クリンがうちの子になったのは、2000年4月28日。
仕事を始めてちょうど4年。仕事がとても忙しくて、疲弊しきっていたところにやってきた、まさに天使のような愛くるしい子でした。それまで外食続きだったわたしの生活は一変、いつでもどこでもクリンと一緒に過ごしていました。
事件(1)あの肉は何処へ
クリンがうちに来てすぐのころ、わたしは出張が多い時期でした。今までなら1泊していた出張でも、ほぼ日帰りでスケジュールを組み、どれだけ遅くなろうとも帰宅するようにしていました。
あれはちょうど週末のオフの日だったと思います。
1人焼肉をしようと思い立ち、クリンをキャリーバッグに入れてお買い物へ。当時はどこにいくのもたいていキャリーバッグで連れていってたんです。
帰宅して、いそいそと焼肉の準備をし、さて焼くぞというところで、タレがないことに気付きました。タレがなければ食べられません。当時わたしは2階に住んでいたので、1階のキッチンまでタレを取りにいきました。
時間にすればほんの2分くらいでした。
鼻歌まじりにご機嫌で2階に上がり、ふとこたつの上を見たら、何かがおかしい。よく見ると、確か300gはあったであろう牛肉が、ほんの数枚になっていたのです。
ああっ、やられた……
クリンを見ると、まるで風船のようなお腹になっていたのでした。くりくりした目をキラキラさせて、舌なめずりしながら。
事件(2)まさか誤飲!?
クリンがうちに来て2歳半までひとりっ子でした。なのでどうしてもお留守番の時間が長くなってしまいます。ひとりの時間が寂しくないように、いつもコングの中にささみジャーキーを多めに詰めて、なかなか取れないように細工し、それを置いて出かけるのが日課でした。
その日も朝にコングの準備をしていましたが、なかなかうまく入らず、すぐに出てきてしまうため、あれこれ工夫していたら時間がなくなってしまい、慌てて出勤しました。
そう――、慌てて――
前日に衣替えをして、その時のゴミを詰めたごみ袋を、置きっぱなしにしていたことなどもすっかり忘れて……
帰宅して、電気をつけてびっくり。部屋中がゴミだらけでした。
ほとんど衣替えの際に出たゴミなので、いらなくなった洋服、ナイロン袋、紙ゴミ…の中に、古くなった防虫剤が入っていたのです!!!
可愛い顔でしっぽフリフリのクリン、真っ青になって茫然と立ちすくむわたし。
確か21時を回っていたと思います。とにかくクリンに変化がないか、必死の形相でチェックしました。そんなことはお構いなしで遊んでもらってる風のクリン。どう見ても元気そうだけれど、もし防虫剤を食べていたら…っ(驚)
防虫剤は、不織布の中に粒状の防虫剤を染み込ませた綿球の入ったタイプでした。調べてみると、1つだけ破れていて中身が散らばっていました。
わたしは、救急病院に駆け込みました。先生は、毒を食べたようには見えないし、古くなって薬剤が蒸発していたら大丈夫だろうということで、念のための点滴を打ってもらい、帰宅しました。
頭の中は、もうぐちゃぐちゃでした。もし何かあったらどうしよう、そればかりが頭をよぎり、当然その日は徹夜でした。
おかげさまでクリンはその夜、ブーブー良く寝て元気に起きて、朝ご飯もしっかり食べてくれました。そしてその日のうんちには、小さな綿球が1つ入ってました。
どれだけ体が小さくっても、テーブルには乗れる驚愕の運動神経。二重のゴミ袋を破ることのできる獰猛な牙。
それ以来、ゴミはすぐに片付けるようになりました。
文:福井 惠子
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