分散型ソーシャルネットワークのマストドン(Mastodon)が世界的に知られるきっかけとなった、作者であるオイゲン・ロチコさんのブログエントリーを翻訳・掲載する許諾を得たので、改めて2017年4月1日の「原点」を日本語で紹介しよう(翻訳:松尾公也)。
私の名前はオイゲン・ロチコ。マストドン(Mastodon)の開発者です。マストドンはフリーでオープンソースの連合型ソーシャルネットワーク。旗艦インスタンスであるmastodon.socialは現在(4月1日)2万4000ユーザーで、急速に伸びています(訳注:9月12日時点では8万6556ユーザー)。アクセスはこちら。
ユーザーたちはこれを「ふわっとしたぞうさんサイト」(fluffy elephant site)と親しみを込めて呼んでいます。デフォルトのユーザーインタフェースはTweetDeckを思わせ、短い文章を書けます……どこか見覚えがあるような。ではどこが違うのでしょう?
マストドンがTwitterと根本的に違うのは、連合(federation)です。例えばアメリカ合衆国も連合の一種です。技術的な面から見ると、電子メールも連合です。ユーザーは異なる、独立したコミュニティーを通して広がることができますが、互いにやり取りをすることにより統合された状態を保つこともできます。GMailからOutlook、Outlookから誰か個人の受信箱にメールを送信することが可能です。
マストドンにおける連合も同様です:
異なるサイト(「インスタンス」と呼びましょう)のユーザー同士が互いをフォローし、メッセージを相互に送ることができます。他のソーシャルネットワークのように。
私が運営しているインスタンスであるmastodon.socialを既に訪問されたかもしれませんが、それはマストドンの全てではなく、ネットワークの入口の1つで、ホームの1つになるかもしれない、というくらいのものです。あなたのユーザー名はそのインスタンスに限り唯一のユニークなもので、電子メールアドレスのようにユーザー名の部分とドメイン名の部分が必要となります。例えば私のアドレスはGargron@mastodon.socialで、別のインスタンスであるicosahedron.websiteを運営している友人のアドレスはhalcy@icosahedron.websiteです(もちろん同じインスタンスの中でユーザーを探したりメンションしたりするときに、ドメイン名を記述する必要はありません。明示不要です)。
連合の意味するものは次のようなものです:
もう1つの基本的相違点として挙げられるのは、Twitterと違い、マストドンはフリーでオープンソースなソフトウェアであるということです。それは重要ではないと思うかもしれませんが、ユーザーの方を向いた倫理的デザインと、収益の方を向いたデザインとの違いはこれからより大きくなっていくと私自身、考えています。
「フリーソフトウェア」の「フリー」とは、そのソフトウェアの金銭的コストのみ(ほとんどのケースでそれがたまたまゼロであるというだけです)を指すのではなく、ユーザーにとっての自由を意味しています。マストドンはあなたの両目、つまり解析結果を広告主に売り渡すようには作られていません。誰もがマストドンのコードを調べ、その改善点を投稿することができるということが意味するのは、これが人々のための、人々による、人々が精査するべく作られていることなのです。
マストドンは500文字までの文章を書くことができるので会話のニュアンスを盛り込むことができ、「ツイート紛争」のようなことが起きにくくなっています。マストドンは公開されたタイムラインが特徴です。Twitterにもかつてはあったのですが、普通のユーザーにとって使いやすくすることをやめてしまい、データマイニング企業にとって使いやすいものへと変わってしまいました。
しかし、個々のマストドンインスタンスは小規模で、連続投稿や会話はフィルターで非表示にされるので公開タイムラインは読みやすい状態にあります。もちろんあらかじめ用意された公開タイムラインは好ましくなく、不要だとする向きにはオプトアウトすることもできます。
プライバシーや不正使用への取り組みについては、マストドンはきめ細かいプライバシー関連機能を備えています。これに関しては別のブログエントリーで詳しく書いているのでそちらを参照してください。
事細かに詳しく説明するつもりはなく、これをマストドンの長所を簡潔に説明する教材としたいと考えています。使っていくうちにだんだん細かなことも発見してくれることでしょう。
私が運営するmastodon.social以外で始めてみようという人は、私が信頼を寄せている人たちにより運営されている2つのインスタンスを紹介しておきましょう:
ゆっくり楽しんでください!
追記:ソースコード、ドキュメンテーション、より技術的なFAQ、インスタンスおよびアプリケーションのリストは、全てこのプロジェクトのGitHubリポジトリから入手可能です。
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