日本の領海は海岸線から12海里までであり、教科書にもそう書いてある。
ところで、7月2日に「中国」の軍艦が津軽海峡を通過するという事件が起こった。普通には津軽海峡全体が領海であると考えるが、実はそうではない。
(画像引用元:中国海軍の情報収集艦が津軽海峡で領海侵入 政府は懸念を表明 -産経ニュース)
なんと海峡の間は領海ではないのだ。対馬海峡や大隅海峡も同様の「隙間」がある。
では何故、領海に「隙間」を作ったのか。
「従来、三海里であった領海の幅が国連海洋法条約により一二海里まで広げてよいことになったにもかかわらず、津軽海峡など五つの海域において領海の幅を従来通り三海里にとどめています。
これは非核三原則に抵触するためだろうと言われています。つまり、津軽海峡など狭い海峡の幅を一二海里にすると海峡全体が領海になってしまうため、核兵器を積んだ米艦船などが海峡を通過する際、必ず日本の領海の中を通らなければならなくなってしまいます。すると日本国内に核を持ち込んでいることになり、非核三原則の『核を持ち込ませず』の規定に抵触してしまうというわけです」(田母神俊雄・一色正春『日本を守りたい日本人の反撃』p57)
「つまり・・・わざわざ領海の幅を狭くして核兵器を積んだ艦船が日本の領海に入らないように通り道を空けてやっているということです。このような無意味なことで、主権を制限する必要性がるのでしょうか」(同p58)
この隙間を突いて、「中国」の軍艦、具体的には情報収集艦が「無害通航」したのである。
しかし、情報収集艦の通航が「無害」であるはずがない。国際海洋法条約第19条第2項c号にある「沿岸国の防衛又は安全を害することとなるような情報の収集を目的とする行為」に該当するのではないか。現に松前、函館、竜飛崎には自衛隊基地がある。
以後、同海域において領海侵犯が繰り返され、同18日、菅官房長官は「(国際法上合法である)無害航行に当たらないと認められるような行為を行ったという情報を得られているわけではない」(「中国側から事前情報」公船領海侵入で菅義偉官房長官が明かす -産経ニュース)と述べた。
一体、日本政府に領域、及び国民を守る意思はあるのだろうか。
領海侵犯のみならず、排他的経済水域内での密漁、「海底調査」が繰り返し行われるのであれば、国際法に基いた対処をするため、自衛隊に海上警備行動(自衛隊法82)を常時発令する以外に方策がなくなるのではないだろうか。
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