産業用ドローンの開発・販売を行う株式会社スカイロボットは、赤外線サーモグラフィカメラ搭載を搭載した「SKY ANIMALS」を本年10月1日に発売すると発表した。
近年、国内で野生動物が農作物を荒らし、人に危害を加える被害が多発しており、被害総額は年間約230億円、被害面積は9.7万ヘクタールに及ぶという(農林水産省/平成24年発表)。原因は、地方の急速な高齢化と人口減および緩衝地帯になる里山の減少だと考えられている。
害獣対策にあたり、ハンターの高齢化は深刻な問題であり、野生動物に電波発信機を装着する、あるいは観察・監視システムを用いるなどの対策が講じられているものの、システムの重量や電池寿命、動物虐待や動物愛護の観点からも期待された効果は得られていないのが現状だという。
そこで開発されたのが「SKY ANIMALS」だ。このドローンは、空撮で野生動物を撮影し、データを蓄積することで分析、行動を予測することができる。
具体的には、以下の方法で害獣を撃退することができる。
- 田畑に野生動物が近づくと、ドローンが対象害獣の苦手とする超音波を放ち、撃退する。
- カラーボールに野生動物のきらいな天然素材(自然に無害)のにおい液を封入し、ドローンから発射して、野生動物のいる位置の10メートル先に正確にマーキング(特許取得/特許番号:第609744号)するなど、野生動物を人里に近づかせない対策手段を研究開発中(におい液封入ボールは2019年に商用化予定)。
また、ドローンと最新のIoT技術のコラボで、野生動物の行動を観察・追跡することも可能。詳細は以下のとおり。
- 草木の隙間に隠れていて、可視光カメラでは見ることができない動物を赤外線サーモグラフィカメラで発見
- ドローンに爆竹音やサイレンを鳴らす装置を付け、野生動物を見つけたら発動して退散させることもできる
- 赤外線サーモグラフィカメラによる夜間の動物探査
- 農家や自治体だけでなく、山菜狩りの高齢者や登山者にも安心のサービス
(左)赤外線サーモグラフィーカメラ搭載探索専用ドローン
(中)ドローンで対象エリア上空を探索し、撮影する
(右)事前調査を行うことで野生生物からうける被害を回避
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・スカイロボット(SKYROBOT)