『Designer Q and A』新人デザイナーが質問してみた。

去る8月28日にTECH PLAY SHIBUYAで行われてた、業務歴3年以内の新人デザイナーが、現場で活躍している先輩デザイナーに質問し放題のイベント『Designer Q and A』最初から最後まで新人向け質問イベント!わからないことは、知ってる人に聞いてみように参加してきた。

なんとこのイベント、ベテランのデザイナーさんに何でも質問できるという豪華なイベント。当日、会場には30人くらいの新人デザイナーが集まり、各自が付箋に、仕事に関することからプライベートなことまで気になる質問を自由に書いた。その中から気になる質問を先輩方がお答する形式だった。

個人的に、参加者の属性として、制作会社より事業会社に所属している人が多かった気がする。今回は、質問がたくさんあったので、その中から少しピックアップして、「成長したい新人デザイナーに必要な5つのこと」と「今後デザイナーとして生き残る為には」というテーマで、まとめてみる。

イベント登壇者紹介

株式会社Fablic 割石 裕太さん @wariemon
株式会社OPEN8 山本 健人さん @kentymmt
株式会社クラウドポート 日比谷 すみれさん @suuminbot
株式会社FICC 福岡 陽さん @akirafukuoka
石坂 昌也さん @masaya0
司会進行 佐々木 恒平さん @CHINNEN_no3

成長したい新人デザイナーに必要な5つのこと

①言語化能力

自分の作品に対して説明ができないのは、その作品が存在していない状態と等しい(割石さん)

なぜそのデザインにしたのか、なぜそのようなアウトプットになったのか他人から聞かれて、きちんと論理立てて話すことはできるだろうか?

デザイナーに限らず、どの職種にも抽象的な物事を客観的に判断して、相手がわかりやすいように説明をすることは必要である。しかし、その中でもデザイナーにとって、言語化するという能力は極めて重要だ。

例えば、ロゴを制作するとする。その際に、じゃあロゴを作りましょうか!ではなく、なぜそのロゴを作るのかきちんとヒアリングするべきで、そのヒアリング次第では、ロゴを制作する必要がないという判断を下すかもしれない。

また、ロゴが完成したならば、なぜそのデザインになったのか、どういうプロセスを経て、どんな想いが込められてそのデザインになったのか説明をする必要が出てくるだろう。非デザイナーを相手にすることが多いならば、デザイナーは、まず自分の思考を相手がわかりやすいように言語化しなければならない。言語化能力が高ければ、必然的にコミュニケーションの精度も上がる。


②デザイン以外のインプット

デザイン以外の情報を集めることは意外と重要(山本さん、福岡さん)

デザイナーだからと言って、デザインに関する情報だけ集めてはいないだろうか?

確かに、自分の引き出しを増やす為に、デザインのインプットは重要である。しかし、新聞やアプリを利用して、ビジネスに関することなど幅広く知識を集めることはもちろん大事で、ビジネス以外のことでも、デザインをする上でのアイデア出しにも繋がることがあるので、デザインという枠に囚われず、常にアンテナを張って生活をした方がいい。

また、情報の見方に関してだが、自分よがりのフィルターを通して物事を判断するのではなく、俯瞰的な視点で、様々な切り口から情報を判断するべき。切り口が違うだけで、そこから新たな気づきや発見がある。


③コミュニケーション術

仕事以外のことが仕事に活きることもある(山本さん)

クライアントや上司とのコミュニケーションの取り方で、悩んだことがある人はいるのではないだろうか?

コミュニケーション能力も、言語化能力と同様、デザイナーに限らずどの職種でも求められる。相手と話すきっかけがなかったり、何を考えているのかよくわからずつまずくことがあるだろう。そこで、一つの解決方法として、「共通言語を持つ」というものがある。

例えば、クライアントと打ち合わせのとき、PCに蒙古タンメン中本のステッカーを貼っておく。すると山本さん曰く、大抵の人から、「山本さんって中本が好きなんですね」とか「どこの店舗行かれますか?」などと聞かれるとのこと。これは、心理学的にラポールトークと言われるもので、初めて会った人でも、相手の共感を引き出すようにして、打ち解けるというテクニックだ。

また、山本さんは肉を焼く達人らしく、外部の人から「今度、うちの会社でBBQがあるから肉、焼きに来てよ!」と呼ばれて、足を運んでみると、それがきっかけで仕事が生まれることもあるとという。コミュニケーションの取り方次第で、その後の仕事に影響する部分は多い。だから、まずは相手に寄り添い、打ち解けることから、良好な関係を築くことができるのかもしれない。


経営陣に説明したときにつっこまれないようにしていた。(日比谷さん)

自分のデザインを説明するときに、解説に対してつっこまれた経験はあるだろうか?

仕事で、経営陣にプレゼンをするときに、予めEvernoteに、課題は何で原因は何なのかロジックをまとめてから、説明していたとのこと。一度自分の中できちんと言語化して落とし込むことによって、物事を本質を常に考えているようにしているのかもしれない。

また、2年前、IOT関連をやりたいと思い、スタートアップに副業で参加したという経験をお持ちで、日比谷さんはGoodpatchを卒業して、今は社内にデザイナーが1人だけいるという環境らしい。日比谷さんの業界を超えてコミュニケーションをとることができる能力は、もちろんコミュニケーション力が高いということもあるのだろうが、それ以前に誰に対しても、相手がわかるように丁寧な説明を日々心がけているからだと感じた。

余談だが、1日のスケジュールに関して、3分割法を適用しているらしく、週末に今週あるタスクを洗い出し、1日を時間軸で3分割して落とし込んでいるとのこと。時間内に終わらなかったタスクに関しては、何が原因だったのか原因を日々考えているらしく、常に考えることをやめない姿勢が大事だと感じた。


④プライベートワーク

とにかく手を動かしたもの勝ち(割石さん)

仕事以外で何か自分で作っているものはありますか?

例えば、ブログでもいいし、プロダクトなど何でもいい。デザイナーは、業務以外で手を動かすことが重要。なぜプライベートワークが必要なのか。それは、若いうちに技術力を磨くことが大切だからだ。割石さん自身、面白法人カヤックに在籍していた頃、社内の仲間と共に何か面白いものを作ろうということで作った作品が、SNSでかなりバズったことがあり、社長からちょっと、、と言われたこともあるらしい。

割石さん自身かなりの行動派の方で、自分の個展をやりたいと思えば、個展を行うことも学生時代にあったらしく、本当に自分の好きなもの、得意領域を確立するために、自分の言ったことを体現しているように思えた。

⑤SNSの効率的な活用

情報は発信した方がいいよね(全員)

SNSはどういう目的で利用しているだろうか?

インターネットが発達して、近年SNSの利用者は増加した。ただ、SNSを利用する目的は各自違う。ただ、デザイナーならば、情報収集としてSNSを利用するのはもちろんなのだが、自身のSNSを使って、情報発信が大事。みなさん、自身のSNSで作品やポートフォリオを公開したところ、企業やメディアの方にお声をかけていただいた経験や、作品がバズった経験をお持ちであった。

いくら自分が「この作品は公開してもなあ」と感じても、まずはSNSで公開した方がいいという。他者からのフィードバックがあるかもしれないし、SNSだと何かしら反応はあるからだ。自分の知らない人がどこかで見ているかもしれないし、それがいつか仕事に繋がったり、お会いしたときに、SNSで見ました!と声をかけてもらってそこから会話が広がることがあるかもしれないからだ。

だから、最初は抵抗があるかもしれないが、まずはどんな情報でもいいので、自分の言葉で作品や思いを公開した方がいい。

今後デザイナーに求められるスキル

多様的な生き方

経済の中で生きるということは、人をコントロールすることだと思っている。(福岡さん)

webとかアプリは手段のひとつにしか過ぎない。その時代の変化に応じて、手段は異なるので、常に人をどうコントロールするのか考えるべき。人をコントロールするということは、どんな職種や職業、仕事内容だとしても普遍的である。その中でまずは、自分が何をできるのか考えるべき。

自分の強みを理解する(石坂さん)

今後、AIが発達する中で生き残るデザイナーとはどのようなデザイナーなのか?

一般的にはAIが人類の仕事を奪うと騒がれているが、クリエイティブの領域はあと30年くらいは追いつかないと語る。ただ、そんな中でもデザイナーは大きく2つに分類される。コーディング・実装ができるデザイナーとデザインだけを行うデザイナー。どちらがいいとか悪いとかはないが、コードもかけてデザインができる人は重宝される。

自分である程度制作の流れを知っているので、デザイン中に実装でデザインが不要な部分について理解していることから無駄な工数は減るし、他にもメリットがたくさんある。またそういうタイプの人は、仕事がたくさんがくるので、いかに限られた時間の中で数をこなすかも大事。

もう一方でコードは書きませんというデザイナーに関して。時代の流れ的に、UIデザイナーは今後いなくなると言われているので、UXの部分を強化することが少なからず必要となってくる。

ちなみに石坂さんのおすすめは、エディトリアルデザインとプログラミングを若いうちに勉強しておくと、今後仕事の幅が広がり、役立つ場面が多いという。

最後に

会社は違うけれど、先輩方の経験をもとに様々な勉強となるお話をお伺いすることができ非常によかった。イベントに出かけることによって、社内では気づかない新たな発見があったり、他社のデザイナーさんと情報交換をしたり、刺激をもらえることが多々あるので、引き続き外部のイベントに参加して幅広く吸収していきたい。

運営の皆さま、貴重な経験をありがとうございました。

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