もしカイジのハンチョウのように帝愛地下帝国から1日外出したら

1日外出録ハンチョウが面白い

　『1日外出録ハンチョウ』が面白い。賭博破戒録カイジの地下帝国編スピンオフ。イカサマチンチロリンや給料前借り金融を取り仕切る大槻班長が地下帝国と言われる強制労働施設から1日外出権を行使した際の行動を描く。

　地下帝国（漫画版だと地下王国）とは、大手サラ金である帝愛グループが建設している地下核シェルター。借金の返済が見込めない劣悪債務者が地下帝国建設の強制労働に住み込みで従事させられている。

　長時間労働と低賃金のタコ部屋を連想するが、莫大な借金の利息が停止するうえ、衣食住が保証され、各種ガス抜き制度が認められているから良心的とさえ思えてしまう絶妙な底辺感。強制労働後のビールと焼き鳥は絶対に超美味い。

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強制労働と休日のギャップ

　カイジ本編においては1回の1日外出権を手に入れるために紆余曲折があるが、そこはハンチョウ。たまの娯楽として1日外出を満喫して、また地下の強制労働に帰っていく。そこまでするなら借金を払いきって外に出ればよいとも思えるのだけど、妙に居心地がよくなってしまったのだろう。

　ある1日では公園でニットの毛玉をとりながらゆっくりと時間を潰し、サラリーマンで混み合う平日昼の立ち食い蕎麦屋でビールを見せつける。リフレッシュ休暇中にオフィス街でランチビールする時の優越感と罪悪感を見事に描く漫画も面白いが、もし自分が1日外出したら？の妄想を助けるツールにするのも楽しい。

もし帝愛地下帝国から1日外出したら

　もし自分が帝愛地下帝国から1日外出したらサウナセンター大泉に直行。15時からの宿泊プランでチェックインして、サウナ・水風呂・外気浴を繰り返したい。

　ロウリュとアウフグースにはもちろんフル参加。肩こり腰痛がじんわり。

　徹底的にととのったら、ホッピーごくごく。破滅的な美味さ。

　世界一の生姜焼きをワシワシ。

サウナに泊まった時だけの特典

　お腹が満たされたら和室の休憩部屋で漫画を読みながらごろ寝。飲酒後の本格サウナは危ないので湯船と水風呂を中心に交互浴。普段がシャワーなので大きな湯船につかるのはひとしお。

　普段ならここで日帰りだけど、宿泊プランだからこその瓶ビール発動。夜になると食堂の照明がムーディになるのよね。心を落ち着かせてベッドですやり。

　起床後の朝一番サウナこそサウナ宿泊の最高特典。3,000円で行ける天国。

　朝ととのい後のハムエッグ定食も至高。無料朝食に＋100円でこのグレードアップ。

散歩しながらポケモンとペリカを集める

　大泉をチェックアウトしたら上野公園から皇居方面まで散歩。風が気持ちい。

　ポケモンや楽天ポイントをゲットしていく。地下帝国で携帯電話を維持するのは大変だろうけれど、プリペイドSIMを都度使うんだったらできそうな気もする。100ポイントが1,000ペリカ相当なのだから、地下帝国基準で考えると割りがよい。

　歩き続けてお腹が空いたら家系ラーメン。麺カタメ・味濃いめ・脂多めにライス大盛りの早死にフルコース。脳にダイレクトにひびく旨味成分。

　最後のデザートにミニストップのソフトクリームを食べたら時間切れだ。我ながら最高の休日。

最高の休日がたまにできる幸福

　自分なりの1日外出録を妄想してみたけど、たまにしていることではある。普段からそれなりにきつい労働をしているし、無駄にメンタルが削られることも多いのだけど、これらのことで回復できている気がする。

　逆にあまり良くないと思うのが、普段だらだら過ごして、毎晩のようにお酒を飲んだり、ラーメンを食べたりして効用への耐性がついてしまうこと。『1日外出録ハンチョウ』にもあるが、それらは「欲望の解放のさせ方が下手っぴ」なのかもしれない。

常々思うが……逆なんだみんな…！
大人になるべき社会では……子供じみたわがままを言い……
遊ぶべき所で……変に大人ぶる…！

　強制労働と休日のギャップはサウナと水風呂の関係に似ているかもしれない。そんなわけで、大人になるべき社会で、それなりに労働して1日外出を満喫したいと思える『1日外出録ハンチョウ』が面白い。

1日外出録ハンチョウ(1) (ヤンマガKCスペシャル)

posted with ヨメレバ

上原 求,新井 和也,福本 伸行 講談社 2017-06-06

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