ミュージカル「刀剣乱舞」の新作公演をめぐり、Twitterユーザーが「当選チケットをローソンチケットに無断でキャンセル扱いにされた」と主張し、大きな騒動となっています。一方ローソンチケットを運営するローソンHMVエンタテイメント(ローソンHMV)は「店舗を特定し、調査したが事実確認が取れない」とコメントを発表。ユーザーに届いたとされるキャンセルメールについて「弊社のメールの体裁とは違うように思う」と困惑しています。
きっかけはあるTwitterユーザーが発したツイートで、ミュージカル「刀剣乱舞」のチケットが当選したので入金したところ、後日ローソンチケット側から「予約内容のキャンセルについて」というメールが届いたというもの。ユーザーはキャンセルをした覚えがなく、ローソンチケットのカスタマーセンターに問い合わせたところ、確かにキャンセルになっている旨、また一度キャンセルになったチケットは再度用意できない旨、真相究明には2週間程度の時間がかかるが、結局チケットは戻ってこない旨、などが伝えられたといいます。
また、カスタマーセンターの担当者からは「チケットの代金についてはローソンの店舗とローソンチケット側で入金の履歴が確認できたため、通常は行っていないものの特例として1週間以内の領収書返送で返金に応じる」との説明があり、丁寧な謝罪が行われたとしていました。
これについてネット上では「酷い会社ですね」「大企業ゆえの奢り」「対応も失礼」などとローソンチケットを非難する意見が相次いだ他、自分もローソンチケットでトラブルに遭ったことがあるというユーザーが現れるなど、大変な騒動となりました。
こうした中で9月4日、ローソンチケットを運営するローソンHMVが「ミュージカル『刀剣乱舞』に関するツイートについて」とするコメントを発表しました。
コメントの中でローソンHMVは「WEB上の領収書の検収印やレジ番号から、店舗を特定し取引実績等を調査しておりますが、現在のところ実績データ等から事実の確認はできませんでした。また、入金後のキャンセルやカスタマーセンターへのお問い合わせの事実も確認できませんでした」と説明。Twitterでの発信情報と、ローソンHMVとで食い違いがあると主張し、さらに調査を行う用意があるとして、カスタマーセンターに連絡するようユーザーに呼びかけました。
このコメントについてユーザー側はカスタマーセンターと連絡を取り合っていたと主張し、電話の発信履歴の画像を添えて反論。平行線をたどっています。
今回の騒動についてねとらぼ編集部では、ローソンHMVの担当者に接触。なぜ“事実の確認ができなかった”と言い切れるのかなどを取材しました。
取材に応じたのはローソンHMVの広報担当者。今回の騒動については9月2日時点でユーザーのツイートを確認し、SNS上の情報や画像を基に一つ一つ事実かどうかを調査していったと話します。
――なぜ今回のコメントを発表するに至ったのでしょうか
ローソンHMV:私どもも、お客さま(ユーザー)がSNSに投稿されている情報でしか状況が分かりませんでしたので、まずはSNS上の情報や画像の事実確認を行いました。その中でお客さまと私どもとの間に誤解があるのかもしれないという結論に至り、「まずはご本人と連絡を取りたい」という思いからコメントを発表いたしました。
――コメントでは「チケットキャンセルの事実はない」という内容になっていますが、なぜそう言い切れるのでしょうか
ローソンHMV:現在ツイートに残っている画像とは別に、お客さまが投稿されていたレシートの画像(現在は削除済み)から店舗を特定いたしました。その店舗での履歴を確認したところ、当該店舗で刀剣乱舞新作ミュージカルチケットの入金履歴は残っていませんでした。またチケット以外でもレシートに記載されていた金額での入金がないか確認を行いましたが、この金額での領収書が存在していないことが分かりました。
――チケットキャンセルの履歴は残っていない、ということですか
ローソンHMV:本公演では2017年8月31日が入金期限となっていましたので、この期限内でのチケットをキャンセルした履歴が存在しないかを確認しましたが、販売した全チケットにおいてこの期限内でのチケットキャンセルの履歴は存在しませんでした。
――ユーザーはTwitterにローソンチケット側から送られてきたというキャンセルメールの画像も掲載しています。これについてはいかがですか
ローソンHMV:そもそもキャンセルが存在しないためメールを配信した事実はありません。また投稿されていたレシート画像の入金履歴は確認できておらず、もし「未入金が原因でチケットの権利を失った」という場合であっても、弊社ではこの状況をキャンセルと呼んでいません。このためお客さまに対して「キャンセルをお受付いたしました」というメールを送るといったこともありません。なお、メールの画像も拝見しましたが、弊社のメールの体裁とは違うように思います。
――カスタマーセンターへの入電の確認についてはいかがでしたでしょうか
ローソンHMV:こちらも履歴の確認ができませんでした。
――今回の騒動について、ローソンHMV側の考えや今後の対応についてお聞かせください
ローソンHMV:私どもとしては、お客さまとの誤解を解きたいと考えております。まずは直接お話を聞かせていただければと思いますので、カスタマーセンターにお電話をいただきたく思います。
なおローソンHMV側は、ユーザーとの接触については、匿名性が重んじられるSNS上では本人確認が難しいことなどから、カスタマーセンターを通じて直接の対話を望んでいるとのことでした。
ユーザーが証拠として掲載していたレシートや通話履歴の画像などと食い違うローソンHMVの調査結果。騒動収束のためにもユーザーからローソンHMVへの連絡が待たれます。
(Kikka)
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