや富士通、NECなどでは、現在でもこのJISのガイドラインを採用しており、長音付を略して表記しています。
内閣告示されたガイドライン
上記、JISのガイドライン対し、1991年に出された内閣告示第二号『外来語の表記』では、「英語の語尾の‐er、‐or、‐ar、*yにあたるものは、原則として長音とし長音符号「ー」を用いて書き表す」と公表しています。
たとえば、ドライバー(driver)、モーター(motor)、レーダー(radar)、メモリー(memory)などです。
この流れを受けて、JISのガイドラインも2005年以降は以下に示すように、「長音符号は用いても略しても誤りではない」という内容に追加・編集されました。
a) 専門分野の用語の表記による。
注記 学術用語においては、言語(特に英語)のつづりの終わりの -er、-or、-ar などを仮名書きにする場合に、長音符号を付けるか、付けないかについて厳格に一定にすることは困難であると認め、各用語集の表記をそれぞれの専門分野の標準とするが、長音符号は、用いても略しても誤りでないことにしている。(JIS Z8301:2008 G.6.2.2 aより引用)
マイクロソフトも内閣告示ルールに基づいた表記に統一
全世界でもっともユーザー数の多いPCはもちろんWindowsです。
そのWindowsを開発しているマイクロソフトは、2008年に「マイクロソフト製品ならびにサービスにおける外来語カタカナ用語末尾の長音表記の変更について」というリリースを発表しました。
この発表は、これまでのJIS規格に沿った表記のルールから、長音を付けるルールへと変更するという内容でした。
このカタカナ表記の変更について、マイクロソフトでは次のようにコメントしています。
「コンピュータが日常必需品となり一般化してくるにつれて、長音なしの表記に対してユーザーが違和感を感じるようになっており、“一般的な表記に合わせる時期”である。」
そのため、現在のWindowsのパソコンでは、フォルダーやブラウザーなど長音の付いたカタカナ表記となっています。
まとめ
IT業界を中心に、世界的に影響力のあるマイクロソフトのこの発表は、様々な業界に大きなインパクトを与えました。
この発表を契機に、これまでJISのガイドラインに沿って表記していたITや工業分野の雑誌・書籍をはじめ、あらゆる媒体でのカタカナ表記が、長音を付ける動きへと変わってきました。
とはいえ、現在のところ、長音の“あり”“なし”でどちらが正しいとは決まっていません。
どちらでも好きな方を使っていいわけです。
ただ、読み手からすると、ひとつの記事、ひとつの雑誌や書籍において、どちらかに統一されていた方が読みやすいのはたしかです。
私自身、今後ブログでのカタカナ表記をどちらかに統一していきたいと思いますが、やはり現在の流れから、長音を付ける方に統一した方がいいかぁと思っています。
でも、“フォルダー一覧” や “ユーザー一覧” など、長音と漢字の “イチ” が併記される文の場合、なんか見た目に違和感を感じるんですよね…。