ここ最近、「マッサン」の人気によってウイスキーがどんどん売れているのに併せ、ニッカウヰスキーが昔の銘柄の復刻版を出す攻勢に出ていますが、サントリーも負けてはおれぬと、角瓶の復刻版を出しました。
すでに2009年に、横浜港の開港150年を記念して角瓶の復刻版がすでに出ていましたので、今回はそれ以来の登場となります。

kakubinFukkoku角瓶が登場したのは1937年、当時の寿屋を、ウイスキー技術を伝え、後にニッカウヰスキーを設立する竹鶴政孝が退職して3年、創業者の鳥井伸治郎はすでに発売した白札や赤札の失敗をもとに、日本人が嫌うスモーキーな香りを抑えたウイスキーを目指すこととなりました。

すでに山崎蒸溜所には10年以上熟成された原酒もできあがっていたこともあり、この長期熟成されたモルトをベースとして角瓶(発売当初は「サントリーウイスキー12年」)を発売しました。
大きな負債を事業売却によってまかなうまで、社運をかけたウイスキーだったのです。

しかし社会情勢が、寿屋に追い風となりました。
日本が戦時下になったことで海外製のウイスキーの輸入が止まり、しっかり作り上げた角瓶に注目が集まりました。
また、東京の銀座に行ってまでテイスティングを繰り返すほどの綿密な試行錯誤を繰り返したことが功を奏して、角瓶はヒット商品となりました。
さらに食糧統制が行われると、当時の帝国海軍から角瓶の大量発注を受けることとなり、見事なV字回復に成功しました。 

戦後になると、海軍に所属していた元兵士らが愛飲、方々に伝えるようになり、角瓶は引き続きヒット商品となりました。
その後、上位にサントリーオールド、下位にトリスがラインナップされ、角瓶は長らくメインストリームのウイスキーとなっていきました。

ちなみに連続テレビ小説「マッサン」では「丸瓶」として、この角瓶をモデルにしたウイスキーも劇中に登場します。

今回登場した復刻版は、ボトルこそ現行品と同じですが、ラベルのデザインは初代を再現、カラーも現行品よりも薄いベージュに近い色合いとなっています。

いつものごとくロックで飲んでみると、飲み口はほんのりスモーキーさとシェリー樽原酒と思われるレーズンのような香りが先に来ます。後からは青リンゴ、ナシのさわやかさ、奥からカラメル、ウッディさが追いかけていきます。
味わいはアルコールの刺激が比較的少なく、軽い甘さと酸味が舌の上で踊ります。 

加水されると、スモーキーさは消えてレーズンの甘い香りが表に出るようになります。
味わいも甘さが目立つようになり、かなり飲みやすくなります。

発売当初は白州蒸溜所がなく、山崎のメインであったであろうシェリー樽原酒、しかも当初の名称のごとく12年熟成のものを贅沢に使っていると思われ、現行品よりも香りも味わいも深く、まろやかさもあります。
個人的に、現行品では割って飲まないとまともに飲めませんが、この復刻版はロックでもストレートでも耐えられるほどです。

kaku_BorY比較対象として、同じアルコール度数43度の黒角を飲んでみました。
復刻版に比べるとアルコールの刺激が多く、若い原酒がメインである感じがあります。
香りこそシェリー樽からくるレーズンが来ますが、それ以上の幅広さ、深みはありません。
こちらもロックで飲むのに対応できるブレンドですが、復刻版の足下にも及ばない印象です。

また、上の価格帯になるプレミアム角瓶と比べると、復刻版の方がしっかりとしたボディを感じます。

ニッカが出した初号ブラックニッカ復刻版同様に、角瓶も当初はしっかりと作り込まれたウイスキーだということを実感しました。

今回入手したのは、酒屋さんでのみ販売されていると思われる700mLのボトルで、アルコール度数は43度、価格は1700円ほどです。
一方でコンビニやスーパーでは2/17から450mLの少々小さいボトルで販売されます。

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<個人的評価> 
・香り B: ほのかにスモーキー。レーズン、青リンゴ、ナシ、カラメル、樽からのウッディさ。
・味わい C: アルコールの刺激はなく、ほんのり甘く、酸味も目立つ。
・総評 B: これだけの品質を2000円以内で出せれば、現行のローヤルですらかすむほど。