倉持麟太郎
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倉持麟太郎弁護士

1983年生まれ。慶大法学部を経て中大法科大学院卒。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属。15年3月、日本弁護士連合会・憲法問題対策本部幹事、15年4月、第二東京弁護士会憲法問題検討委員会幹事。慶大法科大学院非常勤講師。安保法をめぐり、衆院特別委で参考人として意見陳述を行った。

<第19回>法文と現実の矛盾、乖離はまるで答えのない謎かけだ

 プッチーニのオペラ「トゥーランドット」で、姫は求婚者に解けない謎かけをする。

「氷のように冷たいが、周囲を焼き焦がすものは?」

 解けなければ、求婚者の命はない。今回の法案や国会審議を見ていると、このオペラを思い出してしまう。

 事態対処法3条4項には、「存立危機事態においては、存立危機武力攻撃を排除しつつ、その速やかな終結を図らなければならない」と規定されている。「終結」を図るための武力行使はもちろん、「必要最小限度」だ。政府の答弁をつなぎ合わせると、他国の領土領空領海には入れず、敵基地は個別的自衛権でさえ攻撃はしないとしている。

 安倍首相の答弁によると、日本を守る米艦への攻撃という「明白な危険」で存立危機事態は認定(7月15日)されるが、法律上、存立危機事態を「終結」させる「義務」がある中、存立危機事態の原因たる敵基地を攻撃せずに、他国の領土領空領海に入らずに、どうやって存立危機事態を終結させるのか。トゥーランドットの謎かけレベルに回答不能だ。

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