東京は坂の多い都市です。
そして『タモリのTOKYO坂道美学入門』なる本があったり、
坂の学会があるほど、坂道に深いこだわりを
もっている人が多くいるようです。
東京の見知らぬ場所を歩いていたりすると、
たまにこの坂道やたら急だな、とか
階段、何段くらいあるんだろうと
驚いてしまうような傾斜に出くわします。
Googleの地図でも、東京23区坂道マップがあり、
それをみると平坦な街というイメージがあった東京ですが、
たくさんのマーカーがびっしりと打たれていて
こんなにも坂道があるとは予想外でした。
坂道には坂固有の名前がつけられているのもありますが、
名前のない坂も含めると、
東京には果たしていったいどれくらいの
坂があるのか気になるところです。
坂道。と聞くと、
上るの嫌だな、迂回しようかな、
など思うのが普通だと思いますが、
坂道をみつけると、つい走ることに適しているかどうかを
念頭に見てしまいます。
この坂は何メートルくらいか、傾斜は急か、
車の動きは少ないか、人の通りはどうか、等々。
長い坂道をみると反射的といっていいくらい、
そんなことを頭で考えてしまいます。
今までけっこうな数の坂道を走ってきたと思いますが
傾斜角、距離どちらをとっても、今きつさの上位にいる坂道がこちらです。
文京区の護国寺近くにある「鼠坂」と呼ばれている坂道です。
あまりにも急すぎて、鼠くらいしかこの坂道は上り下りできない、
そんな所からこの名前がきているとのことです。
森鴎外の小説「鼠坂」の舞台にもなっていて
<車を降りて徒歩で降りることさえ、雨上がりなんぞにはむずかしい>
という描写があるように人が歩くのも危なっかしいほどです。
この坂道は名前の由来に偽りのない、長くてきつい勾配なのです。
慣れてない人だと普通に歩いて上りきるだけでも、しんどさがあると思います。
練習で走りこむときは、
一番下から頂上にむかってダッシュ。
頂上に着いたら呼吸を落ち着かせながらゆっくりペースで下る。
そしてすぐにまた気をふり絞り上に向かってダッシュ。
呼吸は荒くなって、足もあがらず、どんどん苦しくなります。
それを何往復も繰り返して追い込んでいきます。
自分との闘いだから、何度もたくさん走ります。
道の途中ではここを上る人がつかの間の休息を取れるようにと
思って描いてくれたのか
覗き見するネズミがいたり、遊びまわるネズミもいて
思わず和んでしまいます。