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【千葉】

生徒情報持ち出し「安保法廃止」署名 元教諭刑事告発で波紋

「刑事告発され、見せしめになった思い」と訴える秋葉幸一さん=成田市で

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 元高校教諭の男性が在職中に生徒の個人情報を持ち出し、卒業生に安全保障関連法の廃止の署名を依頼する手紙を送った問題で、県教育委員会が、県個人情報保護条例違反の疑いで男性を刑事告発し、県警が男性宅を家宅捜索していたことが分かった。男性を支援する市民グループは「刑事処分を受けるほどの行為なのか。県教委の対応は行き過ぎだ」と批判している。 (小沢伸介)

 刑事告発されたのは、県立成田北高校の元教諭の秋葉幸一さん(62)=成田市。秋葉さんは二〇一六年三月、在職中に無断で持ち出した生徒の氏名や住所などの個人情報を使い、手紙と署名用紙、返信用封筒を教え子の卒業生三百三十五人に郵送。一五年九月に成立した安全保障関連法に反対する署名を求めた。秋葉さんは同年三月に定年退職していた。

 秋葉さんは「安保関連法の強行採決がきっかけで、教え子を思っての行動だった」と振り返る。

 県教委は一六年五月、秋葉さんの行為は個人情報の無断持ち出しと目的外使用にあたり「教育公務員であれば懲戒処分に相当する」とする文書を秋葉さんに出した。秋葉さんは「目的外使用は事実。県教委の指摘にある意味納得し、これで済んだと思っていた」と話す。

 ところが、県教委は今年五月二十四日、県警に同容疑で刑事告発した。六月二十九日早朝、県警の捜査員が秋葉さん方を家宅捜索し、パソコン一台と関連ファイル一冊を押収。秋葉さんはその後、四回にわたり延べ十時間以上、任意の事情聴取を受けたという。

 県個人情報保護条例六十三条は、不正な利益を図る目的で個人情報を目的外使用したときは一年以下の懲役か五十万円以下の罰金、と規定する。公訴時効は三年。

 県教委教職員課の担当者は「懲戒処分の指針では、個人情報の目的外収集は減給か戒告。県個人情報保護条例違反での刑事告発の先例はないが、教育現場に与える影響の大きさを考慮し、厳正に対処した」と説明する。

 成田市内では八月二十五日、市民ら約三十人が集まり、秋葉さんの支援組織を発足させた。

 集会で吉永雄二弁護士は「論点は不正な利益を図る目的があったかどうか。法律は大多数の憲法学者が違憲と指摘しており、公益を図る目的だったとの考え方もできる」と指摘した。

 支援組織の代表の吉岡秀樹さん(70)は「手紙は教え子たちに自分の思いを伝え、考えてほしいと訴える内容で、署名を強制していない。刑事処分を受けるほどの行為なのか疑問だ」と話した。

 

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