震災6年半 福島第一原発 増え続ける汚染水

震災6年半 福島第一原発 増え続ける汚染水
東日本大震災と原発事故から6年半がたったいま、東京電力福島第一原子力発電所では、増え続ける汚染水の取り扱いが課題になっています。
福島第一原発の1号機から3号機では、メルトダウンするなどした核燃料を冷やすため、原子炉と原子炉を納めた格納容器に入れ続けている水が、高濃度の汚染水となって建屋の地下などにたまっています。
さらに、建屋の山側からは、大量の地下水が流れ込み、この汚染水と混じり合うためその量は増え続けています。

東京電力は、流れ込む地下水の量を抑えるいくつかの対策を組み合わせて行っていて、このうち、対策の柱とされる「凍土壁」は、建屋の周りの地盤を長さおよそ1.5キロに渡り、氷点下30度の液体を流してつくるもので、去年3月、建屋の下流側から順次、凍らせ始めました。先月には、安全のため凍らせずに残していた最後の部分の凍結を始め、凍土壁はようやく完成のめどが立ち、東京電力によりますと今のところ順調に凍結が進んでいるということです。

このほか、建屋の上流側で地下水をくみ上げて海に排水する「地下水バイパス」や建屋周辺の「サブドレン」と呼ばれる井戸で地下水をくみ上げ、建屋に流れ込む地下水の量を抑える対策も進め、こうした複数の対策により、流れ込む地下水の量は1日当たり400トンから100トン以下に減らせるとしています。

ただ、国と東京電力が示している2020年に1号機から4号機の建屋の中の汚染水の処理を終えるという計画の達成には、地下水の流入量をさらに減らすことが必要で、凍土壁を含めた対策の効果を高められるかなどが課題になります。

また、汚染水対策をめぐるもう1つの大きな課題が、敷地内のタンクで保管されている大量の汚染水の処分です。

現在、汚染水100万トンがおよそ900基のタンクに保管されていますが、その量は増え続けていて、特に「トリチウム」と呼ばれる放射性物質は取り除くのが難しく、どのように処分するかが課題となっています。

国と東京電力はトリチウムを含む水について「海への安易な放出は行わない」としていて、今月1日に示された工程表の見直し案でも、この方針を堅持するとしています。

一方、国の専門家チームは去年、こうしたトリチウムを含む水について、薄めて海に放出する方法が最もコストが安く、最短で処分できると評価し、別の専門家チームが、風評被害などの観点を含めて処分方法を議論していますが、結論は出ていません。

廃炉に向けての課題は

福島第一原子力発電所の廃炉で最大の難関とされる「燃料デブリ」の取り出しについては、ことし7月に行われた3号機の調査で、燃料デブリの可能性が高い塊が初めて見つかりました。

国と東京電力は、このデブリを取り出す方法について、格納容器の中を完全には水で満たさない方法を軸にして進める方向で検討していますが、世界でも例がないだけに、安全で、より具体的な計画を立てられるかが課題となります。

福島第一原発1号機から3号機で溶け落ちた核燃料が構造物と混じり合った「燃料デブリ」について、ことし7月に行われた3号機の調査では、原子炉の真下や原子炉を覆う格納容器の底で燃料デブリの可能性の高い塊が初めて見つかり、調査に一定の進展が見られました。

こうした調査結果などを踏まえ、今月1日、国の対策チームは、廃炉の工程表の見直し案のなかで1号機から3号機の燃料デブリの取り出し方の方針について、これまで検討されていた、放射線を遮るために格納容器の中を完全に水で満たして取り出す方法は、事故で損傷した格納容器の修理が難しいことなどから、水で満たさずに取り出す「気中工法」と呼ばれる方法を軸に進めるとしています。

そのうえで、格納容器の横からロボットを投入し、容器の底にあるデブリから取り出していくことにしています。

そして、燃料デブリの取り出しを始める時期については、2021年を目指すとしています。気中工法では、放射性物質が飛散するおそれがあるため、見直し案では、格納容器内の圧力を下げる設備を開発し、飛散を防ぐ対策を行うとしていますが、放射線量の高い環境で安全対策の徹底を図ることも必要で、今後、追加の調査結果などを踏まえ、安全で、より具体的な計画を立てられるかが課題になります。
震災6年半 福島第一原発 増え続ける汚染水

震災6年半 福島第一原発 増え続ける汚染水

東日本大震災と原発事故から6年半がたったいま、東京電力福島第一原子力発電所では、増え続ける汚染水の取り扱いが課題になっています。

福島第一原発の1号機から3号機では、メルトダウンするなどした核燃料を冷やすため、原子炉と原子炉を納めた格納容器に入れ続けている水が、高濃度の汚染水となって建屋の地下などにたまっています。
さらに、建屋の山側からは、大量の地下水が流れ込み、この汚染水と混じり合うためその量は増え続けています。

東京電力は、流れ込む地下水の量を抑えるいくつかの対策を組み合わせて行っていて、このうち、対策の柱とされる「凍土壁」は、建屋の周りの地盤を長さおよそ1.5キロに渡り、氷点下30度の液体を流してつくるもので、去年3月、建屋の下流側から順次、凍らせ始めました。先月には、安全のため凍らせずに残していた最後の部分の凍結を始め、凍土壁はようやく完成のめどが立ち、東京電力によりますと今のところ順調に凍結が進んでいるということです。

このほか、建屋の上流側で地下水をくみ上げて海に排水する「地下水バイパス」や建屋周辺の「サブドレン」と呼ばれる井戸で地下水をくみ上げ、建屋に流れ込む地下水の量を抑える対策も進め、こうした複数の対策により、流れ込む地下水の量は1日当たり400トンから100トン以下に減らせるとしています。

ただ、国と東京電力が示している2020年に1号機から4号機の建屋の中の汚染水の処理を終えるという計画の達成には、地下水の流入量をさらに減らすことが必要で、凍土壁を含めた対策の効果を高められるかなどが課題になります。

また、汚染水対策をめぐるもう1つの大きな課題が、敷地内のタンクで保管されている大量の汚染水の処分です。

現在、汚染水100万トンがおよそ900基のタンクに保管されていますが、その量は増え続けていて、特に「トリチウム」と呼ばれる放射性物質は取り除くのが難しく、どのように処分するかが課題となっています。

国と東京電力はトリチウムを含む水について「海への安易な放出は行わない」としていて、今月1日に示された工程表の見直し案でも、この方針を堅持するとしています。

一方、国の専門家チームは去年、こうしたトリチウムを含む水について、薄めて海に放出する方法が最もコストが安く、最短で処分できると評価し、別の専門家チームが、風評被害などの観点を含めて処分方法を議論していますが、結論は出ていません。

廃炉に向けての課題は

廃炉に向けての課題は
福島第一原子力発電所の廃炉で最大の難関とされる「燃料デブリ」の取り出しについては、ことし7月に行われた3号機の調査で、燃料デブリの可能性が高い塊が初めて見つかりました。

国と東京電力は、このデブリを取り出す方法について、格納容器の中を完全には水で満たさない方法を軸にして進める方向で検討していますが、世界でも例がないだけに、安全で、より具体的な計画を立てられるかが課題となります。

福島第一原発1号機から3号機で溶け落ちた核燃料が構造物と混じり合った「燃料デブリ」について、ことし7月に行われた3号機の調査では、原子炉の真下や原子炉を覆う格納容器の底で燃料デブリの可能性の高い塊が初めて見つかり、調査に一定の進展が見られました。

こうした調査結果などを踏まえ、今月1日、国の対策チームは、廃炉の工程表の見直し案のなかで1号機から3号機の燃料デブリの取り出し方の方針について、これまで検討されていた、放射線を遮るために格納容器の中を完全に水で満たして取り出す方法は、事故で損傷した格納容器の修理が難しいことなどから、水で満たさずに取り出す「気中工法」と呼ばれる方法を軸に進めるとしています。

そのうえで、格納容器の横からロボットを投入し、容器の底にあるデブリから取り出していくことにしています。

そして、燃料デブリの取り出しを始める時期については、2021年を目指すとしています。気中工法では、放射性物質が飛散するおそれがあるため、見直し案では、格納容器内の圧力を下げる設備を開発し、飛散を防ぐ対策を行うとしていますが、放射線量の高い環境で安全対策の徹底を図ることも必要で、今後、追加の調査結果などを踏まえ、安全で、より具体的な計画を立てられるかが課題になります。