漫画家のきただりょうま(@R_Kitada)さんが、1カ月間“違法アップロードサイト対策”をした結果を漫画で投稿して話題になっています。
現在ジャンプSQ.にて漫画『ド級編隊エグゼロス』を連載中のきたださん。単行本の発売日が大人の事情で1カ月ずれこんでしまい、その間になにかできないかと考えている時に思い出したのは「同人誌の違法アップロードを削除し続けたら売り上げが伸びた」というブログ記事。そして実際に自身の漫画「エグゼロス」で検索してみると、勝手に掲載された違法アップロードサイトがよりによって検索結果の最上位に出てきてしまいます。
そこで対策として試したのは、Googleの「著作権侵害による削除」。これは権利者(または代理人)が、著作物を特定する情報等と一緒に“権利を侵害しているコンテンツのURL”を入力して申し立てを送信することで、Googleの検索結果から削除してくれるというサービスです。
きたださんにお話を伺うと、実際に削除請求にかかった手間は、1日10分をひと月ほど。その数は十数サイト分に及んだとのこと。
それからGoogleで検索してはひたすら削除申請をするという日々を続けていたきたださんですが、数日ほどたって検索結果に「除外しました」の文字を発見。無事、例の違法アップロードサイトがGoogleの検索から消えたという結果を報告しました。ちなみにこの十数サイトに出した削除申請は、時間差はあったものの全て通ったとのことです。
きたださんはまとめとして、これをやることで「ちゃんと公式で試し読みをしてもらえるので販促になりやすい」とメリットを挙げつつも、「ただこの手間分の売上が見込めるかは分からない」と全体を見た場合には迷う部分も。違法アップロードサイトへの削除申請よりは「面倒な手続きがなかった」という理由で選んだ今回の“Googleへの通報”ですが(違法アップロードサイトに直接削除申請を出そうとすると、身分証など個人情報を求められることもあってなかなか手を出しにくいとのこと)、少しとはいえ毎日の時間を奪われてしまうことには違いありません。
また「Googleからの検索を断つだけ」という点にも触れ、対策としては完全ではないことも説明。「この方法は結局違法サイト側には何のリスクもないので、法律が介入しない限り延々と続くと思います」と、違法アップロードサイトをなくす方法としては難しいとの意見もいただききました。
なお、この方法では検索結果に「クレーム」があったとして削除されたことが表示されますが、そのリンクからは申請を管理する非営利団体「Lumen」サイト内にてその申請内容が見られるようになっています。これは申請の確認や、虚偽の申請がされた際に異議申し立てが可能なように公開されているものですが、申請者名なども公開されるので人によっては注意が必要です。もちろんGoogleへの通報時には「宣誓供述書」へのチェックと署名が必要で、偽証は処罰の対象となる説明も書かれています。
きたださんの漫画『ド級編隊エグゼロス』は、人々のエロを規制してその力を奪う「キセイ蟲」によって地球が侵略されつつある世界が舞台の“H”EROコメディー漫画。コミック1巻が9月4日に発売されたばかりで、無事に検索結果から違法アップロードサイトを排除できたこともあり、きたださんいわく、現状では「合法でしか読めない」とのこと。なお少年ジャンプ+ではカラー(主に肌色)ありの第1話の試し読みができます。
画像提供:きただりょうま(@R_Kitada)さん
(宮原れい)
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