受給者によって種類も金額も変わる年金。自分がどのような立場で、どのような年金を受け取れるかを理解しておきましょう。
年金には大きく分けて「私的年金」と「公的年金」
年金制度は「私的年金」と「公的年金」に分けられますが、ここでは「原則として20歳~60歳未満の日本に住む人すべてが義務付けられている」公的年金を説明します。
私的年金
年金保障をなど、自分で年金生活の保障をするために準備をすること
公的年金
- 国民年金
会社員等の方との年金額の差を解消するために創設された公的な年金制度 国民年金基金制度は、国民年金法の規定に基づく公的な年金であり、国民年金(老齢基礎年金)とセットで、自営業者など国民年金の第1号被保険者の老後の所得保障の役割を担うもの。
平均受給額 月:53,602円
- 厚生年金
厚生年金保険は、国民年金に上乗せされて給付される年金です。 基礎年金となっている国民年金の金額に、厚生年金保険の受給額が加算され、合計金額をもらうことになります。 厚生年金保険の対象者は、主に民間の会社で働いている人が加入する制度。
平均受給額 月:161,059円
- 共済年金(現在は厚生年金に統一)
共済年金は、厚生年金と同じ役割ですので制度の中身は厚生年金と基本的に同じで、 職種によって厚生年金に加入するか、共済年金に加入するかが変わります。 公務員、地方公務員、私立学校教職員の人たちが加入する制度でしたが、現在は共済年金は厚生年金に統一され平成27年10月から被用者年金が一元化されました。
年金を受給するには、年金制度への25年の加入が必要です。
公的年金制度の役割
日本の平均寿命は世界一の水準にまで達し、人口構造の高齢化が進む一方、生まれてくる子どもの数は減少傾向にあり、少子化が進んでいます。
老後を安心に暮らせるための社会的な仕組みとして公的年金は大きな役割を担い、「障害年金」や「遺族年金」の役割も持っています。
国民(基礎)年金の種類 | 内容 |
---|---|
老齢年金 | 65歳から死亡するまでもらえる終身年金。受給には25年以上の加入が条件になる。 |
障害年金 | 病気や怪我で障害が残ったときにでる年金 |
遺族年金 | 年金加入者が亡くなったときに、配偶者・子どもに出る年金 |
年金の受給タイプは3通り
年金事業を運営するものを「保険者」といい、その年金に加入しているものを「被保険者」といいます。
国民年金及び厚生年金の保険者はともに政府ですが、被保険者については、立場によって次の3種類に分かれています。
基礎年金の給付に必要な費用は、国民年金の被保険者全体で公平に負担します。日本国籍は必要なく、第1号は海外に移住する場合でも任意加入することができます。
国民年金の被保険者の種類
国民年金の被保険者の種類 | 内容 | 条件(国内居住) | 年齢 |
---|---|---|---|
第1号被保険者 | 自営業者、学生、フリーター、無職、個人事業主に雇用されている人など第2号被保険者、第3号被保険者以外の人 | 国内居住である必要なし | 20歳以上60歳未満 |
第2号被保険者 | 会社員、国家公務員、地方公務員、私立学校教員などの、年金や共済組合の加入者または組合員 | 国内居住である必要あり | 70歳未満 |
第3号被保険者 | 会社員、公務員の配偶者 第2号被保険者の配偶者であって、主として第2号被保険者の収入により生計を維持する者(被扶養配偶者) |
国内居住である必要あり | 20歳以上60歳未満 |
被保険者の立場が変われば年金種類も変化する
就職、退職、結婚して扶養になったなどの立場がかわることで、被保険者の種類は第1号から第3号まで対象が変わります。
立場が変化した場合の手続きは、勤め先または各市町村の国民年金担当者窓口などで行います。
日本の公的年金は3階建て構造
日本の公的年金は3階建てと例えられ、会社員の倍は1階部分が日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が加入する「国民年金(基礎年金)」、2階部分が会社などに勤務している人が加入する「厚生年金」になっています。
3階部分が会社独自の年金制度である「企業年金」、公務員独自の上乗せ制度である「年金払い退職給付」となります。
会社員は受給対象時期になったら国民年金からの基礎年金と、厚生年金がもらえますが、厚生年金・共済年金は「報酬比例部分」といわれ、文字通り個々の現役時代の平均年収に比例して決まります。
3階部分は自助努力の制度なので、加入している人はかなり限られていますが老後の不安から加入する人が増えてきています。
国民年金(基礎年金)の満額で受け取れる金額
「国民年金(基礎年金)」は加入期間に応じて、受け取る年金額が変わり、20歳から60歳までの40年間加入すると満額(平成29年度:77万9300円)が受け取れます。
第2号被保険者である会社員、公務員の妻で、「年収130万円未満」で「夫の年収の半分未満」などの条件を満たした場合は、第3号被保険者と呼ばれ、別途保険料を毎月支払わなくても将来、一定の条件を満たせば国民年金を受給できます。
ただし、自営業者の妻の場合は、専業主婦や収入が130万円未満である場合でも、会社員の妻のような特例はなく、夫とは別に第1号被保険者として国民年金に加入し保険料を毎月納めなければなりません。