遂に「アルスラーン戦記」が完結する!
筆者「旅寅」の連載記事☟
- 遂に「アルスラーン戦記」が完結する!
- 「皆殺しの田中」は果たして健在か?
- 退場している主要キャラ
- 退場キャラと完走キャラ予想
- 最終第16巻のタイトル予想
- 最終第16巻の展開予想
- アルスラーン亡き後の「王」は?
- 「聞いてたラストと違う」とは?
『さきほど編集さんに原稿をお渡ししましたので、きちんとお伝えします。
『アルスラーン戦記』最終巻、脱稿しました。
このあとも校正やイラストなどさまざまなお仕事がありますので、本のかたちで皆さまのお手元に届くのには、しばらく掛かりますが、発売日が決まりましたら改めてお伝え致します。
※有限会社「らいとすたっふ」代表
安達裕章氏Twitterアカウントより転用』
上記は、8月29日のツイートだから、それからもう10日以上の月日が流れたわけですが、ま、こうやって「一足遅く旬な話題をお送りする」のが当ブログ「夜行性サナトリウム」の特徴だったりする(笑)
いや、10日前に1度はメチャメチャ興奮したんですよ?
(すぐ記事にあげなきゃ!)
とも当然思ったのですが、ちょっと忙しくてとてもそれどころではなく……。
で、いつも通りの「旬」を逃しての投稿でございます。
ご無沙汰してます、旅寅です。
「アルスラーン戦記」
最終巻である16巻を氏が脱稿した上記ニュースをスマホでチェックしたその時、私はこもっていたトイレで思わず奇声をあげました。
「ええぇっ!?早っっ!?」
趣味である「強」での洗浄を切り上げ、急いでトイレを出て、本棚から15巻である「戦旗不倒」を取り出します。確か発売日は……
2016年
5月20日
初版1刷発行
なっ!!
なんとっ!!
仮に今年の年末や、来年の初頭に発売されたとしても、前巻から僅か1年半しか経過してないがなっ!?
(最終巻やから今回は4年は覚悟してたのに……)
……予想外である。喜ばしい反面の、この衝撃。
HUNTER×HUNTERの休載に怒る富樫ファン程度には到底理解できないであろう、田中芳樹ファンにしか分からない、複雑怪奇なこの感情。
そう、「慣れ」というものは物凄く怖い。
先ほど、私が浴びていた「強」のおしり洗浄が良い例だ。生まれて初めて浴びた時は確かに「おわっ!?」ってなったあの感覚は、もはや昔。
今や放心状態を崩さずに浴び続けられるほどの耐性を得た自分のお尻と同じく、田中芳樹作品の読者は「待つ」ことに慣れすぎているのである。
既刊一覧
第1巻「王都炎上」(1986年)
第2巻「王子二人」(1987年)
第3巻「落日悲歌」(1987年)
第4巻「汗血公路」(1988年)
第5巻「征馬孤影」(1989年)
第6巻「風塵乱舞」(1989年)
第7巻「王都奪還」(1990年)
第8巻「仮面兵団」(1991年)
第9巻「旌旗流転」(1992年)
~この間7年~
第10巻「妖雲群行」(1999年)
~この間6年~
第11巻「魔軍襲来」(2005年)
第12巻「暗黒神殿」(2006年)
第13巻「蛇王再臨」(2008年)
~この間6年~
第14巻「天鳴地動」(2014年)
第15巻「戦旗不倒」(2016年)
長期待機期間を足すだけで、何と
19年
である。ただの小奇麗な赤ん坊が、あの美しい広瀬すずになるほどの長時間、我らは待ち続けてきたのだ(別に広瀬ファンでもないが)
ダリューンの剛勇を。
ナルサスの知略を。
ギーヴの女性関係を。
ファランギースの美貌を。
そして、アルスラーンの成長を。
ただ「アルスラニスト」にとって何よりも辛いのは、その長きに渡る待ち時間だけではない。その間、筆者が沈黙を守ってくれているのならまだ
(アルスラーン、書いてくれてるかな?)
と期待もできるのだが、何と田中先生はアルスラーンの待機期間中も、他作品を量産し続けてきたのである(汗)
(薬師寺涼子は後回しでええから、はよアルスラーンを書いてくれっ!?)
思えば、そんなやるせなさに身を引きちぎられそうになった時期もあった。
山を、谷を、海を、河を、雨を、風を、時を幾度も超え、連載開始30年を超えて完結することになった、人生の愛読書「アルスラーン戦記」。
私、旅寅の予想する結末を、以降、記していこうと思う。
「皆殺しの田中」は果たして健在か?
これまで、自身の作品において、田中先生が殺してきた主要キャラはそれこそ枚挙にいとまがない。特に、代表作である「銀河英雄伝説」劇中においてのソレは、ファンの語り草になっているほどだ。
銀英伝退場の図
主役(2名)
ラインハルト(死)
ヤン(死)
準主役(2名)
キルヒアイス(死)
ユリアン(生)
ヒロイン(5名)
ヒルダ(生)
フレデリカ(生)
アンネローゼ(生)
ジェシカ(死)
カリン(生)
主要キャラ(「アルスラーン戦記」でいえば16翼将にあたる提督たち)
ミッターマイヤー(生)
ロイエンタール(死)
オーベルシュタイン(死)
ミュラー(生)
ビッテンフェルト(生)
ケンプ(死)
ルッツ(死)
ケスラー(生)
アイゼナッハ(生)
シュタインメッツ(死)
レンネンカンプ(死)
メックリンガー(生)
ワーレン(生)
ファーレンハイト(死)
範囲をもう少し広げればまだまだ死者は増えるのですが、キリがないのでこの辺にしておきましょう。まぁ言っても「戦争」を取り扱った作品ですので死んでしまうキャラが出てくるのは仕方がないところなんですが、特筆すべきは
主役の2人が共に死んだ
ことと、
準主役の1人が原作10巻中2巻で死んだ
という事実ですかね。
※キルヒアイスの死については田中氏自身も「早すぎた」とのコメントをあとがきにて残されております。
田中作品の特徴として顕著なのは、特に終盤の「雪崩的大量死」。
「マヴァ―ル年代記」など、最期に主役の3人のうち、2人が相果てるというとんでもないことになりましたから、ま、田中作品の場合、重要なキャラだから助かるとか、端役だから死ぬということはありませんね。
そしてついた異名は
「皆殺しの田中」
我々世代にとっての皆殺しといえば「富野」か「田中」かいい勝負です。
無論、「アルスラーン戦記」も例外ではなく……。
15巻が終わった時点で結構な数の方々がすでにご逝去なさっており、最終16巻ではまとめて多くの主要キャラが逝くと思われますが、さて、果たして誰が死に、誰が生き残るのでしょう??
それを予想する前に、現段階で退場している主要キャラを並べてみることしましょう。
退場している主要キャラ
※15巻「戦旗不倒」終了時点
エステル(ヒロイン)
アルスラーンの恋人未満的な存在で、生きていれば確実に皇妃になったはずの唯一無二の存在。「まさか死ぬとは思わなかったキャラ筆頭」が彼女である。いや、まぁね、銀英伝で、ほぼ主役のキルヒアイスでさえ序盤で退場させた田中氏ですから、驚いたらダメなんですがね、それにしても作品のヒロインが終盤直前に退場というのは、なかなかの「慈悲浅さ」でございます(笑)エステルの死により、以降のアルスラーンが「恋をしない=皇妃を持たない」ということは決定事項となりました。つまりはそれこそがアルスラーン自身の死を暗示している気もして、要は彼女、作品の構成的には、死ぬべくして死んでしまったキャラなんでしょうね。それにしても亡くなり方が可哀想すぎて泣けた泣けた……。
ナルサス(16翼将・呪いの絵師)
銀英伝でいえば、ロイエンタールとオーベルシュタインを足したようなキャラで、それをイメージしてか、「アルスラーン戦記」角川版アニメの声優は塩沢兼人氏(銀英伝/オーベルシュタイン役)でしたね。いまだに僕の脳内では、ナルサスの声は塩沢兼人氏です。1stのアニメを知らない今の若い子には、ぜひ、角川版も見て欲しいものです。さて、死亡フラグが至る所にビンビンに立っていたナルサス。エステルとは正反対に死ぬことは結構前から規定路線だったため驚きはないものの、とはいえダリューンと並ぶ今作の「最重要臣下」であり、まさにアルスラーンの片翼である。実際に死んでしまった今(もうじき、完結なんだな……)と改めて実感。皆さん、ナルサスの「画伯ネタ」はもう見れないんですよ!?……う~ん、残念……。ただ、救いはエラムの存在。突発的に殺害されたにも関わらず、優秀な弟子に「俺亡き後、アルスラーン陛下を頼む」的な遺言もすでに伝えてあるところは、さすがは稀代の天才軍師の面目躍如である。ちなみに彼がザーブル城にこもって書いていた最後の「書き物」、皆さん、めっちゃ気になりませんか?筆者はその「書」のおかげでパルス軍は最終的に勝利すると思うのですが、果たして……!?
「まさか死ぬとは思わなかったキャラ次点」が彼女。死んだナルサスの仇を討つ的な流れになるかと思いきや、15巻「戦旗不倒」にて急速に死亡フラグが立ち、想いを遂げた途端の「同時退場」である。ただ、今にして思えば、ナルサスに死亡フラグが立った時点で、彼女が同時に死ぬことは予測しとかなきゃダメですわね。何せ、あのゾット族の族長の娘ですもんね。愛しき男を守るために奮戦し、最強ヒルメスに僅かでも手傷を負わせて果てたアルフリードに、涙を禁じ得ません。あまりに健康的ではつらつとしたキャラだったので、「死」が似合わないんですよねぇ……寂しくなります。しかしまぁ田中氏、当作においては女性にも容赦がない。銀英伝の時はジェシカ・エドワーズ以外の女性キャラは助けたのになぁ……(汗)
トゥース(16翼将・4P男)
「トゥース!」と言うオードリーの春日さんを見るたびに思い出すキャラ(笑)一夫多妻制でもないパルスで、3人の妻を持つという離れ業を披露したトゥース。といっても別に好色家ではなく、本人は至って真面目であり武骨。死んだ同僚の3人娘を、父親として預かったような感じである。いやいや、それにしてもアンタ、幸せ者だよ(笑)トゥースが地震で崩れた瓦礫からアルスラーンを庇って死ぬ……なんて場面は正直全く予測できませんでしたが、銀英伝においての上級大将たち(シュタインメッツ辺り)を思い起こせば、要はこの辺りの「主役・準主役以外の主要キャラ」は、田中作品では常に死の淵にいると考えておいた方がよい。というかね、トゥースって、キャラとしては「未亡人3人衆」の前フリみたいなところもあるのかも(笑)いまだにあの3人、いい味出してますから。「女は強し」ですね~。
ザラーヴァント(16翼将・骨太代表)
亡くなって以後の14巻「天地鳴動」にて、パルスの大陸公路を復旧する必要性(魔軍が滅びる前に直してもどうせまた壊されるが、直さなければ諸国に不審がられる)が語られた時、ザラーヴァントの死の必然性がようやく分かりました。最終決戦まではある程度、パルスは荒廃させておく必要があるわけで(魔軍の脅威を強調するため)彼が生きていたらすぐに復旧しそうですもんね(笑)ところで、アルスラーン戦記の男子においては「線の太いキャラ受難」な気がちょっとしませんか?ザンデも死んだ、アンドラゴラスも死んだ、トゥースも死んだ、そしてこのザラーヴァントもとくれば……う~ん、クバード、君は大丈夫か?(笑)筆者は個人的に、ジムサとザラーヴァントの「逃走劇」の場面が凄く好きで、特にこのザラちんの不器用さや潔さ、豪快さ、素直さはほんと……「超」愛していたので、呆気ないあの死に様を「らしい」と思う反面、何とか田中氏の「魔手」を、どさくさに紛れてかわし切ってくれないかなと期待しておりました。ザラちん、ほんとに君は愛すべき「建築系将帥」でした。ところで「解放王の16翼将」には「前王アンドラゴラス時代からパルスの万騎長(もしくはパルスの武人系)だった人」と、「アルスラーンの代になってから現れた人」の2種類がいるんですが、前者も後者もひっくるめて忠誠を誓わせてしまうアルスラーンの器って、ほんと凄いと思います。ザラちん、育ちが良い割には世渡り下手そうですから、良い主君の下で働けて幸せだったでしょう。合唱……。
ジムサ(16翼将・吹き矢の達人)
「アルスラーンの代になってから現れた人」の典型だった彼は、何と元々は敵軍(トゥラーン陣営)からアルスラーンへと向けられた刺客(ジャスワントもそうですが)「強く、勇ましく、奪った富をより多く分配してくれるのが良き王」という感覚の、極端な異国人である彼には、生き延びて、ぜひジャスワント(シンドゥラ人)パラフーダ(ルシタニア騎士)と共に「異国人トリオ」を結成して、「異国人あるある」で盛り上がる酒盛りを開いて欲しかったですね。早めの退場はちと残念でしたが、散り様はこれ以上なく見事でした。さて、ところで異色の人材が目立つ16翼将。「敵方の異国人暗殺者」以外にも「世を捨てた絵がド下手な若き天才軍師」「超絶美人な女神官」「女ったらしの旅の楽士」「盗賊の首領である兄妹」「武闘派商船の船長」と、それはそれは個性豊かな面々が揃っておりますが、個人的にはその中でもこのジムサが最も「臣下にして大丈夫なの!?」ってキャラでした。だって基本、ここまで「損得」で主君を判断してきた人じゃないですか?だから「こまかいの」を命懸けで救った時(ああ、こういうのを見抜いて臣下にしたんだなぁ)と、妙に納得した次第です。いずれはアルスラーンの下を離れ、トゥラーン再興を果たすはずだった彼の死は、トゥラーン民族にとっては激痛でしょうが、ただ彼が死んだことにより、15巻「戦旗不倒」でパルスに捉われた弟・ブルハーンが生き残る確率は上がったような気がします。これは、筆者の一方的な妄想なんですが……何となく、ブルハーンは魔軍が大挙して押し寄せてきたパルスにて、ヒルメスに救われて助かるような気がするんですな。そんなことでもないと、その忠臣ぶりがあまりに報われないじゃないですか?そしてその後、ジムサの代わりにトゥラーンを再興する、と。ま、妄想というよりは願望ですね(笑)それにしてもジムサ、あなたも「線の太いキャラ受難」の被害者になりましたね……。
グラーゼ (16翼将・武闘派海人)
いやね、この人の死はほんと、当初は(えっ!?なんで!?殺さなくてもよくね!?)と思っちゃいましてね(笑)グラーゼに関しては、退場した14巻「天地鳴動」の中盤~後半においての怒涛の死亡連鎖(トゥース→グラーゼ→ジムサが100P足らずの間に相次いで死去)があまりに性急だったから(もしかしてやっつけ仕事!?)って一瞬疑いもしたのですが、最終巻の対蛇王との決戦前に海軍の力を弱めておく必要性(より死闘になる)を考慮すれば、妥当かなとも思うのです。 思えば「アルスラーンの風車弥七」的な、「要所キャラ」だった彼。16翼将の中でもそれほど出番が多かったわけではないので、グラーゼファンは時々の出番を心待ちにしていたことでしょう。筆者個人としては(あ、グラーゼ、出てきた、え、死んじゃうの!?)って感じで、死に様の呆気なすぎた感は拭えないんですが、ただ、アンドラゴラスに追放された皇太子の再起を支えた彼の功績は、諸将の中でもかなり巨大だと感じています。ペシャワールを海軍として救援に現れた場面……しびれましたよね!ところでこの「海のクバード」とも言えるグラーゼも、何となく、体の線がそこそこ太いように思うのです。「線の太いキャラ受難説」いよいよ信憑性を増しましたよね?(笑)
退場キャラと完走キャラ予想
というわけで、最終巻を前にヒロインと準主役(ナルサス)が1名、16翼将がナルサス含め6名退場しているという結果と相成りましたが、正直、今後の当作のキャラの散る速度、散り際は、銀英伝よりも凄惨になることが予想されますね。
なぜなら相手が人だけではなく「魔軍」であるという点。
事実、前項で挙げた死者のうち、ヒルメスに殺されたナルサスとアルフリード以外は全て「魔軍」絡みで亡くなっております。
そして次に残りがもう1冊しかない点。
さぞ「死の凝縮した」の最終巻になることでしょう!
更に主人公アルスラーンに死亡フラグがビンビンに立っている点も気になります。
アルスラーンは相次ぐ臣下の死に「自分自身が耐えられない」と15巻「戦旗不倒」内で漏らしており、その優しさが、彼の運命を暗くするとファランギースも予感しております。恐らく、彼は臣下の誰かを庇って死ぬのでは……?
もしくは、もう誰も殺させないために、蛇王を道連れに……というケースも考えられます。いずれにしろ、対蛇王に唯一有効であろう宝剣ルクナバートを使用できるのは彼だけであり、彼がヒルメスやイルテリシュ、フィトナに殺されることはないように思うのですが、これは展開予想を後述するとして……。
それでは以降、皆さんすでにしているであろう、これまで田中氏の魔手を逃れて残っている16翼将を中心とした主要キャラの結末予想とまいりましょう。
私、旅寅が「絶対最終巻で死ぬと思うキャラ」は赤で、その逆に「絶対死なないと思うキャラ」は青で、理由と共に記していきますね。
赤組
アルスラーン(主役)
死亡フラグが立ってるので素直に赤組に入れたのですが、実は後述するヒルメス殿下とアルスラーンは迷いました。アルスラーンに関しては理由は2つ。1つは、ナルサスがエラムに「少しでも長くアルスラーンに仕えて欲しい」と伝えている点です。筆者はエラムは絶対に死なないと確信しているので、彼が生き残り、アルスラーンが死ぬのであれば、じゃあ逆説的に「今後エラムは誰に仕えるんだ?」ということになります。師の遺言もあることですから、彼がアルスラーン以外に仕えるイメージが持てないんですね。となれば、アルスラーンは、盲目になったり記憶を失ったりすることはあれど、死なないのでは……?という予測が立ちます。これであればファランギースが抱いた不安も辻褄が合い、以降、エラムも忠臣として仕え続けることができますよね?ただね、ダリューンやギーヴ、ファランギースのことを考えたんですね。この3人に関しては筆者は生き残ると考えているのですが、3人が3人とも、戦後はパルスを離れるイメージしか持てないのです。ダリューンは絹の国(セリカ)へ、ギーヴは何処かへ、ファランギースは元居た神殿へ……と。そんなわけで、どんな形であれアルスラーンが生き残れば、そのイメージが成り立たなくなるので、最終的には死亡フラグを信じることに致しました。散り方予想は2パターン、挙げておきます。
1、蛇王と相討ち(道連れ)。
2、臣下を庇って。
ヒルメス(仇敵)
ヒルメス殿下は迷いに迷いました。なぜかと言えば筆者は当初「改心したヒルメスが、死に際のアルスラーンに託され、パルスを復興するのでは?」というイメージを持っていたからです。もしくは例のアンドラゴラスとタハミーネの3人の娘のうちの誰かがアルスラーン亡き後女王になり、改心したヒルメスは良き想い出のあるチェルク復興に従事しながら、亡き妻の墓を守って余生を送る……という予想なんかもたてました。これら「ヒルメス完走説」には大前提となる予測があり、それはヒルメスは必ず最後に今までの自分の愚かさを悟るだろうということです。愚かさを悟ったヒルメスを、アルスラーンは許すのではないか?ダリューンに敗れることは目に見えてはいるものの、ダリューンに殺される以外の展開があるのではないか?……とまぁ、そのような感じです。ただ、その予想を立てるにしては、彼はやりすぎました。ヴァフリーズ、ゾットの族長、ナルサス、アルフリードと、これだけの人間の「仇」になってしまった以上、ダリューンやメルレインが彼を許せるはずもなく、なおかつ、フィトナやブルハーン等、彼を死なせる要素は他にも存在するわけです。要はね、もう死ぬしかないんですね、ここまでやっちゃうと(笑)ということで、散り方予想は4パターン挙げておきます。自信はないのであしからず(笑)
1、ダリューンに斬られる。
2、ブルハーンを庇って。
3、フィトナと相果てる。
4、改心し、ルクナバートを使用できるようになり、蛇王と相果てて消滅。
クバード(16翼将・風紀違反Ⅱ)
特に死の影はないのですが、「線の太いキャラ受難説」により、死亡候補の筆頭中の筆頭です(笑)クバートとギーヴに関しては「どちらかがファランギースに看取られて死ぬ」というイメージしか持てません。もしくは、どっちとも死ぬか、かな?
・イルテリシュに斬られ、ファランギースに看取られる。
メルレイン(16翼将・弓技3位の男)
メルレインの生死には、無論ヒルメス殿下が関わってくると思うのですが、父、妹、妹婿を殺されている上に自らもというのは……あまりにひどいなとも思いました。それに彼が死んだら、ゾッド族の族長の家系が途絶えてしまいます。盗賊からパルスの別動隊にまで上り詰めたゾッド族の今後を思えば……。いや、でもどう考えても、彼の巨大な恨みが彼自身を死地へかきたてるのは、不可避のように思います。だってヒルメスを倒すのは、絶対にダリューンなのですから……。
・一矢報いるが、ヒルメスに斬られる。
イスファーン(16翼将・狼将軍)
ヴァハーラム(狼)の仇であるイルテリシュ絡みでのリスクが大きいですね。カイヴァ―ン(生き残った狼)もイルテリシュに殺されてしまうことは確実な気がしますし、現在の魔将軍の圧倒的な力からすれば、激情したイスファーン程度では全く届かないような気がします。イスファーン、クバードの命と引き換えにダメージを負い、ようやくイルテリシュはキシュワードに倒され、死ぬんじゃないでしょうか?
・イルテリシュに斬られ、カイヴァ―ンと共に逝く。
ジャスワント(16翼将・黒豹)
「異国人トリオ」の一角、ジャスワントの死にはいささか確信があります。彼はシンドゥラには絶対戻りません。「あの」ラジェンドラに仕えるわけがないからです。筆者はアルスラーンの死を予想しており、故国に戻る要素のない彼は、疑いようなくアルスラーンを守って、主君より一足先に果てるはずです。
・アルスラーンの盾となり果てる。
パラフーダ(16翼将・白髪鬼)
こちらも「異国人トリオ」の一角なんですが、ジャスワントに比して彼には死の予感を感じません。物語の鍵になってくるパリザードの彼氏でありますし、個人的にパリザードには幸せになって欲しいので、願望込みで青組に加入したいのですが……。ただ、ある意味でのエステルの仇であるギスカールを討つのは、彼しかいないように思うのです。大物であるギスカールとの貫目を考慮し、相打ちと予想致しました。
・ギスカールと相討ち。
青組
ダリューン(16翼将・最強)
ご存知、当作最強の男にして、ナルサスと共にアルスラーンの片翼たるダリューン卿に関しては、死ぬ要素が殆どないと言えます。まず、彼の敵は当面「ヒルメス殿下のみ」です。魔将軍イルテリシュとの因縁はクバード、イスファーン、キシュワードが背負っていて、ほぼ彼が倒すことはないでしょう。次に蛇王ザッハークは宝剣ルクナバートじゃないとどうにもなりません。それを持てないダリューンは相対することがないはずで、これまた圏外。つまり、ダリューンはヒルメスさえ倒せば、役目を終えるということなんですね。それに、彼には銀英伝におけるミッターマイヤーの匂いがします。こういうキャラは田中作品では総じて死にません(笑)というわけで、自信を持って、ダリューンは青組加入です!
ギーヴ(16翼将・風紀違反Ⅰ)
先述した通り、「ファランギースに看取られて死ぬイメージ」の対象者の1人なんですが、銀英伝にて同キャラであるポプランが生き残っていることと、クバードの方を死ぬと予想したことでの、結果論としての青組加入でございます。ちなみにギーヴ卿は私が同作品中で1番好きなキャラでございまして、願望も込みですね(笑)作品が終わって以降も時々ファランギースにまとわりつきつつ、音楽と美女を愛でながらの流浪を続けていって欲しところです。何とか生き抜いてくれっ!(笑)
ファランギース(16翼将・絶世の美女神官)
元恋人の弟であるグルガーンとの因縁が影を落としているのがかなり不安なものの、それを除けば死ぬ感じは全くしないファランギース。彼女が魔軍に腕を食いちぎられたり、ヒルメスに斬られて血だるまになったりするのはちょっと考えられず、かといって弓で射られるのも本人が弓の達人であるが故いまいちピンと来ず……何をどう考えても死ぬ要素がないというか、彼女を殺す対象がグルガーン以外見当たりません。というわけで、ファランギースは「おくりびと担当」で青組に滑り込み。ギーヴかクバードが逝く時は、キスの1つでも宜しく!
キシュワード(16翼将・両刀使い)
タイミングだけの問題なんですが、キシュワードは自分が率いた作戦で16翼将を3人死なせており、その責任感から、本来は命をかけてイルテリシュに挑み、一矢報いて死ぬ……という空気もかなりあるのですが……。素敵な家族がいることと、あと、アルスラーン亡きパルス再建に必要不可欠な人材が、彼以外見当たらないんですね。こういうまっとうなタイプの将帥……他にもういないでしょ?(笑)ということで、物語以後の、先を見越しての青組加入です。
エラム(16翼将・将来の大軍師)
他の予想は自信がないのですが、この「エラムが死なない」ということだけには自信があります(笑)というかね、彼に関しては、恐らくはだいぶ時間が経過したあとで、生前のナルサスを思い出すことになる……といったような記述がすでにあるんですな。つまりは田中氏が唯一「彼は生き残りますよ~」と教えてくれているキャラなんです。ということで、青組の大本命はこのエラムです。
というわけで、
16翼将は5人が生き残る
と読みました。
これってかなり、いい線だと思いませんか??(笑)
最終第16巻のタイトル予想
漢字4文字が恒例のアルスラーン戦記の「巻タイトル」。
これまでの軌跡を、再度並べてみましょう。
既刊一覧
第1巻「王都炎上」
第2巻「王子二人」
第3巻「落日悲歌」
第4巻「汗血公路」
第5巻「征馬孤影」
第6巻「風塵乱舞」
第7巻「王都奪還」
第8巻「仮面兵団」
第9巻「旌旗流転」
第10巻「妖雲群行」
第11巻「魔軍襲来」
第12巻「暗黒神殿」
第13巻「蛇王再臨」
第14巻「天鳴地動」
第15巻「戦旗不倒」
第16巻「〇〇〇〇」
この〇〇〇〇に入る漢字4文字なんですが、これの予想には私、かなりの自信があります。侵略者と蛇王を駆逐してのエンディングであれば、まず間違いなく
「エクタバーナよ、永遠なれ!」
これが副題になるはずで、要はこれを漢字4文字にするのなら、候補はもう2つしか存在しないわけです。
「王都永劫」
「彩都永劫」
……正直これ以外浮かばなかったので、正解してしまう確率もちょろっとあると思うのですが、皆さんはどんな予想を立てますか?
最終第16巻の展開予想
それではようやく本題、私、旅寅が予想するハチャメチャな16巻「王都永劫」のあらすじを披露したいと思います。
16巻「王都永劫」あらすじ
マルヤムにおいて、新女王となったフィトナの発表により、例の銀の腕輪の存在が露見。先代王アンドラゴラス王とタハミーネ妃の娘候補が3人、それぞれの陣営にいることが発覚する。
そしてその後、マルヤム方面からはギスカールとヒルメスが、ミスル方面からはフィトナとラヴァンが、なにより、蛇王ザッハークと魔将軍イルテリシュが大挙してパルスに押し寄せる大混戦の中、生き残った16翼将のうち、クバードとイスファーンがイルテリシュに、メルレインがヒルメスに、ジャスワントが魔軍から身を挺してアルスラーンを守り、倒され、パルス軍は瓦解寸前となってしまう。
多大の犠牲を払いながらも、勇戦するパルス軍。
ただここで、ナルサスが生前残した起死回生ともいうべき策(ザーブル城で書いていた例の書き物)により、戦況は一気に逆転。
ギスカール率いるマルヤム軍は、首領であるギスカールをパラフーダが命懸けで倒したことにより敗走し、ラヴァン(実は英雄王カイ・ホスロー)に裏切られてフィトナが死んだことにより、マルヤム軍も敗走。
イルテリシュも遂にキシュワードに討たれ、物語は最終局面へと突入する。
(※ちなみに3人娘は尊師と呼ばれるカイ・ホスローが混乱のために仕組んだ策略であり、実際の御子は実はレイラのみである)
グルガーンを討ち、過去にケリをつけるファランギース。
そして訪れる、アルスラーンと蛇王の一騎打ち。
アルスラーンは宝剣ルクナバートと一体となり蛇王に飛び込んでいき、カイ・ホスロー&ザッハークを倒しはするものの、断末魔の妖気と凶刃に巻き込まれ、死の傷を負う。
ザッハークの死により、正気を取り戻した次期レイラ女王、エラム、ダリューンらに遺言を遺して、息を引き取るアルスラーン。
長かった災厄と戦乱はようやく収束し、パルスの再建が再び始まるところで物語は終わる。更に、後日談予想を少々……。
ダリューンはパルス再建が落ち着いたのを見届けた後、一時星涼姫と再会するために絹の国へと旅立つであろう。
アルスラーン亡き今、引き留められてそこに生涯留まる可能性もあり。
ギーヴもファランギースに再会を近い、再び終わりなき流浪の旅へ。
ファランギースはトゥースの3人の未亡人の師として、新女王レイラの良き相談役(面識もあり最適)として、以降も女神官をしながらパルスに仕える。
キシュワードは以降もパルス女王の臣下筆頭として軍を鍛え、率いる。
エラムはアルスラーンとの遺言を守り新女王に仕え、近い将来、ラジェンドラなど諸国の野心家に「悪魔」と称される大軍師となる。
ちなみにそのラジェンドラ、誘惑に勝ち切ることができずめでたくサリーマと結婚、後世「恐妻王」と呼ばれることになり、巨大な後悔に苛まれるが、それが世の夫たちの支持を集め、なぜか死ぬまで民衆からは人気があったそうな。
辛くも生き残ったブルハーンはトゥラーンの再興に尽力し、やがて「王」となる。
もし仮にヒルメスが生き延びればチェルクへ、ギスカールやパラフーダ、パリザードが生き残ればマルヤム、いずれはルシタニアへと旅立ち、それぞれが再興に関与する可能性も十分にあるだろうが、そんなことを言い出したら予想的にはキリがないのでパルス以外はほぼお手上げ(笑)というわけで、チェルクとマルヤム、ルシタニアがどうなるのかは、正直なところ、予想もつかない(恐らく、田中氏もそこまでは描かないだろう)
アルスラーン亡き後の「王」は?
こうやって予想をしていても、どうしたっても引っかかる点が1つございまして……。それは「アルスラーンが死ぬ」と仮定した場合、王位を誰が継承するのか?という部分に尽きるわけでございます。
生前のナルサスやファランギースが憂慮していたように、本人も口にしていた通り、アルスラーンは優しすぎるが故、臣下や仲間の死に耐えられません。
だからこそ更なる死者が出ることは避けられない16巻「王都永劫」において(予想のタイトルです(笑))自ら死を望むと思うのです。
死亡フラグが立っているのは、いわば田中先生から読者への「クッション」。
その辺は劇中、幾度も発熱を繰り返していた銀英伝のラインハルトと重なります。
でも彼が死んだ後、王になり得る者は臣下には存在しません。
いくら血縁に重きをおかないとはいっても、まさかダリューンやエラムが王になるとも思えず……(じゃあやっぱり血縁か?)となれば、候補者は、
ヒルメス殿下
※先代王アンドラゴラスの異母兄弟。
パリザード
レイラ
フィトナ
※先代王アンドラゴラスと王妃タハミーネの間に生まれた女児(三つ子は恐らくあり得ないので2人はカモフラ―ジュと思われる)タハミーネがその出産がきっかけで子供が産めない体になったため、王位継承権のない女児は都合が悪いということで密かに野に放たれた。ちなみに、パルス王家は次代のため、捨てられた女児の代わりに、何の血縁もない男児を生まれた子だと称し、皇太子とした。それがアルスラーンである。
……この4名に絞られます。
で、まずヒルメス殿下なんですが……彼は生き残るには「やりすぎ」ました。
ということで、筆者は前項の予想において、次期パルスの王に「レイラ」を推したのですが、以下が、彼女を推す3つの理由となります。
1、作品中、タハミーネが(この子は自分の子)だと強く感じている様子が見られた。母の勘はバカにできない。
2、生き残るであろう臣下、特にファランギースがレイラとすでに出会っており、共に過ごした中で好感を抱いているのが大きい(いずれ仕えるのに都合がいい)
3、蛇王の血の2杯目を飲まされたイルテリシュは、それにより完全に「魔」になったが、その際グルガーンは「あの女にももう1杯飲ませるか?」と一瞬思い、体が持たないだろうとそれを思いとどまった。
特に3がね、匂うんですよ、田中氏の緻密な計算の匂いがする。
【1杯だけなら蛇王が死ねば人間に戻れるが、2杯飲んだら蛇王と共に消滅する】的なね、ザッハークの血の支配って、そんな感じじゃないでしょうか?
つまり、アルスラーンが蛇王を打倒した後、レイラは人間に戻る設定、と。
なぜ戻る必要があるか?
それは、彼女こそが時期パルスの女王だから……。
ま、それが僕の予想「レイラ本命説」の理由です。
それにね、消去方で消していっても、フィトナは間違いなく野心を利用されラヴァンに踊らされているだけっぽいですし、バリザードはそんなガラじゃないですよね?(笑)だから捨て子の3人娘の中で本物を選ぶなら(レイラしかいない)と、それは確信できるのですが、同時に、もう1つの疑念を消すことができないのです。それは、
3人とも偽物
というケースです。ヒルメス殿下も死に、3人も偽物であれば、アルスラーンはおちおち死ぬことができなくなります(笑)
「じゃあヒルメスが生き残り王位を継ぐ?」
いやいや、ナルサスやアルフリードを殺していなければともかく……もう手遅れでしょう。先述しましたがここまでやったら仇としてダリューンに討たれざるを得ない。
となれば……アルスラーンは死なないまでも、死亡フラグを回収するために、記憶とか視力を失うとか……?
で、以降も「解放王」として長く玉座に??
……ってな具合に、どれもこれもあまりにピンと来ず、堂々巡りなんですね(笑)
いっそのこと、エラムがアルスラーンの遺言で王になれば、良い政治が行われるんですがね(笑)いや、案外それも……ないことないかな?
「聞いてたラストと違う」とは?
『田中さんは以前から「『アルスラーン戦記』の結末を知ってる人はボクを除いて2人。そのうちの一人が君」と言ってた。私としては早く田中さんが結末まで書き上げて、この妙なプレッシャーから解放されたい、とも思ってた。で、結末まで読んで。…聞いてたラストと違うじゃん。……ちょっとぉ!
※有限会社「らいとすたっふ」代表
安達裕章氏Twitterアカウントより転用』
上記、らいとすたっふの安達氏8月29日のツィートにある「聞いてたラストと違う」という記述は、私にとっては物凄く大きな事件でしてね。
だってね、これって、私が大前提としてきた「アルスラーン死亡説」が、根底から揺さぶられる可能性があるわけです。
「主役、死ぬって聞いてたのに死なないじゃん?」
みたいなね(笑)まさかあれだけビンビンに立てていたアルスラーンの死亡フラグ自体が「ブラフ」だったのでしょうか??
いやぁ~……田中氏ならやりかねんなぁ、何せ予兆の「よ」の字もなかったのに、あんなに可愛いヒロイン、エステルを「えげつなくリアルに」死なせたくらいだもんなぁ。
ただ、私は予想を変えることはしません。
「皆殺しの田中」の凶行や気まぐれを予想することなど、到底無理(笑)
結局どんな予想をしたところで、まず当たりませんから(笑)
そんなわけで「アルスラニスト」同志の皆様。
発売までのあと数ヶ月、期待と不安に胸を膨らませたり萎めたりしながら、共に待ち侘びることにしましょう!
俺たち、30年読み続けてきて、良かったよね……。
当ブログ著者紹介
ライター
旅寅
大阪在住、43歳のお父さんライター。はてなブログ「夜行性サナトリウム」を2016年より運営。 同ブログ内で発表した複数の記事が、はてなブックマーク総合ランキングで1位を獲得したことにより、はてな有数の「バズライター」として知名度を上げ、同年、カクヨムにて発表した「造花」がカクヨムエッセイコンテストの最終選考に残ったことをきっかけに本格的に執筆活動を開始。現在、みっけSTORY、みっけブログ、FENIX等で連載コラム、レギュラーワークを担当。今後も新規クライアント様のWEBにおいて新連載の予定があり、併せて来年出版予定の小説も現在執筆中。著作に「日向のブライアン」がある。
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