住宅購入とローン返済の具体的な7つの失敗事例
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マンションにしろ、戸建てにしろ、住宅は人生で1番高い買い物です。そのため、住宅を何件も購入したり、ちょっと気に入らないから買い直したり……ということは普通は出来ないものです。
以前行なったマネーゴーランドの調査では、住宅購入したことを正しい選択だったと言いきれない方(住宅購入を後悔するかもしれない方)が4割も居ることがわかっています。
Q7:現在のお住まいを購入して正解だったと思いますか?
最後に「現在の住まいを購入して正解だったと思いますか?」と聞いたところ、「はい」と答えた人は57.7%にとどまりました。「いいえ」はわずか6.3%とはいえ、住宅購入が正しい選択だったか回答に迷う方が4割近くいるのも事実のようです。
住宅は、人生で一番高額な買い物のはずなのに……じっくり検討して購入を決めたはずなのに……、「買ってよかった!」と胸を張って言えないのは非常に悲しいことです。
今回は、まだ住宅購入を検討中の方が、参考にしてもらいたい失敗事例をご紹介します。「あの時こうしていれば・・・」とならないように、事前準備をしておきましょう。
この記事の目次
住宅購入の失敗1.金利タイプの失敗
毎月の返済額が安かった
Aさんは、マンションを購入するにあたり、3,700万円の住宅ローンを組みました。3,700万円は大金ですが、毎月の返済額98,104円をみて「これなら返せる。」と、購入を決断しました。毎月の返済額について、金融機関の担当者から「こんなに返済額が少ないのは、金利が年0.625%と低いからですよ。」と言われ、大喜びでした。
但しそれは、「住宅ローンの金利には、変動金利型と固定金利型がある」と知るまでの話でした。
Aさんの住宅ローンは、変動金利型です。Aさんはビックリ。毎月返済額は、ずっと98,104円のままだと思っていたのに…。
変動金利型のリスク
変動金利型は、年2回、金利の見直しを行います。但し、返済額の見直しは5年ごとなのが一般的。金利の変動に合わせて、返済額に占める元金と利息の割合を調整する仕組みです。そのため、金利の見直しのたびに返済額が変わるわけではありませんが、金利が下がれば、支払利息は軽くなるし、金利が上がるとその負担は増えてしまいます。
Aさんの住宅ローンの失敗は、そもそも金利に変動金利と固定金利があると知らなかったことです。住宅の購入契約をする前に、もう少し情報収集をしておくべきでした。「このまま変動金利型でいくべきか……。」、Aさんは、悩み始めています。固定金利型にしたい気持ちはありますが、家計への影響が心配です。
金利の種類について知らずに、住宅ローンの借入額を決めるのは危険です。3つの住宅ローン金利の種類を理解したうえで、自身の借入額を判断するようにしましょう。
住宅ローンの金利の種類は全部で3タイプあります。
- 変動金利型
- 固定期間選択型
- 全期間固定型
住宅購入の失敗2.ローン手数料の失敗
金利は低いほうが間違いなく良い?
マイホームを購入することになったBさんは、同僚から『フラット35』を勧められました。『フラット35』とは、最長35年の固定金利のローンのことで、借入れのときに、毎月の返済額が変動しないため安心感があります。
Bさんは、いろいろな金融機関のホームページを見て、「フラット35の金利は、商品によって異なる」ことに気付きます。例えばある金融機関では、年0.90%と年1.10%という2つの金利を提示していました。参考までに『フラット35』の平成28年8月における金利の範囲は、年0.900%~年1.570%です(返済期間21年以上35年以下、融資率9割以下の場合)。
金利は低いほうが良いと考えたBさんが選んだのは、年0.90%のほうで、3,000万円を35年ローンで借りると、毎月の返済は83,294円(元利均等返済ボーナス併用なし)でした。
ところがBさんが利用しようとした住宅ローン(フラット35)の手数料は、融資額の1.54%(税込)……、つまり3,000万円を借りると462,000円かかり、さらに、これを初期費用として支払わなければいけません……。
自己資金が足りないBさんは、初期費用の負担を抑えるために年1.10%の商品を選ぶことにしました。そうすると、初期費用にかかる住宅ローン手数料を32,400円に抑えることができますが、月々の負担は3,000円ほど増えて、86,091円になってしまいます。
住宅ローン手数料は商品ごとに異なる
Bさんの失敗は、住宅ローン手数料は商品ごとに異なることを知らなかったことです。住宅ローン手数料は、毎年定額で税込○○円のものもあれば、定率で○%の金利上乗せなど、さまざまです。
参考までに、Bさんの例で「総返済額+手数料額」の比較をしてみましょう。
金利 | 手数料 | 毎月返済額 | 返済総額 |
---|---|---|---|
0.9% | 462,000円 (融資額の1.54%) |
83,294円 | 約3,545万円 |
1.10% | 32,400円 | 86,091円 | 約3,620万円 |
返済総額に着目すると、金利0.9%の方は約3,545万円、金利1.1%の方は約3,620万円です。返済総額を比較すると金利が低く手数料が高いほうがお得なのですが、自己資金がなければ選択できません。
Bさんはもう少しお金を貯めてから住宅を購入すれば良かったと後悔したようです。
※ ただし、繰上げ返済や途中売却の考慮はしていません。そのため、初期費用として住宅ローン手数料を全て支払うことが必ずしもお得とは限りません。
住宅購入の失敗3.諸費用の失敗
想像以上に必要な住宅購入の初期費用
Cさんは、住宅ローンの事前審査にパスしたことがうれしくてたまりません。これで、夢だったマンション購入が、現実となりそうです。
マイホームの資金計画をたてるにあたって、Cさんが意識したのは「頭金」を1割は入れることです。それから「子どもたちの大学進学のための貯蓄」は取り崩さないこと、あとは、イザというときのために「予備費」を確保することです。これで完璧だと思っていました。
ところがCさんは、手渡された契約準備の書類を眺めるうち、自分の計画が甘かったと気付きます。「マイホームを買うときは、マイホームの代金以外にも、お金が必要になる」ことは知っていました。でもまさか、こんなにかかるなんて。
マイホーム取得にかかる諸費用
マイホームを取得するときは、マイホームのお金以外にも、さまざまな諸費用がかかります。例えば、新築マンションを購入するCさんの場合、売買契約書やローン契約書に貼る「印紙代」、表題登記や保存登記、移転登記、抵当権設定登記の「不動産登記に要する費用」が必要です。また、所有期間に応じた「固定資産税・都市計画税の精算金」の負担もありますし、火災保険料もばかになりません。そのほか、修繕積立基金や管理準備金、ローン利用のための手数料や保証料といった費用もかかります。
問題なのは、これらの諸費用を合計すると、物件価格の4%にもなることです。引越し費用もかかりますし、カーテンやソファーも新調したいのに……。さてこれを、どうやって確保しましょう。
Cさんがまっさきに頼ったのは、「予備費」です。ただ、全部使ってしまうわけにはいかないため、次に頼ったのは「子どもたちの大学進学のための貯蓄」です。ローン返済がはじまっても、貯蓄を続けるというCさんですが、大丈夫でしょうか。
こういった経緯で、手元に確保しておくべきお金を減らしてしまうケースは少なくありません。ところでCさんはまだ契約前。少し勇気のいることですが、いちど立ち止まって、考えてみることが大切でしょう。
住宅購入の失敗4.金利引下げプランで失敗
金利引下げプランは魅力的
Dさんはマイホームの購入にあたり「10年固定」を利用するつもりです。基準となる店頭金利は年3.00%ですが、実際に負担する適用金利は、年0.80%です。年0.80%なら、3,000万円を30年ローンにしても、毎月の返済額は93,760円になりす。年2.20%ものオマケがあるなんて、うれしい限りです。
もちろん、10年固定を利用するなら、10年経過後に、そのときの金利で、次の返済計画を考えなくてはいけません。でもDさんはこう思っています。「10年先のことはわからない。今はオマケが年2.20%もあるし、そのときになったら考えよう。」
金利引き下げには2タイプある
10年固定など一定期間の金利を固定する商品は、基準になる店頭金利から一定幅を引き下げたうえで、貸し出されるのが一般的です。ただし、金利の引き下げルールは、次の2つのことを知っておかなければなりません。
- 全期間一律引き下げ|全期間を通して引き下げ幅が一律のもの
- 当初期間引き下げ|当初期間の引き下げ幅が特に大きいもの
Dさんの選んだ金利引下げプランが前者であれば、当初期間を経過した後も、金利の引き下げ幅が変わることはありません。年2.20%のオマケは、返済が終わるまで約束されます。もちろんDさんはそのつもりでしたが、引き下げ幅が大きくなるのは後者の「当初期間引き下げ」タイプだけです。
年2.20%のオマケは10年で終了して、その後の引き下げ幅は、年1.40%に縮小します。
引き下げ幅が大幅に小さくなると知ってDさんは大慌てです。その分は10年過ぎた後、Dさんが負担する金利に跳ね返ります。また、10年後は現在の低金利状況が続いているとは思えず、店頭金利の動向も気になります。下手をしたら、当初期間引き下げ分と、店頭金利(市場金利)が上がった分のダブルパンチを喰らう可能性もあります。
住宅ローン金利の固定期間選択型を利用するときは、当初に負担する金利だけでなく、金利引き下げ幅も確認して、目先だけにとらわれないようにしましょう。
金利の引き下げ期間
金利の引き下げには、「全期間一律引下げ」と「当初期間引下げ」の2タイプあります。
住宅購入の失敗5.返済期間の失敗
借入期間の油断。定年時のローン残高920万…
新しくマンションを購入したEさんは、毎月の返済額98,104円を検討して、「何とかなる。」と購入を決断しました。「何とかなる。」の根拠は、現在の家賃が10万2千円だからです。しかし、実際、購入後に住宅ローンの返済を始めて、ランニングコストを甘く見ていたことや、金利の種類を確認しなかったことなど、反省しきりです。この状態が「ずっと」続くのは心配です。
毎月の返済額は、借入額、金利、期間をもとに算出します。Eさんの「何とかなる」の根拠となった毎月の返済額98,104円は、借入額3,700万円、金利0.625%の変動タイプ、借入期間35年といった条件のもとに導き出された数字でした。
資金計画表によると、Eさんの借入期間は35年。Eさんは38歳なので、35年たつと73歳です。定年は65歳のため、8年もオーバーすることになります。
元々Eさんは、「住宅ローンを組むなら、定年までには返してしまいたい」と思っていました。それにもかかわらず、資金計画の提案を受けたときに、借入期間をよく検討せずに毎月返済額だけで、マンション購入を決めてしまいました。
参考までに、3,700万円を0.625%、35年ローンで組むと、仮にこのまま金利の変動がなかったとしても、Eさんが65歳のときの残高は920万円です。家計を見直して対策する必要がありそうです。
参考:住宅ローンで老後破綻?将来の家計と最適な返済期間の考え方
住宅購入の失敗6.繰上げ返済の失敗
Fさんは、お金が貯まったら何よりもまず、繰上げ返済をする。ことを重視していました。以前、100万円の繰上げ返済をしたときに、20万円以上も得をしたからです。繰上げ返済の100万円はすべて元金返済に充てられ、元金が減ったことで、分利息が20万円も減ったということです。
繰上げ返済にあたってFさんが選んだのは、期間短縮型でした。期間短縮型は、期間が6ヵ月短くなることで、返済総額が20万円の得をします。一方、返済額を軽くする返済額軽減型だと、毎月の返済額が5,000円軽くりますが、返済総額の得は10万円です。
しかし最近、Fさんは少し不安を感じています。子どもの教育費がおもったよりもかかり、家計を圧迫し始めているからです。教育費の負担が増えることはわかっていましたが、前述した20万円と10万円を天秤にかけて、期間短縮型を選択したのですが、今思えば返済額軽減型で毎月の返済額が5,000円減っていた方が楽だったのかもしれません……。
住宅ローンを借入れた後のメンテナンスとして、繰上げ返済は有効です。しかし、家計とのバランスを考えて、繰上げ返済をしない選択も必要でしょう。
住宅ローンの繰上返済とは
繰上返済とは、月々の返済とは別に手元のまとまったお金をローンの返済に充てることです。通常返済しているお金は、元金と利息の両方に充てられますが、繰上返済の場合はすべて元金に充当されます。
やり方によって下記2つの方法があります。
- 期間短縮型
- 返済額軽減型
住宅購入の失敗7.ボーナス払いの失敗
ボーナス頼みで返済プランが水の泡
住宅ローンは、毎月返済が基本ですが、年に2回、ボーナス返済をセットすることができます。
Gさんは住宅ローンを組むにあたり、毎月の返済額を10万円以内に抑えたいと思っています。これは借入期間を35年にすると、3,260万円ほどを借りられる計算です(年1.50%の場合)。しかしこれでは、希望する住宅ローン額に届きません。
マイホームを手に入れたら、維持コストがかかりますし、子どもの塾代もかかります。そのため、毎月の返済額を増やしたくありません。
そこでGさんは、ボーナスをあてにしようと考えます。
ボーナス返済で借入額アップ
Gさんの試算では、2回のボーナスから10万円ずつで年間20万円を住宅ローン返済にまわせば、借入額を540万円増やせます。これで、借入額は3,800万円です(毎月返済分が3,260万円、ボーナス返済分が540万円)。
「ボーナス返済を利用すればもっといい物件を狙える……。」
Gさんは、さらにボーナス返済を増やすことにします。ボーナスのたびに15万円ずつ捻出できれば、借入額は更に270万円アップして4,070万円になります(毎月返済分が3,260万円、ボーナス返済分が810万円)。「じゃあ、20万円なら……?」
ボーナス返済に頼りすぎて失敗
ボーナス返済を上手にとりいれると、効率的な資金計画を立てることもできます。ただし、ボーナスでの返済は基本的にイレギュラーだと考えてください。Gさんのように、住宅ローンの借入額を増やすためにボーナスでの返済に頼るのはやめた方が良いでしょう。
住宅ローンの返済は長期間に渡ります。その間、ボーナスが大きく減ってしまうと、返済が苦しくなります。それはなくても、家電を新しいものに替えたり、家族旅行を楽しんだりといった余裕がなくなってしまう可能性だってあります。Gさんは大丈夫でしょうか。
ところで、ボーナス返済は年に2回ですから、元金が減るのは年に2回。毎月返済にくらべると元金の減りが遅いですから、その分の利息を負担することになります。念のため。
住宅購入は正しい選択だったと言いきるために
このように、住宅ローンを借り入れるにあたって失敗してしまうポイントは沢山あります。
住宅を購入しようとすると、場所や設備など、お金の面以外にも検討しなければならないことが山ほどあり大変ですよね。ですが、住宅ローンについてはハウスメーカーや銀行の方が薦めてくれたままに「借りれるかどうか」だけを気にしていれば良いわけではありません。
これから住宅購入をお考えの方は
「現在の住まいを購入して正解だったと思いますか?」
という質問に「はい」と回答出来る57%の中に入れるよう、しっかり検討を進めてくださいね。
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