TVCMに楽曲が起用されたことにより、一躍スターバンドの仲間入りを果たした「Suchmos(サチモス)」。以前よりブレイク寸前のバンドとして、多くのメディアからの確かな評価を集めていた彼らなので、現在の評価は当然といえば当然なのだけど、メディアへの露出やフェスの出演回数は前年を大きく上回り、完全に無双モードに突入している。まさに2017年は「サチモス・イヤー」であり、彼らにとって飛躍の年であったのだ。
本日は「クールな若者たちが作り上げる都会的なサウンド」などと、やや尖った評価をされている「Suchmos(サチモス)」の結構「便利な部分」についてブログを書かせていただこうと思う。
引用URL https://twitter.com/suchmoz/status/896375858713174016
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該当するキャッチの見つからない「サチモス」というバンドについて
画像引用URL https://twitter.com/suchmoz/status/902196952405688322
気がつけば「サチモス」ってバンドに対する世間のイメージがドンドンと膨れ上がっている気がする。デビューからの期間も短く、若く可能性のある彼らに対する的確なフレーズを業界総動員で模索中って状況もあるのだろうが、ここ最近では若干「?」となるイメージ付けも先行してしまっている印象が強い。
確かに購買層を明確にするため、的確なバンドイメージを確立しておく必要があるのだが、「マイルドヤンキー層の象徴バンド」や「スクールカースドの頂点」などの見解に関しては若干無理があるのではないだろうか?
まず、マイルドヤンキー説だが、こちらに関してはサチモスのバンドスタンスに対する押し付けがましいキャッチコピーである。
神奈川沿岸の独自の音楽文化形態により育まれた彼らのセンスや、地元の幼馴染と遊びでバンドを結成し、今もホームとして活動していることが原因と思われるが、彼らはわざわざ音楽活動をするために都心に居を構える必要もない環境であるし、バンドメンバーも問題なく地元で集めることができるはず。何をするにも地元で事足りるからこそ、現在のスタンスを維持しているのではないだろうか?
「神奈川県の田舎町茅ヶ崎からやってきたSuchmosです」なんてライブMCもしているので、当然地元愛や誇りもあるだろうが、そんなこと言えば「04 Limited Sazabys」だって同様のMCをしているので「マイルドヤンキー」説が一部当てはまってしまう。なんとも都合よく掻い摘んだカテゴライズなのである。
そして「スクールカースドの頂点」という評価はギャグにしか思えない。彼らが若年層であり、売手側のターゲット層が「若者」を対象にしていたゆえの結びつけなのだろうか?サチモスが「イケている」のは理解できるが、実態の見えない学生時代の階級制度が、現在の彼らの成功に繋がっているとは思えない。いや、ここがインドなら納得するけど。
とりあえずは、神奈川沿岸部を連想させる「ヤンキー風味」が上記のようなキャッチコピーを付与しているのは明らかなのだが、そんな状況になってしまったのも「サチモス」ってバンドから滲み出る謎の「イケてる感」ゆえなのだろう。こうした不明確な存在だからこそ、売出し方を自由に決めることのできる「便利な存在」なのだ。
聴いているだけで、それっぽさを演出出来る便利バンド「サチモス」
好きなアーティストは?って質問を無難にこなすならば、下記回答が模範と言っていいだろう。
「最近はサチモスとか聴いてます」
その言葉の持つ鉄壁感。まさに圧巻である。もう、彼らのバンド名を上げれば=オシャレな風潮は完璧といっていいだろう。
まず、ここ最近の「サチモス」の知名度は抜群に高く、相手の知らないアーティストの名前を迂闊に上げてしまって会話を途切れさせることもない。仮に知らなくても「あの車のCMで流れてる曲の人達です」って言えば「あーあーあの曲ね」って感じで会話は継続する。
さらに、サチモスの洒落た楽曲は、自らのセンスの良さも強調でき、音楽文化に対するある程度の造詣の深さをアピールできる。そして「WANIMAやワンオク」などの名前を上げてしまうと子供ぽいかな?と悩んでしまう場面でも、「サチモス」の名前ならば堂々と上げられるはず。
以上のように、彼らの音楽を聴いているだけで、音楽リスナーとしてのセンスの良さと絶妙な玄人感をアピール出来る便利なバンドなのである。
購買層が何気に広い「サチモス」の音楽ジャンル
センスある楽曲が売りの「サチモス」。その音楽基盤はロックやジャズだけでなくソウルやファンク、ヒップホップなど様々なジャンルを昇華したものとなっている。
近しいもので言えば80年台のイギリスのクラブシーンを席巻した「アシッドジャズ」なのだが、その辺に関しては当時のシーンを知るものや、「ジャミロクワイ」を愛する人達にとっては少しばかり不満があるようで、やや叩かれがちでもある。
しかし、彼らはまだ20代。ルーツとして「ジャミロクワイ」の名を上げても何ら不思議でもないし、音楽性に近しいものがあっても良いのではないだろうか?
彼らの素晴らしいところは、そんなムーブメントを作った音楽ジャンルを自らの物にし、サチモスというフィルターで発信したからこそ、少し大人のジャンルであった「アシッド・ジャズ」を若年層リスナーに広めることが出来たのだろう。
さらに彼らの支持層には当時を知る30〜40代も多く、サチモスというバンドの潜在的な購買層の広さを伺うことができる。まさにレコード会社にとっても便利な存在なのである。