元夫が養育費等を払わない場合-細川行政書士事務所

1、内容証明郵便で養育費の催告をする

この場合、まず内容証明郵便で、元夫に養育費の支払いを催告するのがよろしいと思います。元夫が内容証明になんらの対応もない場合は、次の強制執行をすることになります。

2、強制執行をする

強制執行の対象となる財産は以下のものがあります。

 ①預金、給与
 ②不動産
 ③動産(車など)

以下に、一般的な①預金、給与の強制執行の手順を記載いたします。

但し、すでに離婚調停の成立、離婚裁判で判決が確定している又は
養育費について公正証書を作成していることが前提となります。
もし、これらのことが済んでいない場合は、離婚調停さらには離婚裁判
を起こさなければなりません。

(1) 強制執行の準備

  強制執行は裁判所を利用して相手の財産から強制的に回収するため、
  それなりの準備が必要となります。

  1)債務名義を手に入れる    

   債務名義とはある請求権(債権)について強制執行できると国が認め
   たことを証明する文書のことです。
     主な債務名義は次のとおり。
      ・確定判決
      ・和解調書
      ・調停調書
      ・公正証書(請求内容が金銭、代替物、有価証券で執行認諾文言
             がある公正証書)
                    
  2)執行文の付与を受ける

   債務名義の執行力が今でも有効であることを認めてもらう必要があり
   ます。

   ①判決、和解・調停調書はそれぞれの記録がある裁判所の書記官
     に執行文付与申請書を提出することになります。
   
   ②公正証書は作成した公証人役場に口頭で申立てることになります。
   

  3)債務名義を送達し、送達証明書を取得する

   強制執行をする前又は強制執行と同時に相手に債務名義を送達しな
   いと、強制執行はできません。送達したら送達証明書を取得しておき
   ます。
 
   ①判決の場合は裁判所が職権で送達してくれますので送達申請をす
    る必要はありません。送達した裁判所の書記官に送達証明申請書
    を提出して、送達証明を取得します。 

   ②和解・調停調書は記録のある裁判所の書記官に送達申請書を提出
     してください。その後、送達証明申請書を提出して、送達証明を取得
     します。

   ③公正証書は作成した公証役場に送達申請を依頼し、
送達証明を取
     得します。

(2)準備が整ったら、地方裁判所に強制執行を申立てます。


  1)管轄裁判所は、債務者の住所地を管轄する地方裁判所です。

   債権差押命令申立書と、その他の必要書類を提出します。
   差押えようとする債権が現在存在するかどうかという点、また、存在す
   るとすればどれぐらいの金額かを確認するために、陳述催告の申立て
   も同時に行います。申立手数料と、銀行への送達のための切手代が
   必要となります。

  2)差し押さえの対象となる主な債権

   ①給料
     現在の勤務先がわかれば差し押さえは可能です。
     法改正により、手取の2分の1まで差押えができます。
     但し、一定の制限があります。裁判所で確認をお願い致します。   

   ②預金
     銀行名と支店名さえわかれば差し押さえが可能です。  
     どこの銀行に預金を持っているかわからない場合は、切手代が余
     計にかかりますが、だめもとで、債務者の家の近くの全銀行に対し
     まとめて差押えをかけることを試みることになります。運良くそのど
     こかに預金があれば、預金を差押えられる可能性があります。
      ただし、養育費の支払い義務者が、銀行に借金をしていると、銀
     行に相殺を主張されてしまい、銀行が優先回収できるので、養育
     費の債権回収ができないという限界があります。
      なお、元夫が、行方不明になった場合は、元夫の親族・知人等に
     問い合わせる方法や、裁判所に強制執行するためと理由を明示し
     て戸籍の附票を元夫の本籍のある市町村役場で入手し現住所を
     割り出します。これらの方法でわからなければ、探偵会社等の調査
     を利用するという方法を検討することになります。


  3)強制執行の効果

   ①銀行の口座を止めて、入出金をできなくする。
    残高のうち、養育費慰謝料未払い分をあなたの口座に振り込むこと
    になります。 一般的には、個人名義の口座が、突然、入出金ができ
    なくなれば相当困惑しますので、債権者に対して大きな心理的プレッ
    シャーとなります。

   ②勤務先の会社に対して、給料のうち養育費分の額を請求できます。
     ただし、支払う方も生活をしなければならないため、差し押さえ可能
     な額には一定の制限があります。   

また平成16年に民事執行法の改正があり、養育費の強制執行は将来の分まで可能となりました。但し、強制執行ができるのは公正証書や調停調書の記載の仕方に問題がない場合です。
  
例えば、今までの未払い分が50万円 将来支払う養育費500万円という場合であれば、550万円を対象として強制執行の手続をすることができます。ただし、未払い分50万円は受け取ることは出来ますが、将来の養育費500万円について一括で受け取ることはできません。旦那様に対する養育費の請求権は、毎月の養育費の支払期日が到来しなければ発生しないからです。従って、旦那様が養育費を支払わない場合、毎月の養育費の支払期日が来るたびに強制執行しなければならないことになり厄介です。そのため、毎月発生する旦那様の給与等の継続的に発生する債権を差し押さえ、その中から、毎月発生する養育費に当てようとするものです。
  
従って、不動産や動産等の等の強制執行では、未払い分、前記50万円のみが対象となります。不動産を強制執行して、不動産の価格が550万円であっても、50万円を受け取ることは出来ますが、将来の養育費の合計額550万円を得られるものではありません。給与等の継続的に発生する債権に対して強制執行する必要があります。詳細は、管轄の裁判所でご確認を御願いいたします。  

  裁判所のホームページ ー>  東京地方裁判所民事執行センター
                             
※以上のように、旦那様が途中から養育費を支払わなくなることも考えられます。その場合にも、公正証書を作成しておけば、裁判をして判決を得る必要もなく、強制執行することができます。ぜひ、離婚の際は公正証書を作成することをお勧めいたします。

 

(弊事務所の手数料)
弊事務所でもお手伝いをさせて頂いておりますので、ご検討を頂ければと思います。


内容証明作成   7,000円(郵送料は別途)
離婚協議書作成 20,000円公正証書にする場合、別途10,000円要) 

     四葉2
 

 

 

 

   

相続・離婚・遺言・内容証明
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TEL:0467-45-8668