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「女子がモテを必要としない世の中になってほしい」冷静な水原希子と、女に狂わされたい男性陣の温度差

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水原希子

水原希子Instagramより

 916日から公開される映画『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』に“出会う男すべて狂わせるガール”として出演している水原希子(26)が、劇中で演じる超絶美人のファッションプレス(広報)・天海あかり名義でムック『Sweet特別編集 天海あかりstyle book』(宝島社)をリリースした。

 “奥田民生になりたいボーイ”である冴えない雑誌編集者・コーロキ(妻夫木聡)が惚れてしまう若くて可愛い美女のあかり。ファッションモデルである水原が劇中では抜群のスタイル(非常に細い)で様々な洋服を可愛く着こなしており、それも含めて“あかり”の魅力を詰め込んだ一冊だ。

 あかりは容姿が可愛いだけでなく、鉄板のモテテクをいくつも持っていて、とにかく男にモテる女性。コーロキとは仕事で知り合うが、仕事現場でもお構いなしにモテテクを連発。打ち合わせ中の「やだぁ~面白い~」、撮影中も「すご~い」、また打ち合わせ中に“じっと見つめる”、初飲みで「そんなふうに全然見えないのに、超かっこいいです」と男の手を握る、など。

 しかし水原希子自身は、そうしたテクを駆使しての“モテ”について冷静だ。同誌掲載のロングインタビューから一部引用したい。「あかりはおそらく男性に対してトラウマがある」と推測する水原は、あかりはモテつつもどの男に対しても自分を見せようとしない、閉じた女性であると分析している。

「結局、モテって女性が自分のやりたいようにいられる環境ではないっていうことだし、世間的にモテを押しつけている側面もあると思うんです。そういうこととは全然違う方向で生きてきた自分があかりを演じるのはすごく面白くて、全国のモテ好きの男性たちにはザマアミロっていうのも込めて演じたかった(笑)」

「こんなふうに外見だけで勝手に理想だと思う女性を追い求めたって無理だって。ちゃんと心と心の付き合いをして、キレイじゃないところも受け入れて。お互いギブ&テイクの関係を作らないと続かないと思います」

 この役は監督の大根仁が「是非、水原希子に」と熱望して実現したという。大根監督と原作者の渋谷直角は、同誌掲載の対談で「男子がどんな女子に惹かれるかといったら、まあ、よく笑う子みたいな結論になりますよね」(渋谷)「愛嬌ですよ。美人でも愛嬌のない子はダメ」(大根)と発言しているが、劇中のあかりは確かに一言で言えば愛嬌が良いからモテている。可愛いけれどもツンツンしていたり人見知りだったり、初対面から強い自己主張を繰り出したり男にダメ出ししていたら、「愛嬌が良くない」と判断されるだろう。

 しかし水原希子は、「男の人が喜ぶことを言っていっぱい笑って、ちょっとエロい格好をしてとかあると思うんですけど(笑)、そういう全方位系のモテテクは狙った人以外にもモテちゃう」ゆえ、好きではない相手に対してはモテテクを使うことはないという。

 「女の子がそういうことをする必要のない世の中になってほしいです」という水原の言葉の裏に、女性は媚びることで周囲に評価されるが、「愛嬌がない」認定されれば生きにくいという現状への批判的なメッセージを感じる。

 最後まで「いい女に狂わされたいよ」と和やかに語り合う男性陣と、「ありのままの自分を好きになってくれる人と」「お互いギブ&テイクの関係を」と口を酸っぱくする水原の間に、確かな温度差があった。まだ公開前の同作だが、大根監督の出世作となった『モテキ』同様、女性を「よくわからない生き物」として放り投げているような予感がし、寒気を覚えたのだった。

ヒポポ照子

東京で働くお母さんのひとり。大きなカバを見るのが好きです。

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