日産 新型 電気自動車を発表 走行距離400キロに

日産 新型 電気自動車を発表 走行距離400キロに
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世界的に進んでいる電気自動車の普及を目指した、いわゆる「EVシフト」に対応して、日産自動車は1回の充電で走れる距離を400キロまで伸ばし、価格を300万円台とした新型の電気自動車を発表しました。
日産は6日、7年ぶりにフルモデルチェンジした電気自動車の「リーフ」を発表しました。

新型車は、電池の性能を高めたことで1回の充電で走れる距離を前のモデルの最大280キロから400キロに伸ばし、単純計算で東京から滋賀県まで充電なしで走行できることになります。

国内での価格は税込みで315万円から399万円と、前のモデルとほぼ同じ300万円台とし、電気自動車に対する国の補助金を受ければ、最も安いモデルでは実質的に300万円を切ることになります。

日産は来月以降、日本のほか、アメリカ、ヨーロッパで順次販売を始めます。また、新型車にはハンドルやアクセルが自動で操作され、駐車ができる新しい機能も搭載し、環境以外の性能もアピールしています。

日産の西川廣人社長は「走行距離が40%以上伸び、日常使いでは全く問題ないレベルになった。よい車になったという自信がある」と述べ、競争が激しくなっている世界のエコカー市場への投入に自信をのぞかせました。

電気自動車をめぐっては、ことし7月にイギリスとフランスの政府がガソリン車の将来的な販売禁止を打ち出したほか、中国では自動車メーカーに電気自動車の生産を義務づける規制が導入される計画です。

このため、ハイブリッド車をエコカーの主力としてきたトヨタやホンダも来年以降は中国で電気自動車の販売を始める方針で、今後、国内でもどこまで普及していくかが注目されます。

去年の販売は46万台余 5年前の10倍以上

IEA=国際エネルギー機関によりますと、世界全体の自動車の保有台数のうち電気自動車のシェアは1%に届いていません。

しかし、このところは販売が拡大していて去年1年間に販売された電気自動車は5年前の10倍以上の46万台余りに増加しています。

国別では最も多い中国が25万7000台、アメリカが8万6000台、ノルウェーが2万9000台、フランスが2万1000台、日本は1万5000台などとなっています。

これは世界最大の自動車市場となっている中国をはじめ、各国が環境対策の強化に乗り出す中、メ-カー各社が電気自動車を相次いで投入しているためです。

このうち、去年自動車の販売台数世界トップのドイツの「フォルクスワーゲン」は今後10年間で30車種以上の電気自動車を投入する方針を示しているほか、スウェーデンの「ボルボ」は2019年以降はすべての車種を電動化するとしています。

一方、日本のメーカーでは日産自動車が2020年度までに国内での電気自動車の販売を全体の10%まで増やす目標を打ち出しています。トヨタとホンダは現時点で電気自動車を量産していませんが、来年以降は、中国での販売を始めるとしています。

カギは「走行距離」と「価格」

電気自動車の普及のカギとなるのは、1回の充電で走れる距離と、価格です。

日産自動車が7年前に初めての量産型の電気自動車として投入した初代「リーフ」は発売当時、価格が370万円。1回の充電で走れる距離は200キロでした。この距離は冷暖房の電力消費などを除いた単純計算で、東名高速道路の「東京インター」から静岡県中部の「相良牧之原インター」までに当たります。

走行距離を飛躍的に伸ばしたのは、アメリカの新興メーカー「テスラ」です。テスラが2012年から販売を始めたセダンタイプの電気自動車は、1回の充電で最大630キロを走れるとしています。しかし、価格は1200万円台。走行距離を伸ばすために大量の電池を搭載するとその分価格が高くなってしまいます。

そこでテスラが新たに開発したのは、走行距離がアメリカの基準で350キロ、価格が400万円を切る電気自動車です。ことし7月からアメリカで納車が始まり、予約の受注数は37万台を超え、電気自動車としては異例のヒットとなっています。

そして、6日に日産が発表した新型「リーフ」。1回の充電で走行できるのは、初代モデルの発売当時に比べればおよそ2倍に当たる400キロ。さきほどの計算では「東京インター」から名古屋を超えて新名神高速道路の滋賀県の「甲南インター」まで走行できる距離です。さらに価格は315万円からに設定しました。

これまでガソリンエンジンとモーターを併用するハイブリッド車がリードしてきた日本のエコカー市場。電気自動車が今後、消費者にどこまで受け入れられるか注目されます。

充電の時間と場所に課題も

電気自動車は、充電にかかる時間と、充電できる場所の数にも課題があります。

東京都内に住む坂下千蔭さん(70)は、3年前にガソリン車から電気自動車に買い替えました。1回の充電で走れる距離は200キロですが、坂下さんは近場の移動がほとんどで、電池切れの不安を感じたことはないといいます。

問題は充電です。自宅の車庫に充電器を取り付け、スマートフォンのようにこまめに充電していますが、電池切れの状態からフル充電すると8時間かかります。メ-カーの販売店や高速道路のサービスエリアなどにある急速充電設備を使っても8割充電するのに30分かかるということです。

また、充電場所の確保も課題です。地図の制作会社の「ゼンリン」によりますと、こうした充電設備はことし7月末時点で全国に2万8500基あります。ここ4年で4倍に増えていますが、設置場所が都市部や高速道路に偏っていると指摘されています。

坂下さんは「充電時間が短くなり、充電場所が増えれば遠い場所に出かけるなどもっと使い勝手がよくなる」と話していました。

日産 新型 電気自動車を発表 走行距離400キロに

世界的に進んでいる電気自動車の普及を目指した、いわゆる「EVシフト」に対応して、日産自動車は1回の充電で走れる距離を400キロまで伸ばし、価格を300万円台とした新型の電気自動車を発表しました。

日産は6日、7年ぶりにフルモデルチェンジした電気自動車の「リーフ」を発表しました。

新型車は、電池の性能を高めたことで1回の充電で走れる距離を前のモデルの最大280キロから400キロに伸ばし、単純計算で東京から滋賀県まで充電なしで走行できることになります。

国内での価格は税込みで315万円から399万円と、前のモデルとほぼ同じ300万円台とし、電気自動車に対する国の補助金を受ければ、最も安いモデルでは実質的に300万円を切ることになります。

日産は来月以降、日本のほか、アメリカ、ヨーロッパで順次販売を始めます。また、新型車にはハンドルやアクセルが自動で操作され、駐車ができる新しい機能も搭載し、環境以外の性能もアピールしています。

日産の西川廣人社長は「走行距離が40%以上伸び、日常使いでは全く問題ないレベルになった。よい車になったという自信がある」と述べ、競争が激しくなっている世界のエコカー市場への投入に自信をのぞかせました。

電気自動車をめぐっては、ことし7月にイギリスとフランスの政府がガソリン車の将来的な販売禁止を打ち出したほか、中国では自動車メーカーに電気自動車の生産を義務づける規制が導入される計画です。

このため、ハイブリッド車をエコカーの主力としてきたトヨタやホンダも来年以降は中国で電気自動車の販売を始める方針で、今後、国内でもどこまで普及していくかが注目されます。

去年の販売は46万台余 5年前の10倍以上

IEA=国際エネルギー機関によりますと、世界全体の自動車の保有台数のうち電気自動車のシェアは1%に届いていません。

しかし、このところは販売が拡大していて去年1年間に販売された電気自動車は5年前の10倍以上の46万台余りに増加しています。

国別では最も多い中国が25万7000台、アメリカが8万6000台、ノルウェーが2万9000台、フランスが2万1000台、日本は1万5000台などとなっています。

これは世界最大の自動車市場となっている中国をはじめ、各国が環境対策の強化に乗り出す中、メ-カー各社が電気自動車を相次いで投入しているためです。

このうち、去年自動車の販売台数世界トップのドイツの「フォルクスワーゲン」は今後10年間で30車種以上の電気自動車を投入する方針を示しているほか、スウェーデンの「ボルボ」は2019年以降はすべての車種を電動化するとしています。

一方、日本のメーカーでは日産自動車が2020年度までに国内での電気自動車の販売を全体の10%まで増やす目標を打ち出しています。トヨタとホンダは現時点で電気自動車を量産していませんが、来年以降は、中国での販売を始めるとしています。

カギは「走行距離」と「価格」

電気自動車の普及のカギとなるのは、1回の充電で走れる距離と、価格です。

日産自動車が7年前に初めての量産型の電気自動車として投入した初代「リーフ」は発売当時、価格が370万円。1回の充電で走れる距離は200キロでした。この距離は冷暖房の電力消費などを除いた単純計算で、東名高速道路の「東京インター」から静岡県中部の「相良牧之原インター」までに当たります。

走行距離を飛躍的に伸ばしたのは、アメリカの新興メーカー「テスラ」です。テスラが2012年から販売を始めたセダンタイプの電気自動車は、1回の充電で最大630キロを走れるとしています。しかし、価格は1200万円台。走行距離を伸ばすために大量の電池を搭載するとその分価格が高くなってしまいます。

そこでテスラが新たに開発したのは、走行距離がアメリカの基準で350キロ、価格が400万円を切る電気自動車です。ことし7月からアメリカで納車が始まり、予約の受注数は37万台を超え、電気自動車としては異例のヒットとなっています。

そして、6日に日産が発表した新型「リーフ」。1回の充電で走行できるのは、初代モデルの発売当時に比べればおよそ2倍に当たる400キロ。さきほどの計算では「東京インター」から名古屋を超えて新名神高速道路の滋賀県の「甲南インター」まで走行できる距離です。さらに価格は315万円からに設定しました。

これまでガソリンエンジンとモーターを併用するハイブリッド車がリードしてきた日本のエコカー市場。電気自動車が今後、消費者にどこまで受け入れられるか注目されます。

充電の時間と場所に課題も

電気自動車は、充電にかかる時間と、充電できる場所の数にも課題があります。

東京都内に住む坂下千蔭さん(70)は、3年前にガソリン車から電気自動車に買い替えました。1回の充電で走れる距離は200キロですが、坂下さんは近場の移動がほとんどで、電池切れの不安を感じたことはないといいます。

問題は充電です。自宅の車庫に充電器を取り付け、スマートフォンのようにこまめに充電していますが、電池切れの状態からフル充電すると8時間かかります。メ-カーの販売店や高速道路のサービスエリアなどにある急速充電設備を使っても8割充電するのに30分かかるということです。

また、充電場所の確保も課題です。地図の制作会社の「ゼンリン」によりますと、こうした充電設備はことし7月末時点で全国に2万8500基あります。ここ4年で4倍に増えていますが、設置場所が都市部や高速道路に偏っていると指摘されています。

坂下さんは「充電時間が短くなり、充電場所が増えれば遠い場所に出かけるなどもっと使い勝手がよくなる」と話していました。