不要になった商品を個人間で売買できるフリーマーケットアプリで国内最大手のメルカリ。今年4月にダウンロード数が5000万を突破。6000万に届くのも時間の問題だろう。2016年には年度決算が初めて黒字化。さらには今年7月、「株式の上場を東京証券取引所に申請した」と報じられた(メルカリ側はその後、報道内容を否定)。
後発組のメルカリは、プロダクトのクオリティーやマーケティング力の高さで出遅れをリカバリーしてここまで成長したと世間では受け取られている。しかし、そうした見方はメルカリの一面しか捉えていない。急成長を支えているのは、同社に根づくユニークな価値観と、それを働き方に取り入れている社員一人ひとりの力でもある。メルカリ急成長の秘密を、新社長の小泉文明氏が語った。
(まとめ=呉 承鎬)
当社のフリマアプリ「メルカリ」は後発だったにもかかわらず、おかげさまで急成長してきました。その原動力は当社の「バリュー」にあると考えています。
このバリューは、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」という当社のミッションに基づいて決めたものです(編集部注:会社の目的に当たり、「ビジョン」と表現する企業も多い)。バリューは「ミッションの達成」というゴールから逆算して決めた「重要な価値観」を指し、経営陣の好みで定めたものではありません。同時に「ミッションを達成するために、当社が社員の皆に求める行動様式」でもあります。
バリューは次の3つです。
■Go Bold
大胆にやろう
ミッションが視野に入れている「世界」では、激しい競争が起きています。売り買いの場を提供する「マーケットプレイス」事業は参加者数がサービスの価値を決め、2位以下は生き残れない“勝者総取り”。果敢にリスクテークして攻める姿勢は、勝つための絶対条件です。
■All for One
全ては成功のために
チームワークを非常に重視します。最高のプロダクトを作り、非常に困難なミッションを達成するには、「メンバーの力を結集する」精神が欠かせません。
■Be Professional
プロフェッショナルであれ
社員一人ひとりがオーナーシップを持って自由闊達に働き、専門スキルを磨き続けてほしいと考えています。
3つのバリューを3年以上掲げてきましたが、これは結果論で、私たち経営陣は年に1回バリューを再検討してきました。「会社の存在理由であるミッションは不変。しかし、バリューは事業の状況次第で、より良いものに進化させていくべき」と考えているからです。