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 我々は自らを理性的で、客観的な判断ができる存在だと思っていたい。しかし人が抱くバイアス(思い込みと偏見)は想像以上に強いようだ。

 最新の研究では、人間は自身のバイアスに一致しない事実は無視してしまう能力が備わっていることが明らかにされている。

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 人は自分の信じたい説や信念を検証する際、それを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向がある。また一度信じてしまったら、それが誤っていてもなかなかその記憶を訂正することができない。

 仏高等師範学校(ENS)のステファノ・パルミンテリ氏は以前ENSやユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンからの研究者でなるチームを率いて、人間はそれが後で痛い目を見ることになっても、最も安易な方法へ偏向することを報告した。

 そうした状況において、人はまだ具現化していない未来への影響を認識できないようである。

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人は自分が間違っているという頭の中の声に耳を傾けない


 今回パルミンテリ氏のチームは、実験的な環境において、バイアスの強さのあまり、人が何か具体的なものを選べる場合でもバイアスにしがみつくことを観察しようとした。
 
 研究には20名の被験者が参加し、2バージョンでなる課題を行なってもらった。課題の基本的な内容は、ポイントが割り当てられた2つのシンボルのうちの一方を選ぶことだ。
 
 最初の課題では、被験者がシンボルを選ぶと、そのシンボルのみのポイントを教えてもらえる。これを何度か行うと、被験者は片方のシンボルは価値が高いことに気づき、そのシンボルを選ぶというバイアスを形成し始める。

 次の課題では、選べるシンボルは1つのみだが、どちらのポイントも教えてもらえる。しかし他方のシンボルの方がポイントが高いことが判明してからも、最初の課題で形成されたバイアスの影響を受け、同じシンボルを選び続けた。

 このことは、状況が明らかであるのに中々考えを変えようとしない人がいる理由を説明するだろう。「自分が間違っているという頭の中の声に耳を傾けない」のである。

関連記事:人間は偏見の塊である?理性的であることを妨げる12の認知バイアス

常に自分の中にあるバイアスを意識すること


 それでも頑張れば、そういったバイアスの影響を低められるかもしれない。2012年の研究によれば、バイアスを打ち払うための強力なツールは、バイアスの存在に気づき、その影響を意識することだという。

 だが懸命に取り組むことが重要だ。2015年のカーネギメロン大学の研究によれば、ほとんどの人は自分のバイアスに気がついておらず、それを克服することは容易ではないようだ。

 「完全な客観性はおそらく我々が永遠に成し得ないもの」(パルミンテリ)

 研究は『PLOS Computational Biology』に掲載された。

via:ucl. / plos/ translated by hiroching / edited by parumo
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