足助の鍛冶屋で鍛冶体験、「レゴランドと並んだ?」いえ、それ以上でした

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9月11日のNHK「鶴瓶の家族に乾杯」 で愛知県豊田市足助で鍛冶屋をしている師匠が出ていたので、急遽こちらの記事をアップすることにしました。

師匠と呼べと言われたので「師匠」と書いていますが、実際にお会いしたのは1-2時間。それでも師匠の優しい人柄がテレビを通しても伝わってきたのが嬉しく、家族4人でワイワイTVに映る師匠ファミリーを見ていました。

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俳優の近藤正臣さんが訪れた「足助のかじやさん」こと広瀬重光刃物店。子供達に鍛冶体験をさせたくて来ました。香嵐渓の先にある足助屋敷が実際に体験できる場所と知らずに先ずお邪魔したのがコチラ。師匠のお母様に場所を教えて貰い足助屋敷へ。

広瀬重光刃物店の説明

店舗1階は、江戸末期より7代続く鍛冶屋の老舗。鉈や鎌、鍬など山仕事で使われる野鍛冶として始まり、代々受け継がれた技は刀匠としても指折りでした(銘:長運斎重光 通称・足助重光)。現在は包丁・アウトドア用ナイフや農作業・山仕事用刃物が中心となっています。

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訪れたのが3月だったので、景勝地・香嵐渓もまだまだ緑が少なく寂しい様子。街道沿いのお店から300m程進むと…

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山間にいきなり現れる立派な「三州足助屋敷」。いつもの通りに下調べが足らず、足助にこんなところが有るのかと目の前にして初めて知った場所でした。消えゆく日本の風景と技術の伝承を目的として設立された場所だそうです。

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頂いたパンフレットの鍛冶屋さん紹介部分。幼稚園児のうちの娘でも読めるフリガナ付きです。

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鄙びた里山のような屋敷内の様子。敷地の奥の方には足助村という貸しバンガローも有るそうです。

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こちらが鍛冶体験をお願いした鍛冶屋の建物。手前の木材は鍛冶屋隣りの炭焼き屋で使用されるモノだとか。

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趣きのある建屋に見えます。何処からか移築したものなのでしょうか? 鍛冶屋と言うと童謡「村の鍛冶屋」をいつも思い出します。

一、
暫時も止まずに槌打つ響
飛び散る火の花 はしる湯玉
ふゐごの風さへ息をもつがず
仕事に精出す村の鍛冶屋

二、
あるじは名高きいつこく老爺
早起き早寝の病知らず
鐵より堅しと誇れる腕に
勝りて堅きは彼が心

三、
刀はうたねど大鎌小鎌
馬鍬に作鍬鋤よ鉈よ
平和の打ち物休まずうちて
日毎に戰ふ 懶惰の敵と

四、
稼ぐにおひつく貧乏なくて
名物鍛冶屋は日日に繁昌
あたりに類なき仕事のほまれ
槌うつ響にまして高し

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入口に「ナイフ造り体験」と、うちの息子が喜びそうな案内があるも残念ながら小学4年生からとまだ早い…。

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飾られている写真のなかに秋篠宮文仁親王殿下のお写真が飾られていました。後ろ姿で写っているのがおそらく先代の6代目でしょうか?

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予約した旨を伝えて通されたのが金床の前。子供にも本物の場所というのが分かるようで、普段は「めんどくさい、だるい」が口癖の息子も目をキラキラさせて「ハイ、師匠」と返事をする変わり様。

鍛冶屋と言うとむすっとした取り付く島もない怖いオジサンのイメージがあるのですが、これまでお会いした刀鍛冶や野鍛冶の方は、皆さんあたりの柔らかい方ばかり。目の前にいる7代目も優しい顔をしていました。

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作業場は師匠を中心にして、ふいご、炉、金床、機械ハンマー。機械ハンマーは鍬に使うと聞いた記憶が...。今回は五寸釘を叩き伸ばしてぺーパナイフを造る体験ですが、子供達にはカタナを造ると言って来ていました。

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炉に五寸釘を入れて熱します。飛び散る火花。

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子供だと落として火傷の恐れがあるからだと思われるので、親がペンチで受け取り、

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加熱した五寸釘を金床の上に載せて、子供達が金槌で叩く、叩く! ペンチで細い五寸釘を保持するのも結構な握力が必要でしたが、金槌を振り下ろすにも力が必要で非力な娘は直ぐにギブアップ。

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鉄が冷めて黒くなっていくと、師匠が炉に再投入して加熱。子供と親の2人ペアで金槌を持ちトンカントンカンと親が子供の相槌を打っていました。にわか鍛冶屋さんなのでトンチンカンと聞こえていたことでしょう。

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鉄より堅いと自慢の腕で、打ち出す刃物に心がこもる。師匠が仕上げをしてくれました。写真下部に写っているのは平鍬の頭でしょうか? 野鍛冶なので館内には沢山の種類の刃の付いた道具があります。現代の農家は平鍬、山鍬、鎌以外に需要があるのかと聞きたかったのですが、作業途中ですっかり忘れてしまいました。

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焼入れをする為に炉にいれて再加熱。

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研磨機で刃を入れると完成です。今回は子供達の体験につき、トンカン以外は全て師匠サポート。

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完成したカタナ(ペーパーナイフ)がコチラ。試しに持っていたレシートを切り裂くと、とても満足した表情を息子は見せていました。楽しかったようです。

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預かっていてと渡されて、より近くで観察。足助と読める刻印が入っていました。鉄砲鍛冶、包丁鍛冶、馬鍛冶、車鍛冶、野鍛冶と専門化されるまで発展した鍛冶屋業も廃れて長く、各地に僅かに残るばかり。

TVで近藤正臣さんが師匠に言った「たいへんな覚悟をして家業を継がれたののでしょう」という場面で、師匠の目に涙が見えているのが映っていました。同じ2児の持つ父親として共感できる部分もあり、自分もテレビに釘付けになってしまいました。

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足助屋敷には昔の遊びができるモノが置いてあり、子供達は竹馬で遊んだり、竹とんぼを飛ばしたりと充分に昔遊びをしてから帰路に着くことに。 

広瀬重光刃物店の隣の村定酒店で後程聞いたのですが、私達が愛知に来たのはレゴランドと足助での鍛冶体験と言ったのを受けて、師匠は酒店亭主に「足助の鍛冶屋がレゴランドに並んだ」と冗談めかして言っていたそうです。

はい、レゴランド以上に記憶に残る体験をさせて頂きました。テレビでご家族と楽しそうに映る師匠の姿を見させて貰ったので、今週末にでも子供達に手紙を書かせて、鍛冶場で一緒に撮らせて頂いた決めポーズ写真を添えて送ろうと思っています。