「ねんきん定期便」には将来もらえる年金の見込み額が記載されています。
年金を受給するにあたって、内容を理解し、正しく読み取ることで来るべき年金生活に備えておきましょう。
ねんきん定期便を読み解く
定年後の年金生活を考えたとき、最初に行うのが日本年金機構(旧社会保険庁)から届く「ねんきん定期便」を読み解くことです。
リタイア後は、いままでと全く異なる収入源となり、生活の見直しが必要となるので、自分が何歳から年金を受給されるのか、いくらもらえるのかを事前に把握しましょう。
「ねんきん定期便」には、将来もらうことができる年金の見込み額が書かれています。いざ年金生活を始めるときに慌てることがないように、早い段階で確認し、少しでも早い準備を進められます。
ねんきん定期便が送られるタイミング
ねんきん定期便は毎年誕生月に、日本年金機構から国民年金および厚生年金の現役加入者全員に送付されます。
送付対象者は国民年金、厚生年金の被保険者で、年金加入記録が共済組合ののみの人は対象外です。
このねんきん定期便は誕生月の2か月前に作成され、誕生月に手元に届くようになっています。(1日生まれの方は、誕生月の3か月前に作成され、誕生月の前月届く。)
年齢などにより様式が異なる
「50歳未満の方用」、「50歳以上の方用」、「年金受給者であり現役被保険者の方用」という3種類の様式があり、それぞれ「年金見込額」の掲載が異なります。
50歳以上の方と50歳未満の方では、老齢年金の見込額(これまでの加入実績に応じた年金額)の部分が異なり、50歳以上の方の場合は、現在加入している年金制度に、60歳まで同じ条件で加入し続けたものと仮定して計算した老齢年金の見込額が表示されています。
一方、50歳未満の方の場合は、これまでの加入実績(「ねんきん定期便」でお知らせしている年金加入記録)を基に計算した老齢年金の額が表示されています。
年齢と通知内容
年齢 | 50歳未満 | 50歳以上 | 年金受給者で現役被保険者 |
---|---|---|---|
通知内容 | 1.年金加入期間 2.これまでの加入実績に応じた年金見込み額 3.保険料の納付額 |
1.年金加入期間 2.加入制度に引き続き加入した場合の年金見込み額 3.保険料の納付額 |
1.年金加入期間 2.保険料の納付額 |
このように、年齢や加入状況に応じて内容が違います。
満額もらえるのはいつか
「50歳以上の方用」のねんきん定期便で注意したいのは、現在の収入が60歳まで続くと仮定した場合の年金見込み額が書かれているので、早期退職や収入が減少した場合、ねんきん定期便に書かれている額より実際にもらえる年金が目減りする可能性があります。
書かれている額を支給されることが保障されているわけではないので、注意しましょう。
夫婦そろって年金がもらえるのはいつか
会社員の場合、厚生年金に原則20年加入した場合、要件を満たせば加給年金を受け取ることができます。
しかし、この情報はねんきん定期便には記載されていませんので、最寄りの年金事務所に夫婦で行き確認しましょう。特に年齢差がある夫婦の場合、夫婦そろって年金がもらえるのはいつになるのか計算して備えましょう。
加給年金とは
厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある方または中高齢の資格期間の短縮の特例を受ける方が、65歳または、定額部分支給開始年齢に達した時点で、その方に生計を維持されている65歳未満の配偶者や18歳未満の子がいる場合に支給されます。
対象者 | 加給年金額 | 年齢制限 |
---|---|---|
配偶者 | 224,300円※ | 65歳未満であること (大正15年4月1日以前に生まれた配偶者には年齢制限はありません) |
1人目・2人目の子 | 各224,300円 | 18歳到達年度の末日までの間の子 または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子 |
3人目以降の子 | 各 74,800円 | 18歳到達年度の末日までの間の子 または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子 |
※老齢厚生年金を受けている方の生年月日に応じて、配偶者の加給年金額に33,100円~165,500円が特別加算されます。
加給年金額加算のためには、届出が必要です。
不明な点は専門家に聞いてみる
年金生活のお金に関して、なにより大切なのは早目のアクションを起こすこと。早く動いた分だけ、準備期間も長くなります。
不明点や不安なことは「日本年金機構」や法テラス(日本司法支援センター)などの専門家に相談してみましょう。
わからないことをそのままにして、もらえる年金を貰えなくなってしまうのは年金生活では死活問題になります。
- 日本国政府(厚生労働大臣)から委任・委託を受け、公的年金(厚生年金及び国民年金)に係る一連の運営業務を担う、非公務員型の特殊法人である。 運営業務の内訳は旧社会保険庁が担ったもので、保険料の徴収や年金給付などの年金事業である。
- 総合法律支援法に基づき、独立行政法人の枠組みに従って、日本国政府が設立した法務省所管の法人で、総合法律支援に関する事業を迅速かつ適切に行うことを目的としている。
年金は個人によってもらえる額は異なる
よくメディアなどで取り上げられる年金受給のモデルケースは、あくまでも参考としてのモデルケースです。
年金は個人によってもらえる額は異なることを、あらかじめ頭に入れておきましょう。
物価が上昇すると年金額は目減りする
もともと日本の年金給付額は、「物価スライド」でしたが平成16年度の年金制度改正で導入された「マクロ経済スライド」と呼ばれるシステムで決定されています。
物価スライドでは、物価が1%上昇したときに年金も1%上昇するため、物価が上がっても今までと同じ生活水準を維持することができました。
しかし、マクロ経済スライドでは、物価上昇分を丸ごと加算するのではなく、その物価上昇から0.9%が差し引かれることになります。(2025年まで)
例えば、で今後10年間1%ずつ物価が上昇した場合、年間200万円の年金で暮らしている家族は10年後の生活費は220万円必要となりますが、実際にもらえる年金は202万円になります。
物価が上昇すると、試算していた額では生活の質を保てなくなる可能性があるので、年金生活の収支を試算するときは物価の上昇も視野に入れておきましょう。