海上でドローン空撮する(撮影編)
皆さんこんにちは。
株式会社 Dron e motion(ドローンエモーション)ドローングラファ
大前 創希です。
前回は船上にてドローンによる空撮をする際の留意点を中心にお伝えしました。今回は撮影時に参考になる設定に関してお伝えしていきたいと思います。
前回に引き続き、慶良間諸島にてクジラを撮影した際のデータを用いて説明していきたいと思います。因みに内容としてはカメラ知識を多少持っているという前提の初〜中級者というレベル感で説明します。撮影当日は曇っていたため、海からの反射は無かった代わりに全体的に色もあまり出ない状況であったため、後編集で色を出していく方針で撮影しました。今回のカラー設定では“D-Cinelike” というモードを用いました。ホワイトバランスは自動を選択し、微妙な加減を調整するために絞り・シャッタースピード・ISOをマニュアルで設定しました。
D-Cinelikeで撮影。未加工では色がイマイチ出ていません。クジラとの距離は約10m。
絞り : 2.8、SS:1/160、ISO:100
実は、実際に撮影時に用いたかったカラー設定は“D-Log” というモードなのですが、ISO値が500固定になるという事もあり、またD-Logだと海とクジラが色的に近すぎて撮影時に発見しにくいという課題もあったため、D-Cinelikeを選択しました。カラー設定の違いとしては、D-Logはダイナミックレンジ(後述します)が広く、編集時に色を調整する事に優れた設定となっており、D-Cinelikeは比較的色を調整しなくても人の目でみた状態に近しいカラー設定となります。標準は「なにも設定していない」という事になりますが、DJIの標準は私の感覚値としてはD-Cinelikeに近いという認識です。因みに、Logの前についているD- はDJIのDでして、各メーカーにより異なります。CanonならC-Log、SONYならS-Logという事になります。
サンプル①
D-Logで撮影。赤い線が見えているのはフォーカスの場所を確認するための機能。
サンプル②
D-Cinelikeで撮影。左上のヒストグラムもチェックしレンジの広さの違いをチェックしてみましょう。
サンプル③
標準で撮影。
それぞれの画像を見比べてみると一目瞭然だと思いますが、D-Logで撮影したものは色が全体的に抑えられた状態になっています。最初から色がパキっと決まっている(出ている)状態だと、実は編集時に色を調整することが難しいため、D-Logでは色が淡い状態で撮影し編集時に色を調整するという形を取ります。明暗の差が少ないことで、“白飛び” や “黒つぶれ” を発生させないようにします。白飛びは映像上真っ白になってしまい、何もデータが存在しない事を言います。こうなると色をいじってもいじっても、その部分は何も調整が出来ません。黒つぶれも同様に真っ黒になってしまい何も変化させられない状態を意味します。こういった色が存在しない部分を発生させないために、ダイナミックレンジを広く取る必要があります。ダイナミックレンジとは、白飛び未満から黒つぶれ未満までの、色が存在する幅の事を言います。そしてダイナミックレンジが広いとは、より多くの情報を映像に収める事ができる、という事を意味します。D-Logが優れている点は、白飛びや黒つぶれを回避し、できるだけ編集しやすい映像を撮影できる点となります。
しかし、後編集で色を調整するのは編集スキルとしては中〜上級になってくるため、ある程度色が再現されつつ自然に見える、D-Cinelikeはとても使い勝手が良い設定といえます。なので、皆さんが撮影する時に「すこし拘ってみたい!編集時に色を調整したい!」と思った際にはD-Logを試しつつ使ってみて下さい。あまり色を調整しない想定であれば、D-Cinelikeをオススメします。
慶良間のクジラのカットは撮影したままの状態では、あまり色の再現がよくありませんが、ここから少し青色の調整と黒の深さの調整をし、ケラマブルー感を出すためにグリーンもすこし整え、みなさんが「ああ、これがケラマブルーっていう色なんだな!」と感じられる表現まで調整した結果が下記となります。白も「より白くみえる」ように調整したため潮吹きの生っぽさも活きてきました。如何でしょうか?
色を調整しケラマブルーを引き出しました。クジラの生っぽさや潮吹きの白さも強調されています。
撮影時にダイナミックレンジが広い事で、後の編集の楽しみがぐぐっと広がります。これらの設定の特性をしっかりと覚え、色々とテストしてみる事をオススメします!
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