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【社会】裁量労働制の適用「無効」 ゲーム会社に是正勧告 渋谷労基署東京都渋谷区のゲーム開発会社「サイバード」に勤務、専門職が対象の「専門業務型」裁量労働制が適用され、宣伝やイベント企画を担当していた女性について、渋谷労働基準監督署が、適用を無効と判断した上で残業代を支払うよう同社に是正勧告していたことが分かった。勧告は八月十四日付。女性は残業が最長で月約八十時間に及び、適応障害を発症したと訴えている。 女性が加入する労働組合「ブラック企業ユニオン」によると、労基署が裁量労働制の適用を無効と判断し、勧告を出すのは珍しいという。 裁量労働制はあらかじめ決まった時間を超えて働いても残業代が支払われないが、無効の場合は通常の労働時間規制に基づき、支払いが必要になる。 同社は共同通信の取材に「未払い残業代の指摘を受けたのは事実で、裁量労働制について認識が不正確だった部分があった。現在労基署と相談して見直しを始めている」としている。 専門業務型はゲーム用ソフトウエア開発など専門職の十九業種に限定されており、渋谷労基署は女性の業務が制度の対象外と判断したとみられる。 女性は昨年から勤務。雇用契約書などには制度の適用が明記され、月約八万円の裁量労働手当は四十五時間分の残業代に当たるとされていた。女性は人手不足から徹夜作業となることもあり、残業は月八十時間に達することもあったという。 ストレスで連日三、四時間しか眠ることができず、入社直後から頭痛を発症するなど体調を崩し、昨年十二月に「適応障害」と診断。女性は現在、この会社で働いておらず、ユニオンが会社側との交渉に当たっている。 <裁量労働制> 仕事の進め方を本人の裁量に委ねる働き方で、労使が設定した「みなし労働時間」に基づいて残業代を含む賃金が支払われる。深夜や休日に働いた場合も割増賃金が発生するが、それ以外の残業代は支払われない。現在は弁護士や新聞記者など一部専門職の「専門業務型」、企業経営の企画、立案などを行う「企画業務型」に限定されているが、国会で継続審議中の改正案では、企画や立案、調査を担う営業職なども対象にしている。 関連記事ピックアップ Recommended by
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