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2017年9月14日 (木)

Apple新社屋の建築がすごい! 1——ビックリの新構造を秘めたシアター編

9000本の木を植えられた、まるで公園のような新キャンパス

良い製品を作るためには、仕事がしやすく、イマジネーションの湧く環境を作らねばならない……と、スティーブ・ジョブズが生前に作りはじめていた、Appleの新社屋。最初はCampus 2と呼ばれていたが、最終的にはApple Parkと呼ばれるようになった。

1km四方ぐらいの土地に、総額50億ドル(約5000億円)かけて作られ、1万2000人の社員が働くと言われている。中心となるのは、ガラスの壁で作られた4階建ての、直径約500mのリング状の新社屋。その他に、駐車場や、発表会を行う『Steve Jobs Theater』、社外から来た人が訪れることになる『Apple Park Visitor Center』などが作られた。

陽光を上手く取り入れ、遮り、風も使って温度を調整し、一年のうちの9カ月は冷暖房を必要としない仕組みになっているとのこと。新社屋屋上などにはソーラーパネルが設置され、100%再生可能エネルギーで運用できるようになっているという。

域内にはなんと9000本の木々が植えられ、自然に満ちた公園のようになっている。スティーブ・ジョブズがしばしば散策しながら新しいアイデアを得たり、ミーティングをしたりしたことから、自然が身近に感じられる環境を構築した。

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草木はまだ植えられたばかりで、まるでテーマパークに入り込んでしまったようなぎこちなさはある。しかし、1年、2年と時が経つに連れ、根付き、その環境に合ったふうに枝を伸ばし、密生していき、そのうち本当の森の中の小道のようになっていくに違いない。

発表会をするために作られた建築物Steve Jobs Theater

その、土地の中で小高い岡状になった場所にSteve Jobs Theaterの入り口がある。そこにあるのは入り口だけで、シアターそれ自体は地中に埋まっている。

今回の取材は、iPhone X、iPhone 8/8 Plusの発表会であると同時に、このSteve Jobs Theaterのこけら落としでもある。つまり、iPhoneだけでなく、10年近い歳月をかけて作られたスティーブ・ジョブズ最後の作品であるApple Parkの発表会でもあるのだ。

小道を歩いていくと丘の上に、Steve Jobs Theaterのエントランスが現れた。完全な円形。曲面ガラスだけで支えられたカーボンファイバー製の屋根を持つエントランスだ。

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約1000人の世界中から集まったプレスが集まってる。撮影をした時には、まだSteve Jobs Theater内部への道は閉じられていたので、すごい混雑状態だった。

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エントランスの内部に入るとこんな感じ。頭上に円盤が浮いているようだ。

上からの強い日差しは遮られ、斜めに入る柔らかな光だけが内部を照らしている。

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階段は2方向にあり、外周に沿ったカタチで階下に降りていく。このApple Parkの他の多くの階段などと同じく、グラスファイバーセメントという、大理石っぽい仕上がりのセメントで作られてるのだそうだ。

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小ぶりな円筒形のエレベータがひとつだけ存在する。身体の不自由な人への配慮ももちろん欠かさないというわけだ。

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ではゲートオープン。いよいよ下に降りていこう(実は外観の写真を撮っていて出遅れた。席取り合戦には相当出遅れた感じ)。

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降りるとこんな感じ。円筒形のエントランスの下は巨大な柱状の形状になっている。実はここに大きな秘密が隠されているのだが、この時の私は知る由もなかった。

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そして正面はこのようなカタチで通路になっており、先にシアターがある。
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上にSteve Jobs Theaterと書いてあるのが見えるだろうか?

シアター内部はステージに向かってかなり強い傾斜となってる。おおよそ1000人位が座れるらしい。

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出遅れたので、慌てて席を取った。かろうじて、座る場所を確保できた。後ろ半分は急なスロープになっており、どの席からも割とステージを見やすい。

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イスはとても座り心地のいいレザーでできており、背板はウッド。

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足下には電源があり、長期間の講演でもパソコンの電源の心配をする必要はない(が、事前アナウンスがなかったので、アダプターは持って来ておらず、バッテリーが15%ぐらいまで減って少しヒヤヒヤした。モバイルバッテリーとUSB-Cに接続するケーブルは持って来ていたのだが、カメラ2台を抱えて、イス下のバッグからバッテリーを出すのが困難な状況だったので、本当に脂汗をかいた)

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そういえば、今回安定してレポートできたのは、会場にも、ホテルにも、移動のシャトルバスの中にさえAppleのWi-Fiが飛んでいたから。1000人いて、それぞれが数台のデバイスを使っていても、ちゃんと動作していたのだから、たいしたものだ。これまでの発表会では、あまりに人数が多く、Wi-Fiには接続できず、セルラーの電波も飽和していてつかめず、リアルタイムでレポートするのは難しい……という状況がよくあったのだ。

Steve Jobs Theaterの秘密の構造


さて、そして、みなさん、ご存知の基調講演が終わって、シアターの後ろ側に出て、仰天した。

入った時にあったエントランスの下の巨大な柱が忽然と消えて、そこにiPhone X、iPhone 8/8 Plus、Apple Watchを展示したタッチ&トライの会場が出現していたのだ。

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仕組みはよく分からないが、円筒状の壁が、屏風よろしく背後に折り畳まれるようになっていたようだ。

エレベータの下部を撮った写真の左側にある壁部分に降りたまれていくようだ。床には何の痕跡もないから本当に驚いた仕組みだ。

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ちなみに、エレベータはら旋状に回転しながら降りてくる。

ちなきみに、階段を途中まで上がった状態で見下ろすとこんな感じ。あの群衆の中で、ラグビーよろしく押し合いへし合いしながら、地元アメリカのメディアから端末を奪い取らないと、レポートできないのだ……なかなか大変(汗)

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Steve Jobs Theaterの秘められた構造がお分かりいただけただろうか? 各メディアの記事が興奮気味だったもこういう背景もあったりする。これからの発表会でたびたび使われる場所だろうが、最初イベントに取材に読んでもらったというのは本当に貴重な経験だった。うれしい。

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(村上タクタ)






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flick! editors

  • 村上タクタ

    村上琢太。ガジェット好きの雑誌屋。'92年入社以来趣味誌ひと筋。バイク雑誌RIDERS CLUBから、現在はコーラルフィッシュRCエアワールドの編集長も務める。機能を突き詰めてカッコよくなったガジェットと、アイデアと楽しさに満ちたウェブサービスを紹介する本『フリック!』の編集活動に奮闘中。twitterアカウントは@flick_mag

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