官公署とは、つまり役所などの行政機関のことです。市区町村役場はもちろんのこと、警察署、入国管理局、社会保険庁、税務署、法務局、 その他ありとあらゆる行政機関に提出する書類を作成する。それが行政書士の仕事の中でも最も大きな割合を占めています。
行政機関がたくさんあるのと比例して、作成する書類もたくさんあります。運転免許をもっている方は、運転免許試験場の近くで申請書作成代行 という看板を出している所をよく見かけていると思いますが、あれも行政書士の事務所です。
それから、建設業・宅建業・旅行業などの許可申請、 飲食店・理容店・古物商などの許可申請、ビザの申請、 極端な話、粗大ゴミの引き取りを区役所に申請するのも行政書士の仕事に含まれます。もっともそんな簡単なことを頼む人はいないでしょうが、 とにかく、何かしら許可や申請が必要なもののあらゆるものが行政書士の仕事なのです。
これに関連して、行政書士に依頼する際にいくつか注意点があります。
まず、税務署や法務局に対する申請。税務申告は税理士の仕事ですし、登記申請は司法書士の仕事です。例えば会社の登記申請を依頼するとしたら 普通は司法書士に、と考えるでしょう。しかし、行政書士も登記申請書の作成だけはできます。実際、会社作成の依頼を受けている行政書士事務所は 当事務所も含めてたくさんあります。 では行政書士に依頼するのと司法書士に依頼するのとの違いはどこにあるのでしょうか。
それは、行政書士は書類の作成と提出の代理ができるだけですが、司法書士は代理人として自らの名義で書類の作成と提出ができるという違いです。
つまり行政書士に依頼した場合は作成してもらった登記申請書類はあくまでも依頼者本人の名義で法務局に提出することになります。 微妙な違いで、一般の方には分かりにくい部分だと思いますが、私たち士業にとっては職務範囲は重要な問題なのです。
仕事の分量に差があるわけですから、それは当然報酬額にも差が現れます。依頼する方は、自分でできることはなるべく自分でやるのか、全部責任を もってやってもらうのか、払える報酬額はいくらか、などによってどちらに依頼するかを決めてください。
また仕事の範囲があまりにも広いということに関連して、全ての行政書士が全ての仕事に精通しているわけではないということ。この点に ついては、「行政書士に依頼するには」に詳しく説明しています。