マクロ経済学の第一人者、米ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授(64)による「日本の一万円札廃止」の提言が注目されている。ロゴフ氏は米国やユーロ圏に対しても高額紙幣の廃止を求めているが、特に日本を「高額紙幣を廃止する最初の経済大国の候補」と位置づけ、積極的な検討を促している。ロゴフ氏の主張の背景には、高額紙幣は日銀が景気刺激のために実施しているマイナス金利政策の足かせになりえるとの認識がある。ただし昨年11月にはインドでの高額紙幣廃止は経済に大きな混乱を及ぼしており、不用意な実施には問題も多い。日本国内ではロゴフ氏の主張への異論も出ており、一万円札廃止までの道のりは先が長そうだ。(ワシントン 小雲規生)
「日銀はまだマイナス金利にほんの少し足を踏み入れたばかりだが、金利のマイナス幅を大きくしていけば、預金者が銀行からお金を引き出して現金化する流れが起きる。当然だ」
ロゴフ氏は産経新聞の取材に対し、高額紙幣が日銀のマイナス金利政策からの「逃避先」になる可能性を指摘した。
ロゴフ氏が日本に対して高額紙幣廃止を提案するのは、マイナス金利政策の効果が大きくなると期待されるためだ。
マイナス金利政策の狙いは預金のメリットを小さくすることで、「資金を貯蓄ではなく、消費やリスク性資産への投資に振り向ける」(ロゴフ氏)ことにある。しかし高額紙幣が存在すれば、預金者は簡単に大きな金額の資金を銀行から引き出し、マイナス金利が及ばないタンス預金として蓄えることが可能。高額紙幣廃止にはこうした「抜け道」を防ぐ効果があるというわけだ。
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