医療の進歩により、世界トップクラスの長寿大国となった日本。
長生きできることはめでたい。長生きは幸せ。
本当にそうなのか。
高齢者というマイナスイメージ
毎日のようにテレビで取り上げられる。
・高齢者の運転事故
・少子高齢化に伴う医療費の高騰
・介護施設での死亡事故
・介護離職
・認知症の症状
・現役世代の負担増加
・介護職の人手不足
etc...
高齢者に関連した話題が取り上げられるが、明るい話より暗い話の方が圧倒的に多い。
介護業界のイメージも悪い
社会人になるころ、私が介護の仕事をすることを友人に言った。
「汚いのによくやるね」
「高齢者ってうるさそう」
こんな風に言われた。
介護の仕事のイメージって、世間的に低い。給料が低いとかならいいけど、入居者様を下に見られている感覚はとても嫌い。
高齢者=汚い、うるさい
そんなイメージが一般的にあるのか知らないけど、そう言う人は自分のおじいちゃんおばぁちゃんのことを汚いと思っているのかな。
ベットの上で生活していても、長生きできる。
介護施設で働いていて、こんな方がいる。
・身寄りがない
・重度の認知症
・失語症で言葉が話せない
・拘縮が強く、車いすに座ることが出来ない
・嚥下障害があり口から食事を取れない
この方に、私たちが出来る事って何でしょうか。
決まった時間に排泄介助を行い、決まった時間に胃に栄養を注ぐ。毎日その繰り返し。
元気だったころは家族に虐待をしていたらしく、誰も面会に来ない。
言葉もない。理解もできない。食事もできない。
ベットの上が生活スペースとして完結する。
長生きしているのか、それとも生かされているのか。
一日一日を楽しく過ごしてもらうために私たち介護職員がいる。
けれども、あまりにもしてあげられることが少ない。
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「早く死にたい」口を揃えて言う入居者様
介護職員は、入居者様の生活の一部を支援しているに過ぎない。
しかし入居者様からすれば、職員に「お世話されている」という感覚になってしまう。
90年生きた方が、27の男に「お世話されている」と思うと申し訳ない気持ちになるそうで。
「こんなになるなら、早く死んだらいいのにね」
「ごめんね」
と言う。
私は「お世話なんてしてないです」と伝える。
けれども、介護職員の中には、入居者様に
「お世話してやってる」と考えている人もいる。
そーゆー職員は嫌い。
身体が衰え、人の手を借りなければならなくなる。
自分のできる範囲が狭まる。
それでも、死んでないから生きる。
「早く死ねたらいいのに」そんな風に入居者様は言う。
長生きできる時代だからこそ、死を選択できる社会が必要ではないか
【尊厳死】という言葉がある。延命措置を断って自然死を迎えること。
【安楽死】という言葉がある。医師などが薬物等を用いて死期を積極的に早めること。
どちらも「不治で末期」、「本人の意思による」という共通点はあるが、「命を積極的に絶つ行為」の有無という決定的な違いがある。
日本では、尊厳死は積極的に受け入れられている。
日本では、安楽死は受け入れられていない。
「本人の望む最期を迎えるため」
目的は一緒でも、安楽死は認められておらず、自然に死を待つ以外に死ぬ方法はない。
近年、死を求めてスイスに渡航する方が増えていると聞いた。
理由は安楽死ができるから。国籍は関係なく、安楽死をサポートする組織も存在する。
末期がんで死ぬことが分かっている方
治る見込みもない方
人生の最期を意識がはっきりしているうちに終わらせたい方、
自分が長生きすることで家族が負担になっていることを分かっている方。
不安や苦しみ続ける方に、「苦しみながら死んでくれ」と言わなければならないのか。
長生きできるからこそ、自分の望む死を選択できる社会が必要。
私はそう思います。