文章を書くことが好きなくせに、実はまったく本を読まない。夏野かいわれです。
そんな私が何年ぶりかにマンガではない「一行怪談」を購入し読み終えたので、レビューします。
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購入のきっかけはTwitterの企画
購入にいたったきっかけは、Twitter。
「#一行怪談創作部」のハッシュタグつきで公開されていた、ユーザー自作の「一行怪談」を読んでおもしろいなと思ったから。
こちらの企画です。
自分のアカウントでも何本か投稿しました。
たった一行で怪談話を創作する、というのが存外楽しかった。
自分で創作して投稿したことで「本ではどのような怪談話が繰り広げられているのだろう?」と興味をもち、サクッとポチッと購入。
本の構成
1ページに怪談は1本
書籍版だと全205ページのボリュームですが、1ページにつき怪談の掲載は1本です。
つまり、1ページに掲載されているのはたった一行。
さらに世界観にマッチした挿絵や、本誌の推薦者である穂村弘氏の解説ページも含まれているため、怪談の掲載は200行を下回ります。
一般の書籍と比べるとボリュームは少ないですが、1ページを丸々使って1つの怪談を掲載しているスタイルに”一行怪談らしさ”があると思います。
物理的に空いたその間が、いい意味で”一行怪談らしさ”に拍車をかけています。
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読んだ感想
さて、ここからは実際に読んでの感想です。
物語というより詩に近い
「一行怪談」の凡例の中に
詩ではなく物語である。
とありますが、実際に読むとやはり”詩に近いな”と思いました。
一行で怪談らしい不気味さや辻褄の合わない事象が表現されているので、不可解な詩の世界に紛れ込んでしまったような気分に。
しかし物語とは言い難いとしても、背筋に何かが滴るような独創性はこの「一行怪談」ならです。
中には”怪談”ではない話も
ここでも「一行怪談」の凡例の一部を抜粋すると、
物語の中でも怪談に近い。
とあります。
本書に息吹いている一行の文章たちは、確かに怪談の体をしているものが多い。
ですが、中には自然災害や近未来を彷彿とさせる内容も。
穂村弘氏も、ある”怪談”を例にあげて「怪談らしいというよりは~」と解説していたことから、やはりすべてが”怪談”というわけではありません。
あくまで「物語の中でも怪談に"近いものが多い"」だと思います。
総評
個人的にはお気に入りの一冊になりました。
日頃から文章を読み慣れていない私でもとっかかりやすく、それでいて一行に込められたほの暗い背景を想像し、ゾッとする……
そんな一冊です。
秋の夜長のおともに、いかがでしょうか?