バークシャー・ハサウェイ副会長、チャーリー・マンガー
言わずと知れたバフェット氏の会社であるバークシャーハサウェイですが、その右腕としてチャーリー・マンガー氏は有名です。
副会長であるマンガー氏の投資術を巡っては、今までパンローリング社から数冊出ていますが、今回は日経BP社のものを紹介したいと思います。
その本の名前は「マンガーの投資術」と言います。バフェット本と同じく、チャーリー・マンガー氏自身が書いたものではありません。チャーリー・マンガー氏の主に投資上の箴言を紹介したものです。
チャーリー・マンガー氏は基本的に分散投資というよりも集中投資
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バークシャーがそうであるように、マンガー氏もある程度の集中投資をしています。そのため当たり前と言えばそうですが、インデックス投資や広い分散投資よりも、「これだ」と思う企業に集中投資をしています。
その最たる例はコカ・コーラやウェルズファーゴといったバークシャーのコア銘柄が挙げられます。本書でも出てきますが、好況時よりもむしろ不況時に強みを発揮する銘柄群であることがバークシャーの特色の一つと言ってよいでしょう。
マンガーの投資術で紹介される名言集
基本的に本書の構成はこうなっています。
マンガーの箴言→解説
これが138言おさめられています。幾つかカテゴリで分けられています。そのプロットは以下の通りです。
- 投資で成功する考え方
- 企業、銀行、経済
- 事業と投資に関する哲学
- 人生、教育、幸福の追求についての助言
そのいくつかをここで紹介します。
投資で成功する考え方
株価について
市場全体を見れば、不幸なことに、普通株は大幅に、そして愚かにも過大評価されている。一部の銘柄は債券と同じように、企業が将来にわたって生み出すであろう現金に基づいておおむね合理的に評価されている。
しかしその一方で、まるでレンブラントの絵画のように価格が上昇したという理由だけで買われている銘柄もある。
例えば3%の利回りの株が、将来にわたって緩やかな業績拡大をしていくとします。すると、当初は3%だった利回りが増配により4%、5%と増えていきます。また、株価もそれに伴い上昇します。
その安定性はいわば債権のようなものです。いや、株価の上昇というのはある意味では債券以上です。
一方で、業績の裏付けのない価格上昇というボラティリティの魅力だけで上昇する株もあります。多くの新興株、あるいはゲーム株というのがこれに当てはまるでしょう。
もちろん、そういった裏付けのない株のボラティリティをあえて狙い、資産を増やしていくという考えもあります。ただ、マンガーはそういった株に関して警鐘を鳴らしているということですね。
企業・銀行・経済
銀行について
この国に住む人々は、かつてないような方法を使って、住宅を収益の対象として考えるようになった。ジョーにどうやって新しいキャデラックを買ったか聞いてみれば、自宅を担保にお金を借りたという答えが返ってくるだろう。・・・
大手を含む数多くの金融機関が、返済能力のない人々に過剰な信用を与えている。好ましいとはとても思えない。自由な市場であるからといって、健全とは限らない
不動産を担保として信用を作り、個人の与信枠パンパンまで借り入れをさせる。しかも、クルマのような動産は一部のレアな車種を除いて、ほとんどが価値が徐々に失われていく性格のものが殆どです。
また、最大の問題はこの場合クルマそれ自体が全く価値を生み出さない、つまり収益を上げないというところです。自宅も収益をあげませんから、与信枠の使い方としては収益の上げないもので組み合わせる時点で問題と言わざるを得ないでしょう。
・・・そもそもまあ、借金を安易に背負わせる時点で問題ですね。
こういう具合に、お金に関するマンガーの箴言が納められています。それに対応する解説もなかなかおもしろいです。投資ブロガーとしても今後引用、応用できそうな文言が並んでおり、活用したいと考えます。
マンガーの投資術 バークシャー・ハザウェイ副会長チャーリー・マンガーの珠玉の言葉――富の追求、ビジネス、処世について
- 作者: デビッド・クラーク,山崎元,林康史,石川由美子
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2017/09/07
- メディア: 単行本
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まさに発刊したてのほやほやというところですね。分かりやすくて、今年読んだ本の中では間違いなく上位にくる名著です。
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米国株投資を始めるならば、まずはこの10冊というところです。ただ、一気に10冊を読んでいるとなかなか始められません。いわゆるシーゲル先生の赤本が最も支持を広く受けていますから、赤本から入ると理解しやすいと思います。
自分の性格を見極めて投資をするのが一番です。ここで紹介する投資本は、「誰でもできる、再現性がある」という観点で選んでいます。どのような本に親しみ、投資に生かしていくのかということを記事にしました。
ズバリ3冊に絞るということならば、こちらの3冊になります。まずはこの3冊を読んでおけば、米国株投資の基礎基本が押さえられると言ってよいでしょう。繰り返し読みたい名著と言えます。それぞれに改訂して何年かおきに内容を新しく書き換えています。