幼い我が子を生後間もなくして失うことだけでも、耐え難い苦痛が母親に襲いかかることは想像に難くない。しかしながら愛する我が子の亡骸を納めたはずの棺桶が実は空っぽだったという事実に行き当たった時の辛さは、想像を絶するものであろう。42年にわたり亡き息子の真実のために埋葬地の発掘を求めて闘い続けてきた母親が、このたび衝撃的な結果を目の当たりにすることになった。『BBC News』をはじめ『Mirror』『The Independent』など複数の英メディアが伝えた。
英スコットランド在住のリディア・レイドさん(68歳)は、1975年の7月に「Royal Hospital for Sick Children(ロイヤル子供病院)」で、生後7日目だった息子ギャリー君を失った。
亡き息子に一目でも会わせてほしいと頼んだ母親に、病院側は違う子供を見せた。リディアさんは「これは私の息子ではない。この子は髪がブロンドで大柄だが、息子は小さく髪の色も濃い」と訴えた。しかしそんなリディアさんの主張を病院側は「あなたは産後うつ病になっている」と言って全く取り合わなかったという。
葬儀の時にも、リディアさんは「自分の息子は棺に入れられていないのではないか?」という疑念が拭えなかった。「私は母親なので赤ちゃんの重さを知っています。でも埋葬された棺はあまりにも軽かったのです。息子の遺体は棺桶に入れられていないと思いました。でもその時も誰も私の言うことなど信じてくれませんでした」と『BBC News』の取材で話している。
リディアさんは「あの時、いったい息子に何が起こったのか」という真実をひたすら求め続け、この42年間、棺の発掘調査を願い続けてきた。そしてようやく裁判所命令が付与され、法医人類学者であるダンディー大学のスーザン・ブラック教授の指揮のもとエディンバラのソートン墓地に埋葬されたギャリー君の棺の発掘が行われた。
そしてこのほど崩壊した棺桶からは、衣服、帽子、十字架、名札が発見された。しかしながら骨格も遺体が分解された形跡も全くなく、ブラック教授が「唯一考えられるのは、棺桶に遺体は入ってなかったということです」と述べているように、棺桶はギャリー君の亡骸がないまま埋葬されたことが明らかとなった。さらに棺には「Gary(ギャリー)」ではなく「Garry」と間違ったスペルが彫られてあることもわかった。発見されたこれらの遺留品は教授によりDNA鑑定が行われる予定だという。
リディアさんは、当時の多くの子供たち同様、ギャリー君も死後に病院での解剖実験に利用されたのではないかと疑っている。1970年~2000年の間、亡くなったおよそ6,000人の子供たちの遺体がスコットランドの複数の病院で研究という名のもとに、違法な解剖実験に利用されていたことが報告されている。リバプールのアルダー・ヘイ病院に調査が入った後、2001年にスコットランドのNHS(国営保健サービス)がその事実を認めた。
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