■エディンバラ大は卒業できず
高円宮家の長女・承子さま(22歳)が7月1日、留学先の英国から帰国した。軽快な黒のパンツとシャツにカジュアルなグリーンのボレロ風カーディガンを羽織った出で立ち。大きな鞄と楽器ケースを抱え、報道陣の前を通り過ぎたが、コメントは一言もなかった。
承子さまは学習院女子大学へ入学した直後の'04年4月に英国へ渡り、語学研修を経て、同年10月からエディンバラ大学で留学プログラムを受講。当初は短期留学の予定だったが、'05年3月には学習院を正式に退学。「学業をいっそう深めるためエディンバラ大卒業を目指す」といっていた。
皇室記者が解説する。
「エディンバラ大学では人文学科で犯罪心理学などを学んでいた。しかし、単位不足で卒業はできなかった。今後は成年皇族としてご公務に携わる一方で、“帰国子女枠”などを使って都内の私立大学に編入し、学業を続けられるらしい。だが、承子さまといえば、あのブログ騒動が思い起こされ、他の皇族たちからは『大丈夫か』との心配の声が上がっている」
'02年11月に父・高円宮憲仁さまが亡くなられたが、承子さまはその葬儀に“茶髪”で参列したことでも話題を集めた。昨年11月に行われた五回忌にも帰国していない。さまざまな分野の人たちと親交を深め、人気があった父君だったが、何かしらの反発の思いもあったのかもしれない。
それにしても昨年2月、会員制ウェブサイト『ミクシィ』をはじめ、パソコンや携帯のホームページに綴っていた承子さまの日記は、あまりに赤裸々で関係者を驚かせたものだ。
《やーばーい、浮気した笑。って彼氏が日本語しゃべれないことをいいことにモロ公表してるけど爆。こんなん彼氏日本人だったらサイトバレ怖くて書けねぇ》('05年1月23日)
《昨日スクールディスコ(制服で行かなきゃならないクラブ)に行って帰って来たら朝4時とか。こっちで彼氏と一緒じゃないクラブは久々だったから(別れたからね。)なんか楽しかったけどね》
('05年9月28日)
ブログでは“つぐ”というハンドルネームで、自由奔放な留学生生活ぶりを綴っていた。宮内庁は当初「承知していません」といいながら、その後ミクシィからは“つぐ”の自己紹介文や顔写真が削除された。今年5月には、米経済誌『フォーブス』の「最もホットな若き王族たち」というウェブ版の特集記事で、承子さまが15位にランキングされたほどだ。
しかし、これが一般の大学生の日記なら若さゆえの奔放さとして笑って済まされるかもしれないが、日本を代表する皇族であるだけに波紋を呼ぶ。それは皇室および皇族に対して使われるお金が国民の税金によるものだからだ。
戦前の皇室財産は土地、建物はもちろん、全国の山林や牧場、また公債や有価証券なども含め、莫大なものがあった。戦後は連合国軍総司令部(GHQ)の意向のもとに、ほとんどが国へ移管された。日本国憲法には「すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない」(第88条)とある。
一般にはあまり知られていないが、これを受けて定められた法律が、皇室経済法であり、金額の詳細については皇室経済施行法で定められている。
■黒田清子さんに1億5千万円
皇室経済法第3条には「予算に計上する皇室の経費は、これを内廷費、宮廷費及び皇族費とする」と三つにはっきりと示されている。
まず、内廷費とはいわゆる“お手元金”といわれる天皇家の生活費である。所得税などの税金はかからないので、サラリーマンの給料にたとえれば“手取り”にあたる。年間予算は3億2千400万円に固定されている。その内訳は私的使用人や賢所に仕える内廷職員の給料、食費、両陛下や皇太子ご夫妻のご静養にかかる旅費など。その他、災害見舞い金や社会事業奨励金なども含まれる。
宮廷費は国賓を招いての宮中晩餐会、著名人を招いての園遊会、皇居など皇室関連施設の維持、ご公務、外国訪問などにかかる費用で、公金として宮内庁が経理する。'08年度は61億7千25万円の予算が計上されている。
皇族費は天皇家以外の皇族の“お手元金”で、宮家の皇族の生活費である。
皇室経済法第6条にはこうある。
「皇族費は、皇族としての品位保持の資に充てるために、年額により毎年支出するもの及び皇族が初めて独立の生計を営む際に一時金額により支出するもの並びに皇族であった者としての品位保持の資に充てるために、皇族が皇室典範の定めるところによりその身分を離れる際に一時金額により支出するものとする。その年額又は一時金額は、別に法律で定める定額に基づいて、これを算出する」
つまり、皇族には「品位保持」が必要であり、その資に充てるために皇族費が支出されているということだ。逆にいえば皇族として「品位保持」がなければ、皇族費を受ける資格はない。
現在、皇族費が支出されているのは秋篠宮、常陸宮、三笠宮、桂宮、高円宮といった各宮家と寛仁親王家である。当主1人あたり年額は3千50万円を基礎として、妃殿下はその半額の1千525万円、成年皇族には10分の3の915万円、未成年皇族には10分の1の305万円が毎年支払われている。'08年度の皇族費の合計は、2億7千984万円だ。
承子さまの留学費用も、この皇族費から支出されたわけだが、その使途について皇室経済法にある「皇族としての品位保持の資に充てる」と定められていることからすると、有効に使われたかどうかはきわめて疑問である。
7月22日には、高円宮家の二女・典子さまがご成年を迎えている。高円宮妃・久子さまは現在当主になり、高円宮さまに支払われていたのと同じ定額の3千50万円が支払われている。三女・絢子さま(17歳)を含めて高円宮家だけでも、5千万円以上の皇族費(つまり税金)が支出されることになる。
また、皇族が結婚して宮家を創設する場合や皇室を離脱する場合にも、一時金として皇族費が支給されている(皇室経済法6条)。黒田清子さんが天皇家から離脱したときには、1億5千250万円が支払われた。
かつては、三笠宮家の二女・容子さんが、フランスのソルボンヌ大学に留学中、派手な遊びや男性との交際を広げたために「奔放なプリンセス」といわれたことがあった。容子さんはその後、裏千家の若宗匠・千政之氏('03年に16代家元・千宗室を襲名)と結婚。現在は2男1女の母である。
■皇太子一家と秋篠宮家の格差
結婚当時を知る皇室関係者がいう。
「容子さんは昭和天皇の弟・三笠宮崇仁親王の二女。兄に寛仁親王、桂宮宜仁親王、弟に亡くなった高円宮憲仁親王、姉に日赤社長の近衛忠1氏に嫁いだ 1子さんがいる。彼女は学習院大学法学部に進むが、途中でスイスの全寮制の学校へ、その後フランスへ留学した。パリでは酒とタバコを覚え、ジゴロに引っ掛かり、やがて日本にまで追いかけてきた恋人までいた。その自由奔放ぶりについては、ヒゲの寛仁さまも脱帽したほどだ。容子さんの縁談はあらゆるルートを使って探し回ったが、結局、彼女は30歳過ぎまで独身。やっと決まったのが、5歳年下の政之氏だった。仲を取りもったある経済人の話では、結婚が決まったとき、三笠宮さまが『よく貰って下さる方がいた』と喜んだというのだが……」
裏千家は千利休に連なる茶道諸流派のなかでも最大勢力を誇る。いかに「奔放なプリンセス」と揶揄されようが、裏千家にとってロイヤルファミリーの血脈を手に入れるメリットは大きかった。しかし、結婚当初、容子さんの“浪費癖”は相当なもので、裏千家は財産の処分まで考えたという。
翻って皇室財政について見直しの声もある。天皇家が使える内廷費が3億2千400万円であるのに対し、秋篠宮家の皇族費は5千490万円だ。皇位継承権は皇太子さま、秋篠宮さま、悠仁さまの順だが、天皇家と秋篠宮家の間には著しい格差がある。仕える宮内庁職員数も皇太子一家が51人であるのに対し、秋篠宮家は15人である。
皇太子ご一家がお住まいの東宮御所は、この夏から2年で約10億円をかけて大規模な改修が行われる。敷地面積が秋篠宮邸の約4倍あるうえに、東宮御所がリニューアルすることによって、両家の格差はますます広がりそうだ。
皇室典範改正にばかり目が行きがちだが、皇室経済法の改正も視野に入れて、これからの皇室のあり方を根本的に考え直す時期に来ている。
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