「TIGER & BUNNY」(タイバニ)、「僕のヒーローアカデミア」(ヒロアカ)、そして「ワンパンマン」。
これらの作品の類似点の話です。
共通点とメリット
これらの作品に共通しているのは、
・ヒーローが活躍する
・作品内世界において、ヒーローは組織化され、職業として存在する
・ヒーローの市民からの人気も重要とされる
という点です。
こういう設定が便利なのは、
・様々なヒーローを自然に登場させることができる
・コスチュームやヒーロー名は知名度や人気を上げるためでもあると理由付けできる
・ヒーローが敵と戦う理由付けを逐一設定する必要がない
といったところでしょうか。
あとは、ヒーロー物が陳腐化しすぎたことも要因かもしれません。
今日では、真正面からはヒーロー物を描きにくく、ビジネス色のある要素を入れて、パロディ的な目配せを必要があるのではないでしょうか。
ジャンルの起源・源流
では、こういう類型はいつからあるのか?
標題の三作品だと、
ワンパンマン(ONE版)(2009〜)
TIGER&BUNNY(2011〜)
僕のヒーローアカデミア(2014〜)
という順です。
ただし、僕のヒーローアカデミアについては、読み切りの「僕のヒーロー」を基準とすると、2008年なので、最も先行していることになります。
なお、以下のインタビュー記事にもありますが、堀越耕平は、ヒロアカを描くにあたって、先行の「ワンパンマン」や「TIGER&BUNNY」と比べられるおそれは感じていたようです。
このジャンルの源流がどこにあるのか、というのは難しい問題です。
悪と戦うのが職業、という意味では、軍人(敵が悪とされている場合)や警察の類が該当するでしょうが、このジャンルと比べると、公権力と近づきすぎているきらいがあります。
公権力とは若干の距離を置きつつ、悪人を退治して生活の糧とする、という点では、賞金稼ぎ(バウンティハンター)や私掠船の史実又はそのフィクションあたりに、ジャンルの原型を見いだせるかもしれません。
「個別にも活躍するヒーローの組織化」というと、アメコミ(アベンジャーズやジャスティス・リーグ)や特撮ヒーローが思い浮かびますね。
日本だと、「魔界転生」でしょうか。
やや遠いですが、水滸伝にも共通点はありそうです。
ジャンプ的な流れでいうと、「キン肉マン」や「とっても!ラッキーマン」にも共通点を見出せるかもしれません。
「ヒロアカ」以降の職業ヒーロー
目立つのは島本和彦の「ヒーローカンパニー」(2011〜)くらいでしょうか。
こちらは、「仕事」感がより前面に出ていますね。
最近では、こちらの読み切りもありました。
設定自体は便利なので、後続がたくさん出ても良さそうです。
もっとも、タイトルの3作品と比較されることが避けられないという問題があるかもしれませんね。
見落としている点や作品などあれば教えてください。