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【長谷川豊】中学の授業で遺体画像を見せた問題は批判して終わりでいいのでしょうか?

【長谷川豊】中学の授業で遺体画像を見せた問題は批判して終わりでいいのでしょうか?
フジテレビ出身のフリーアナウンサー長谷川豊氏が話題のニュースに関する見解を「教えて!goo」で毎週コラムとして配信中。

今回は「栃木県の中学で遺体画像を見せた問題」について長谷川氏が持論を展開します。

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人質事件の遺体画像を栃木の中学校でも生徒に見せていた。どう思う?

……この話は、私が思うに、批判して終わりって単純な話でもないような気もするんです。いや、もちろん、前提として、ダメダメだし、批判されるべきなのは分かるんですが、単に批判して、ふたをすれば終わりなのかなぁ……って。そこそこ難しい話な気がします。

栃木県のさくら市の教育委員会が謝罪会見を行いました。
50歳代の男性教諭が授業中、イスラム過激派組織「イスラム国」を名乗るテロリストがインターネット上で公開した、ジャーナリストの後藤健二さんの遺体とみられる画像などを生徒約80人に見せていたと発表したんです。
発表によると、この教諭は、中学2、3年生の社会科の授業で、イスラム国が後藤さんを殺害したとみられる様子の画像や動画を、生徒たちに懇願され、教室の電子黒板に映し出すなどして見せたとのこと。
これは配慮が足りない、と散々非難されていますし、大枠、私もその通りと思います。発達段階の子供たちです。かなりの心の傷になるでしょうし、トラウマになるかもしれません。少なくとも自分の子供が中学2年生ですが、自分の子供にはあんな映像は見せたくありません。
しかし、見方を変えれば、この事実は、少なくとも現実に起きていることであり、日本社会が直面している出来事であり、さらに、大手メディアでも長い時間を割いて垂れ流しにされているニュースそのものでもあります。この話を伝えるために、残虐性を伝えるために、実際の映像を、「見なくてもいいよ?」と断った上で、それでも見たい!と言ってきた生徒に見せたこの教諭は…単に非難されるだけの存在ではないような気もするのです。

「社会」とは文字通り、「社会の問題」を考える授業であるべきです。もちろん「口で言えば分かるだろ!」「戦争の悲惨さや命の尊さは説明すればわかるものであり…」と唱える人も少なくないでしょう。しかし、多くの殺人現場を取材し、150人を超える殺人事件遺族に、取材を通じて話を聞いてきた私としては、

目で見て、耳で聞かないと「理解できないこと」がある、と断言できます。

後藤さんの映像と写真、何人の日本人が見ました?あれを見て、衝撃を受けなかったですか?見てない人、見た人と同じように衝撃を受けていますか?

あの映像や写真が「伝える真実」は間違いなくあります。

問題は中学生であるってところだと思います。言うまでもなく多感な時期であり、この教諭の授業はちょっときついと思います。それは私も思います。でも、現実問題として「単に蓋をして終わり」というのも違う気がするのです。だって、目を背けても現実に起きたことなのですから。あの写真や映像で、気付けること、考えられることってあると思います。日本人の多くはそこから目を背けていると思いますが…。

この教諭のした授業は「中学2・3年生の授業としては」確かに配慮が欠けていたと思います。でも、この教諭の「伝えたかったこと」「教えたかったこと」はそのすべてを否定されることではないような気もします。単純に「この先生、やりすぎだよね~」「バカだよね~」と批判して終わるのではなく、この問題や事件を、どのように伝えるべきなのか、改めて考える機会にしていく必要がある気がしてなりません。


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