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ヴォイニッチ手稿の謎が解明された、という報道があった。
→ ついにあのヴォイニッチ手稿が解読された模様! 驚きの中身とは
→ 「ヴォイニッチ手稿」を解読する試み - Gigazine
元の文書は、英国の The Times のサイトに掲載されたエッセー。(Chromeのアドオンで翻訳が読める。)
→ Voynich manuscript: the solution - NICHOLAS GIBBS
要するに、こうだ。
・ 略語があり、中世のラテン語の略語と一致。
・ 全体は、中世のラテン語で書かれた医学的知識。
・ 女性向けに「風呂に入ると健康に良い」というような内容。
ここでわかったことは、こうだ。
「使われた言語と、おおまかな内容は、判明した」
「言語では母音が省略されているらしい」
まだわかっていないらしいことは、こうだ。
「謎の植物のイラストは、何なのか?」
「なぜ母音が省略されたのか」
というわけで、一部は解決されたが、残る謎もある。
出典:ヴォイニッチ手稿 - Wikipedia
残る二つの謎について、私がアイデアを示そう。
(1) 謎の植物は?
謎の植物のイラストは、何なのか? 地球上にはあり得ない植物が描かれているのは、どういうことか?
これについては、ヒントがある。
The artists engaged in illustrating the Voynich manuscript ranged from the proficient to the downright naive
( → The Times )
イラストの執筆者は、熟練者から素人レベルまであって、多様だった、ということだ。
とすれば、素人レベルの人が、ろくに技量もないまま、変な絵を勝手に独りよがりに描いた、ということもありそうだ。とすれば、想像で変な植物を描いたとしても、おかしくはない。
この時代には、百科事典などはなくて、せいぜい身のまわりにある日常的な植物しか見かけなかった。たまに遠方地域にある植物の絵を見ることがあったぐらいだろう。とすれば、知識もないまま、変な想像画を描いたとしても、おかしくはない。
そう理解すれば、わけはわかる。つまり、謎の植物は、(知識不足のままの)想像上の産物にすぎなかったのだ。
出典:ヴォイニッチ手稿 - Wikipedia
(2) 母音の省略は?
解読が困難だった理由は、ありふれたラテン語を使っていたにもかかわらず、母音が省略されたことだ。ではどうして、母音が省略されたのか?
まず、ヴォイニッチ手稿が作られた時期は、1404年から1438年の間である。
→ ついにあのヴォイニッチ手稿が解読された模様! 驚きの中身とは
この時期については、次の項目が役立つ。
→ なぜ中世アラブは先進国だったか?: Open ブログ
この時期は、ルネッサンスの初期である。当時の最先端である中世アラブ世界から、ギリシア文化やヘレニズム文化が流入した時期である。また、印刷術以前なので、文字表記には自国言語は(ほとんど)使われず、文字表記にはラテン語を用いていた時期だ。
このことから、次のことが推察できる。
・ ヴォイニッチ手稿は、中世アラブ世界から流入した知識を記したものだ。
・ その言語は、基本的にはラテン語で書かれている。
・ ただしアラブ世界を経由したので、母音が省略された。
最後の点は、次のことによる。
「アラビア語では、母音を省略して記述する」
たとえば、「タナカ」も「タヌキ」も、ともに「TNK」と表現する。そのどちらを意味するかは、あくまでコンテクスト(文脈)による。
「これで困らないか?」と思えるが、困らないらしい。実は、日本語だって、漢字を「音読みと訓読み」の二通りがあるが、とくに困らずに読めている。それと同様らしい。
→ アラビア語の読み方について - Yahoo!知恵袋
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というわけで、(1)(2) の謎については、本稿で「謎の解決」を示した。これで、謎については、基本的なことがわかったと言えるだろう。
( ※ 具体的な詳細な解読はまだだが。)
[ 付記 ]
母音を省略しているのは、なぜか? たぶん、筆者がアラビア人だったりして、アラビア語の要素が多く混じっているせいだろう。
これまでの解読は、「古代の英語やドイツ語などである」という仮定の下で解読しようとしていたが、実はアラビア語が混じっていたのだとすると、解読ができなかったのも無理はない。
今後は、(ラテン語を主とした上で)アラビア語の着眼点から解読を進めるのが好ましい。
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