こんにちは!神田です。
アフリカを旅していた時、マラウイに入って急にネットのない状況になりました。
10日間くらいネットが使えなくて、フミくんの友達なんて心配してFacebookで捜索願に近いことしてました。
誰か金丸文武の消息を知ってる人いませんかーー!!大使館に問い合わせしようか迷ってます!て。
やっとWi-Fiを見つけて私も神田家LINEグループで「ずっと連絡とれてなかったけど生きてるからね!」て送ると、
「あら、そんなに連絡取れてなかったのね?気づかなかったわー。今どこにいるの?」
だそうです。
神田家は、愛情深いさっぱり家族です。
おわり
2017年8月24日(木曜日)
【オーストリア】 ツェルアムゼー ~ 山の中
なんか朝から体がダルい。
あー…………これからまだまだ歌い続けて稼がないといけない。
毎日毎日、天気とか曜日とかシーズンとかいろんな要素を吟味しながら町をチョイスして確実にキッチリ稼いでいくって、なかなか精神的にもプレッシャーだ。
結構気が遠くなる。
旅にしても路上にしても、こういうモチベーションを保つのってちょっと大変なこと。
でもそんな時いつも思うのは、日本のサラリーマンは週5日か週6日、毎日朝から晩まで10時間拘束で働いているということ。
みんな頑張って生きてるんだから、これくらいで弱音吐いてちゃいけない。
ハードな仕事をしてる人のことを考えれば、自分はもっとやれるって思考になれるもんだ。
それに比べてカンちゃんは、のんびり生きていこーっていう考えかた。
そんないつもいつも気負ってたら疲れちゃうよーってよく言われる。
でもやっぱり男なら、ぬるま湯よりも常に自分に何かを課していないと逆に落ちつかないもの。
頑張って頑張って頑張って、自分を高めないと。
でもたまには元気出ない時もある。
なんか今日は体が面倒くさがってる。
今日も朝からいい天気。
晴れ渡る空で路上日和だ。
気合い入れて歌わないといけないぞー!!!ってなんとか自分を奮いたたせてツェルアムゼーの町にやってくると、今日もめっちゃムスリムの人たちが町を闊歩している。
本当この町って異様だなぁ。
だいたい観光地には中国人が溢れてるもんだけど、このツェルアムゼーだけはマジでムスリムまみれ。
なんでこんなことになってるのかあまりにも気になってネットで調べてみた。
するとふたつの説が出てきた。
ひとつは、コーランに書かれているパラダイスがこのツェルアムゼーではないのか、という説。
もうひとつが、過去にクェートの王族がここに来たことがあって、それでアラブ世界でメジャーな存在になってるという説。
ツェルアムゼーがコーランのパラダイスって、すげぇ話だな。
確かに美しいけども。
そんな説が出るくらいだから、きっとこの雄大な山と湖の織りなす景色が、ムスリムの琴線に触れるツボなのかもしれん。
現在ツェルアムゼーに来る観光客の30パーセント以上が中東からのムスリムらしく、市民の間ではこれ以上ムスリム観光客を増やしたくないという意見が大多数を占めているらしい。
とはいってもそこは金持ちアラブ人。
白人観光客が1人あたり15000円ほどのお金を落とすのに対し、ムスリムは1人あたり30000円も使っていくんだそう。
ステイタスに目がないムスリムたちなので、泊まるホテルもハイクラスのところばかりみたい。
ただ、やっぱり文化の違いはあるので、愛想がよくなかったり、部屋を汚したり、ご飯を床で食べたりするので、困ってる人は困ってるとのこと。
ツェルアムゼーはムスリム観光客のおかげでものすごい大成功を収めてはいるけど、きっと色んな問題が伴ってるんだろうな。
いくら体がダルくても、演奏中はそれを出したらいけない。
喉の調子は悪くないんだ。
よし!!!!今日も頑張るぞ!!!!
「頑張りますううう………………」
「フミ君!!顔が無表情だよ!!」
気合いいいいいいいい!!!!!!
が、やっぱりムスリムたちの写真攻撃でどうしても気が散ってしまう。
ブランド物に身を包んだ金持ちムスリムたちがひたすら写真とビデオを撮りまくってから何も言わずにスタスタ歩いて行く。
ぬううう…………俺の演奏が彼らにとってステイタスにならないってことだ。
広場にあるカフェのオーナーから、うちのテラス前で歌ってくれないかい?そしたらもっと稼げるだろうし、コーヒーご馳走するから、と嬉しい言葉を言ってもらえたりしながら2時間。
休憩を入れて、今度は夕方になって湖沿いの遊歩道に移動して路上再開。
うーん、反応薄いなあ。
それにしてもムスリムの男の人って服がダサいなぁ。
ムスリムの女の人ってオシャレな人がすごく多くて、あの全員同じに見えてしまいそうな全身カバーの服を着てても、バッグなんかの小物やお化粧に気を使ってて素敵な人が多い。
たまに若い女の子が西洋的なファッションをしてるけど、それもモデルみたいにオシャレだ。
なのに男性はヨユーでジャージで歩いてる。
テロテロのジャージにテロテロのTシャツという、近所の散歩をする爺さんみたいな格好。
母国ではあの真っ白い石油王みたいな服をいつも着てるんだろうけど、それ以外だったら何着ればいいの?って感じだ。
テロテロのジャージ着ててもウルトラ金持ちでしょうけど。
こんな男の子だらけ。
超ボンボンなんだろうな。
頑張って計3時間歌ったけど、なんか暖簾に腕押し的な感じがして、疲れてギターを置いた。
でもチップを入れてくださった白人さんもムスリムさん、みんなありがとう。
「どうしよっかー。まだこの町にいる?」
「うーん、微妙だよねぇ………」
「なんかのホコ天の端っこに特設ステージみたいなのが組まれてたから週末はフェスティバルがあるはず。それにサタデーマーケットも期待できるし。でもどうだろうなぁ…………」
「もうリーエンツに移動したほうがいいかなぁ。」
チロルの中にある大きく稼げる町、リーエンツ。
小さな町なんだけど、山奥にあるとても美しいところで、大好きな町だ。
それなら早く行けばいいって話なんだけど、あんまりひとつの町に長居してずっとやり続けるのはよくない。
連続してやりまくったら町の人に飽きられるし、苦情にも繋がるので、日程を調整しながら上手く町と付き合っていかないといけない。
なのでリーエンツは来週からにしようかなぁと思っていたんだけど………………もう行っちまうかー。
今はハイシーズン。どこの町に行っても多くの観光客が溢れてるはずだし、色んな小さな町を試してもいい。
超有名な観光地、ハルシュタットでも挑戦してみてもいいかもしれん。
今回のオーストリアでは、さらに路上の幅を広げて色んなところでやりまくってみるかな。
そうと決まればムスリムまみれのツェルアムゼーを後にして車を走らせた。
するとタイミングよくいきなりの土砂降りが降り出し、雷がビカビカと夜空を照らし出した。
おお、しぶとく路上で歌い続けてなくてよかった。
びしょ濡れになるところだったな。
雨は勢いを増し続け、雷も絶え間なく光りまくっている。
稲妻がアルプスの山々の隙間に現れ、轟音が轟き、風がさかまいて道路に木の枝や葉っぱが散乱している。
とんでもない嵐だ。
あまりに雷が落ちまくっているので、フロントガラスからカメラを連写したらこんなの撮れた。
明日の天気はどうなるだろ。
明日も頑張って歌うぞと、嵐の中、峠道へ入った。