田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)
民進党の新代表に前原誠司元外相が選出された直後、山尾志桜里元政調会長のスキャンダルによって同党は出だしからイメージを大きく損ねてしまった。最近では、ワイドショーをはじめとするメディアの「印象」によって政治が大きく左右されてしまっている。安倍政権における森友・加計学園問題もそうだし、豊田真由子衆院議員の暴言も東京都議会選挙の行方にかなりの影響を与えただろう。
報道によれば、前原氏は山尾氏を幹事長の要職に据えたかったらしいが、スキャンダルによってそれはかなわなかった。山尾氏は民進党から去ることで問題の沈静化を狙っている。
ADVERTISING
山尾氏のスキャンダルは男女問題が原因である。男女問題のスキャンダルについては、山尾氏が与党議員に対して倫理的な観点から厳しい批判を展開していた。そのため、今回の彼女のスキャンダルは「特大ブーメラン」などとして批判を浴びている。
また離党の理由もよくわからない、という批判もある。9月7日に行われた離党会見の文言も「倉持(麟太郎)弁護士と男女の関係はありません。しかし、誤解を生じさせるような行動で様々な方々にご迷惑をおかけしましたこと、深く反省しお詫び申し上げます。そのうえで、このたび、民進党を離れる決断をいたしました」となっている。
スキャンダルに根拠がなければただの嘘である。嘘をつかれた責任をとる必要はまったくない。ただ、安倍晋三首相に「(官僚などに)忖度(そんたく)させた罪」を問うてきた民進党だけに、その党のやり口を自身の問題にも適用したのだったら、それはそれで首尾一貫している。もっとも褒められたものではないが。