オランダで養豚業を営むエリック・ファン・デン・フーベルさんは、生まれつき心臓疾患のある娘のエフェリーネさんが、抗菌薬の多くが効かないメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に感染していたために必要な手術が受けられないという事態に直面した。
養豚場がMRSA感染の原因だったことを知ったファン・デン・フーベルさんは、抗生物質(抗菌薬)を家畜に使用するのを止める決意をする。各国の養豚業で一般的な抗生物質を使わないためには新たな工夫が必要だった。
2050年には抗菌薬の効かない感染症のために世界で毎年1000万人が命を失うようになるとの推計がある。世界のさまざまな問題への独創的な取り組みを取材するBBCの番組「ワールド・ハック」から、薬剤耐性菌の拡大に立ち向かったオランダの農家経営者らの活動を紹介する。