本日紹介いたしますのはこちら、「蝋燭姫」第2巻です。
エンターブレインさんのビームコミックスより刊行されました。
作者は鈴木健也先生。
本作の今までの紹介は09年11月1日の記事にて記載しておりますので、そちらもよろしければご覧くださいませ。
さて、政治的なアレコレによって修道院で暮らすことになったスクワ姫。
侍女である護衛でもあるフルゥとともに慣れないながらもその生活を受け入れていくのですが、ある日に修道院へ姫を狙った野党の集団が攻め込んできてしまいました。
窮地に立たされたと思いきや、タイミングよく現れた騎士団によって野党は全滅。
助かったと安堵したフルゥですが、実はこの騎士団の狙いもスクワ姫だったのです!
姫自体は逃がすことに成功したものの、フルゥは彼らに捕まってしまうのでした……
占拠された修道院の牢に投獄されてしまったフルゥ、慣れない誘惑までして脱出を目論むのですが、冷静で頭のキレる騎士団のリーダー、スェイにあっさりと阻止されてしまいます。
スェイは何のつもりで姫を狙ったのかと言うフルゥの叫びにコウ答えます。
姫の命はもらうが、それは殺すと言う意味ではない。
妻として迎え、自分が王になるのだ、と!
いち騎士団の次男であるスェイが目指すにはあまりにも途方も無い夢ではありますが、現状の次期王であるルルクス王子を認めないものも多い今ならば、一気に王都に攻め入って首を落としてしまうことによって王座につくことも出来るだろう……
それでもかなり難しい夢物語に過ぎない気はしますが、スェイは本気も本気です。
自分の目的も明かしたのだからおまえの手の内も見せろとフルゥににじりより、口をあけろと命令。
その舌にナイフをあて、これからする質問にハイならまばたき1回、イイエなら2回することで答えろと迫ったのです!
ですがフルゥは舌が傷つくことを一切厭わず、「何故零落した姫に未だに忠義を尽くすのか、誰かバックにいるのか」と言う質問にスクワ姫には思わず従ってしまいたくなるような美しさがあるのだと返答。
そんなフルゥのまなざしに気圧されたのか、スェイはナイフをおさめ、そんなに美しいならやっぱり嫁にしたいねと憎まれ口を叩くのでした。
その時、スェイを呼ぶ部下が現れます。
どうやらスクワ姫の逃亡先の目処がついた様子。
さっさとスクワ姫を連れてきてそのまま妻にしてやるぜと言い残してその場から去ろうとするスェイですが、フルゥは彼を睨みつけながら「貴様のような男になど」「姫様は私の手で玉座へと」と叫びます。
フルゥが常々願っていたその願望ですが、それは良く考えなくともスェイの狙いよりもよっぽど途方も無い夢物語。
スェイは野党にすら負けたくせに、どうやって国だと言うのかと吐き捨てるのでした。
その言葉はフルゥの心を完全に折ってしまいます。
突きつけられたスェイの言葉はうすうす自分もわかっていた……自分が無力に等しいと言う現実をハッキリ知らしめるものだったのですから。
騎士団の数が減ったことを見計らって助けに来てくれた修道女のマロノーにも力ない返事をするばかり。
自分には無理だが、スェイならばスクワ姫を王座に返り咲かせることも出来るかもしれない。
するとそんな言葉を漏らす消沈したフルゥを見て、マロノーは急に奇声を上げたかと思うと、今度はフルゥに説教とも願望ともつかない言葉を投げかけ始めたのです!
姫が大好きでたまらないとか言ってたくせに、何故強がりの一つも言えないのか!
そういった後、マロノーは腰についた袋から干し肉を取り出し、フルゥは頭が悪いんだから難しく考えるなと言いつつそれを窓から投げ捨ててしまいます。
この干し肉が自分の一番大切なものだが、なくしてしまっても少し探してあきらめてしまう。
自分の好きなものなんてそんな程度だが、フルゥが好きなものは違うはず。
一番大好きな姫がどこかへ言ってしまい、それをへんな連中が狙っている……それなら命でも何でもかけてどこまでも追いかけて行って欲しい……
涙ながらに投げかけられたその言葉は、折れたはずのフルゥの心を完全によみがえらせます。
いえ、王座奪取の現実味よりも深い大きい愛を持っていたことを思い出したのかもしれません!
とにかくフルゥは大暴れ。
居残りの騎士達を修道女達の協力も得て撃退し、馬を入手して姫のあとを追うのです!!
フルゥが立ち寄った民家でスクワ姫の手がかりを掴み始めていた頃、スェイたちは姫を連れて逃げていた修道女のヤージェンカに追いついていました。
ヤージェンカは必死に抵抗するものの、やはりどうにかなるはずもありません。
あえなく捕らえられてしまうのですが、肝心の姫はヤージェンカの策によってまったくの別人と入れ替わっていました。
即姫をゲットとは行かなかったものの、姫の居場所を確実に知っているヤージェンカを捕らえることには成功したスェイ。
そのまま自身のアジトへと連れ帰り、あまりにも過酷な拷問を強いるのでした……
そしてフルゥは以前ヤージェンカに教えられていたとある修道院を訪ね、スクワ姫を発見していました。
ですがスクワ姫は修道女として認められない助修女として労働させられており、
見るからにやつれた姿になっているではないですか!
思わず近寄ってきた修道女を突き飛ばし、強引に姫の手を引いて外に連れ出すフルゥ。
スクワ姫も最初は修道女に暴力を振るうなどとフルゥをしかりつけようとするのですが……
程なく耐え切れなくなったようで、フルゥに抱きついて泣きじゃくるのでした。
修道院を離れ、スクワ姫に懇意な侯爵の下へ身を寄せようとするフルゥ。
幸い遠くも無いと馬を走らせるフルゥですが、スクワ姫はそこへ行かないと断った上、フルゥに言わなければいけないことがあると真剣な表情でこんなことを打ち明けたのです。
私はフルゥと初めて会った時からずっと
あなたのことが大嫌いだったの、と……!
この状況でフルゥを嫌いだったと打ち明けたスクワ姫の真意とはなんなのでしょうか。
いくら自分がどう言われたとしてもスクワ姫が大好きなフルゥですが、面と向かって嫌いだといわれて平気でいることが出来るはずもないでしょう。
この2人の関係は一体どうなるのでしょうか?
スェイもフルゥの、スクワ姫の動向に気が付かないほどバカではありません。
フルゥとスェイ、2人の決着線が繰り広げられるのは必然!
ヤージェンカの安否やここに来て明かされるフルゥの本当の気持ちなど、数々の気になる点を散らばしては回収しながら、物語は衝撃の結末へと進んでいくのです!!
というわけで完結となった本作。
第1巻終盤の怒涛の展開をそのままに、次々に波乱の巻き起こる第2巻。
そんな激動に次ぐ激動のまま物語は完結します。
それぞれの思惑がからみあう、スクワ姫with王位争奪戦と、フルゥとスクワ姫の絆がキモとなっているこの物語、そのどちらもが驚きのどんでん返しが用意されています!
王位争奪戦も見所満点なのですが、なんと言ってもすさまじいのがフルゥとスクワ姫の心の動き!
フルゥを信頼していたと思われていたスクワがどういう気持ちを抱えていたのか。
スクワ姫を愛しきっていたと思われていたフルゥが裏に秘めていた異常な感情とは。
二人の思いだけでも驚くばかりの驚愕が用意されており、驚きや感動など様々な感動を呼び起こしてくれるのです!
勿論力強い描線で繊細に描きこまれた魅力的なビジュアルも健在。
生活感まで感じさせてくれる絵柄は物語の没入間を深めてくれること必至ですよ!!
ところどころ不意に挟み込まれるお下品なギャグもきちんと用意されておりまして、基本的に重苦しい第2巻では一服の清涼剤になることでしょう!
フルゥとスクワ姫が全裸で抱き合ったりするシーンなんかもあり、そっち方面の需要もバッチリです!
お漏らしもあるよ!!……大きいほうですけど!!
姫と侍女の愛を描ききった、「蝋燭姫」最終第2巻は好評発売中です!
最後の最後まで作者さんの気合が感じられる本作。
解釈がわかれそうなラストシーンまでたっぷりと楽しめる、ボリュームたっぷりの作品になっていますよ!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!
コメント